侍ジャパンのウィークポイントを埋める男
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負ければ予選敗退の可能性もあった11月18日のチャイニーズ・タイペイ戦で、勝利を引き寄せる完ぺきなピッチ

負ければ予選敗退の可能性もあった11月18日のチャイニーズ・タイペイ戦で、勝利を引き寄せる完ぺきなピッチングを見せた侍ジャパンの先発・今永昇太

 格の違いを見せつけた。

 11月18日に行われた日本のアジアプロ野球チャンピオンシップ第2戦、チャイニーズ・タイペイ戦(東京ドーム)は、前日に韓国がチャイニーズ・タイペイを1対0で下していたため、日本は敗れると予選敗退の可能性もある重要な一戦だった。

 チャイニーズ・タイペイは巨人でプレーする陽岱鋼、CPBLで2年連続打率4割超を記録し、今季は打撃5冠を獲得して「台湾の大王」と呼ばれる王柏融(ラミゴ)を擁する超強力打線が特徴で、稲葉篤紀監督も警戒を強めていたが、「その強力打線を抑えるため」に先発のマウンドに送り出された今永昇太(DeNA)が1枚も2枚もうわて。

「試合前に(捕手の)田村(龍弘、ロッテ)と話し合って、右打者にも左打者にもインサイドを使っていこうと。彼のサインどおりに投げれば抑えられると思っていました。ガス欠してもいい気持ちで、一人ひとりに向かっていきました」

 そう振り返ったとおり、初回からエンジン全開。ストレート主体の攻めで一、二番を連続空振り三振に斬ってとると、三番の陽には手元が狂い死球を与えたものの、四番・王にも真っ向勝負を挑み、最後はインハイに137キロのストレートで空振り三振に。奪三振ショーはこの後も続き、6回まで106球を投じ、12個の三振を奪う力投でチャイニーズ・タイペイ打線をまったくと言っていいほど寄せ付けなかった。

 ハイライトは何と言っても4回だろう。先頭の陽に不運な内野安打を許すと、続く王の一塁ゴロを山川穂高が併殺を焦って二塁へ暴投。守備に足を引っ張られる形で無死一、三塁のピンチを迎えたが、CS、日本シリーズも経験した左腕は、発想も違う。「ピンチとは思わずに、(ここをしのげば)みんなの信頼を勝ち取るチャンスだと思っていました」と続く五、六、七番を3連続空振り三振で危機を脱した。

 結果的に日本は8対2で大勝を収め、19日の韓国との決勝にこまを進めたわけだが、チャイニーズ・タイペイ自慢の強力打線を沈黙させた今永のピッチングがもたらした勝利と言って差し支えないだろう。

 今春に行われた第4回WBCでは、先発左腕不在で侍ジャパンの課題の1つに挙げられていたが、今大会のパフォーマンスで稲葉監督の心をギュッと鷲づかみ。2020年の東京オリンピックを戦う侍ジャパンの、左のエースに堂々名乗りを上げた。

文=坂本 匠 写真=榎本郁也
(更新日:2017年11月20日)

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