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「特別な夏」でも大会運営に欠かせない阪神園芸の職人技/2020甲子園交流試合リポートVol.4

週刊ベースボールONLINE

新型コロナウイルス感染拡大のため中止となった今年3月のセンバツ出場32校の「救済措置」として甲子園で開催される「2020年甲子園高校野球交流試合」。今夏は地方大会と全国(甲子園)も中止となった。特別な思いを胸に秘めて、あこがれの舞台に立つ球児や関係者たちの姿を追う。

黙々とこなす仕事



甲子園球場を守る阪神園芸は今夏も、高校球児に最高のコンディションを提供している

 ふと「無観客試合」を実感する時間があった。

 今回の交流試合の目的は実施要項にこうある。

「第92回選抜高等学校野球大会出場校の野球部員に甲子園球場での1試合を提供する」

 感染予防対策以外の試合運用については、ほぼ通常に近い形で行われ、2回表・裏に流れる両校の校歌、場内アナウンス、センターの大型ビジョンの表示も、いつもと変わらない。原則、無観客試合であるが、1人の部員につき保護者・家族が5人以内、指導者の家族は5人以内、そして野球部員(登録外メンバー)の入場(その他学校関係者、各都道府県の高野連役員、NPBスカウトは1球団2人以内、大学・社会人・独立リーグは1団体1人)が許されている。

 ウグイス嬢はファウルボールに対する注意、イニング間にはスタンド内禁煙による喫煙所の案内、新型コロナウイルスの感染予防対策を喚起するなど、有観客試合とは変わらないアナウンスをしている。しかし、普段とまったく異なるのが5回終了時だ。つまり、グラウンド整備のインタバルである。

 例年は、春のセンバツならば『今ありて』であり、夏の選手権ならば『栄冠は君に輝く』と大会歌がそれぞれ流れる。

 だが、今回は約5分間の静寂が続くのだ。そこで、フィールドに目を向けると、阪神園芸のスタッフが黙々と仕事をこなしている。

 15人がそれぞれの持ち場に散り、トンボを持って土をならしていく。1人は本塁付近のライン引きに専念し、残りの14人が左右に分かれて、テキパキと動く。例年であれば、専用の整備車がフル稼働して、備え付けの工具で水もまかれる。しかし、今回は手作業で丹念に走路、ベース周辺、内野の定位置を中心に粛々と作業を進めている。

 第1日目、第2日目は青天に恵まれたが、残る4日間、悪天候に見舞われる可能性もある。試合後に翌日の天気を予想して、シートをあらかじめ用意するのかを決断するなど、悪条件でこそ、力が発揮される「土の達人」だ。

「1試合」のため――。真のプロフェッショナルである阪神園芸はいつも、最高のコンディションを整え、球児に夢舞台を提供する。決して目立つことはないが、試合運営において欠かすことのできない職人技である。

文=岡本朋祐 写真=石井愛子

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