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巨人・増田大輝の緊急登板で思い出した木村拓也の姿/川口和久WEBコラム

週刊ベースボールONLINE

今回は増田、よかったぞ! でいいのでは



批判を恐れぬ采配も原監督の凄みだ

 8月6日の阪神戦(甲子園)、内野手・増田大輝の投手起用で、巨人・原辰徳監督がずいぶんたたかれた。
 OB解説者の賛否両論もあってネットが炎上するくらいの大騒ぎになったそうだが、俺は最初、まったく知らなかった。
 というか、奇策ではあるけど、わざわざ切り取って、あれこれ言うほどの話とは思ってなかったからだ。

 今回は阪神先発の高橋遥人が完璧なピッチングをして、手も足も出ない中で8回に前の投手が満塁弾を打たれ、0対11となった。
 もうどこから見ても、誰が見ても負けの状態になった。
 それでなくても過密日程の中の猛暑の連戦だ。当然、勝ちパターンの投手は使いたくない。
 その中で宮本和知コーチが原監督と話し、増田を使うことになった。

 OBのある方は、「試合をあきらめた、という感覚があり得ない」と言っていたらしいが、0対11の8回から、どうやって逆転するの、と言いたくなる。
 悪い言い方をすれば、捨てゲームで仕方なかったと思うけどね。
 それでも「伝統の巨人軍ではありえない戦いだ」という頑固一徹の昭和の考えも分からないわけではない。
 過去の例も悪いよね。全9ポジションへの挑戦のときとか、西武のデストラーデの登板とか、まさにファンサービスばかり。

 でも、あれはファンサービスじゃないし、単なる思い付きでもない。
 120試合を戦う中で、開幕前に野手には登板もある、と伝えていたらしいし、増田だって投手のド素人というわけじゃない。

 さらに言えば、原監督も勇気が必要だったと思う。
 増田が抑えたからこの程度ですんでいるけど、打たれたら炎上どころじゃすまなかったはずだ。はっきり言えば、投手を出して打たれたほうが監督も楽だったと思う。
 それでも増田を使った。この覚悟は、すごいと思う。

 もう一つの見方もある。采配の是非ではなく、増田という選手が、あの場面で好投したという事実だ。
 俺はあのとき木村拓也を思い出した。チームの非常事態で彼が捕手を守った姿は、巨人ファンならみんな覚えていると思う。
 今回は大敗の中で窮余の策。キムタクファンには比べるな、と怒られるかな。

 俺は広島でも巨人でも彼とは入れ違いになったが、ナイスガイで、会えば爽やかにあいさつをしてくれた。
 あいつが「自分は、一軍で王道は行けない。隙間を埋めていくのが生きる道です」と話していたことがある。
 増田も同じだろう。代走や便利屋的な登板もこなしながら、必死に自分の居場所をつくっている。

 OBの皆さん、今回は、増田、よかったぞ! でいいんじゃないですか。

写真=BBM

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