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中日・京田陽太が目にした森野将彦の職人芸

週刊ベースボールONLINE


今季限りで現役を引退し、打撃コーチに就任した森野

 プロ1年目ながら141試合に出場し、チームでは19年ぶりに新人王を獲得した中日・京田陽太。俊足を生かした守備・走塁だけでなく、バットでも球団の新人記録となる149安打を放ったが、打率.264、出塁率.297はまだ向上の余地が大きく、特に四球は18と、選球に課題を残した。

 その京田がシーズン中、ベンチから注目したのが、今季限りで引退し、来季から打撃コーチを務める森野将彦の打席だった。

「打ちにいって、それでいて見逃せるようになりたいんです。森野さんがそういうバッティングをされているので、勉強になりました」

 21年間の現役生活で通算1581安打を放った好打者である森野。さぞかし高度なテクニックがあるのかと思い、打席での秘訣を尋ねると、「いや、ボール球は振りますよ。誰でも」とあっさりと返された。それではなぜ、森野はボール球を見逃すことができたのか。

「誰でも振るんですけど、技術もそうですし、データもある。そういうものをフルに活用して打席に向かうようにはしていました。自分の技術だけではどうにもならないことはある。漠然と打つのではなく、何か自分の中にしっかりしたものがあって打席に立たないと、変化球を見逃したり、打ちたくないボールは打たない、ということはできません」

 クリーンアップを張る打力を持ちながら、さまざまな打順、守備位置をこなし、高い順応性を発揮した頼れるプレーヤー。ルーキーイヤーに初安打をホームランで飾るなどの印象的な活躍から天才肌に見られることもあるが、自身はそれを否定する。

「野球に対する知識、野球を考える力、野球への探求心は誰にも負けたくなかった。ただ漠然とバット振って、打って、投げてという選手だけにはなりたくなかった」

 現役生活を振り返り、森野は「最後は頭でっかちになってしまった部分はあります。もっと純粋に野球だけに打ち込めば良かったんですけど、僕の性格上、細かい部分を追求したくなってしまうので」と苦笑する。だが、その野球への熱意こそが、21年間の現役生活を送る原動力となっていたことは間違いないだろう。

 来季は指導者として、チームへの貢献を誓う森野。若手の台頭が望まれる中日にとって、その知識と情熱は、大きなプラスとなるはずだ。


文=吉見淳司 写真=BBM

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