top_line

【見せるだけ】おトクな割引クーポンをGET!

大山加奈が虹プロにハマった理由。褒めることは簡単なようで難しい。

Number Web


子どもたちの指導を通して「褒める」ことの大切さを痛感していた大山氏。日本代表時代は自分の短所ばかりに目が向いていたと振り返った。 (photograph by Toshiya Kondo)

 何気なく見始めた『Nizi Project』というオーディション番組にすっかりハマってしまいました。

 これはソニーミュージックと韓国のJYPエンターテインメントが共同開催したグローバルオーディション(通称「虹プロ」)で、日本テレビの『スッキリ』などで放送されていました。そこで選ばれた9人の女の子は「NiziU(ニジュー)」としてメジャーデビューを控えています。

 なぜこのコラムでスポーツでも、バレーボールでもない話をするのか。ただ単に自分がハマったからだけではなく、そこにはもちろん理由があります。

 デビューを目指してレッスンに励み、さまざまな課題をクリアすべく、努力を積み重ねるオーディション参加者の少女たち。そのキラキラした姿に心を奪われたのはもちろんですが、何より大きかったのはプロデューサーであるJ.Y.Parkさんの存在です。

J.Y.Parkの言葉や振る舞い。

 彼女たちを選考する立場であるParkさんが彼女たちにかける言葉や振る舞い、決して否定せず、結果よりも過程を評価するその姿勢は、音楽とスポーツという違いはありますが、指導者として学ぶことばかりでした。Parkさんのすごさを感じさせられると共に、人を導くというのはこういうことではないかと感動し、すっかり魅せられてしまいました。

 オーディションというと、参加者たちが「絶対に負けない」と自分をアピールすることに必死になり、その過程で周りと衝突することも多いイメージがありました。それがエンターテインメントとして取り上げられることもありますが、虹プロやParkさんは全く違いました。ひとりひとりの良い部分を見つけて、1度ではなく何度でも伝える。

 そして、誰かが特別なのではなく「それぞれが特別だ」と伝え、褒める時は手放しで褒める。何かを指摘する時も頭ごなしに「ダメだ」と言うのではなく、決して人間性は否定せずに足りないところや、やるべきことを的確に指摘し、「期待しているから言う」ということをしっかり伝えるのです。

 今、子供たちを指導する立場として学ぶことが多くあっただけでなく、自分の現役時代を振り返っても、虹プロから受けた刺激、感じることはたくさんありました。

短所ばかりに目が向いた代表時代。

 代表選手としてプレーしていた頃は、日本代表という「チーム」に選ばれ、残るためにただただ必死で練習をして、「ここはみんながライバルだ」と言われる毎日でした。長所よりも短所ばかりに目が向き、「自分の武器であるパワーでアピールしよう」と思うよりも「ミスをして怒られませんように」ということばかり考えていました。

 私はもともと気が弱く、マイナス思考だったこともありますが、練習の中で常に「加奈はレシーブが弱点」と言われ続けたことが頭にこびりついていて、チームに迷惑をかけることが怖かったんです。チームスタイルとして「2つ以上のポジションができなければ試合に出るチャンスはない」ということが掲げられ、「加奈はそれができない」と言われた時には、自分の居場所はここにはないんだと落胆することも。憧れだった日本代表に入りたいというキラキラした気持ちよりも、何とか今を乗り切ろうという気持ちばかりが先行していました。

自分を認められなかった「後悔」。

 もしもあの時、「レシーブができないからダメ」と頭ごなしに否定されるのではなく、「パワーという武器があるのだから、レシーブを伸ばせばもっとよくなる」と長所をアピールしていいんだと思えるきっかけがあったらどうなっていたのか。誰にも負けないと思っていたはずのパワーやスパイクを自信につなげられなかったこと、自分を認めてあげられなかったことを、今でも後悔しています。

 誰のことも責めず、時には指摘しながらも常にいいところを褒め、全員が「特別」だと認めるParkさんの言葉が心に深く染みたのは、そんな思いがあったからかもしれません。

大切なのは変化を見逃さないこと。

 とはいえ「褒める」というのは簡単そうに見えて、実はとても難しいことです。

 何でもかんでも褒めればいいというのではなく、褒めるタイミングや言葉のかけ方が重要です。「ナイススパイク!」と言っても、本人はそのプレーに納得していないかもしれません。現役時代、私も自分の調子が悪かったのに、試合後「今日はよかったね」と言われると、複雑な気持ちでした。

 指導の現場に行くたび、「褒めること」や「叱ること」の難しさを実感しますが、大切なのは変化を見逃さないことではないかと考えています。

 たとえば初めて会った頃は“バレーボールなんてそれほど楽しくない”という態度で臨んでいた子どもが、ゲーム形式の練習を何度も繰り返すことで、バレーボールの楽しさを体感する。いつの間にか夢中になって、試合で負けると悔し泣きをしたり、必死でボールに食らいつこうとする姿を見せたり、驚くほどの変化を見せるようになります。

“あなたは特別な存在だよ”

 大人と比べ、子どもの変化はとてもスピードが速いですが、劇的な変化が突然起こるのではなく、必ず小さな兆しがある。声を出すことを恥ずかしがっていた子が声を出すようになった時、周りに声をかけるのが苦手だった子が仲間を励ます姿を見た時。そういう小さな瞬間を見逃さず、「いい声が出ているね」、「よく気づいたね」と声をかける。

 これまでも心がけてきたことではありますが、Parkさんの声がけや振る舞いを見て、私も今まで以上にひとりひとりの個性や長所を認め、褒めて、伸ばしてあげたいと感じました。

 “お前はヘタクソだからダメなんだ”ではなく、“あなたは必要な存在だよ”と認めること。それだけで、きっと大きな自信につながるのではないでしょうか。

(構成/田中夕子)

text by 大山加奈
「大山加奈のVolleyball is Life 」

TOPICS

ランキング(スポーツ)

ジャンル