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【大学野球】元中日・辻孟彦コーチが築いた日体大の強力投手陣

週刊ベースボールONLINE


37年ぶりに神宮大会を制した日体大。影の立役者となったのが就任3年目の辻コーチ(元中日)である(左は決勝で先発した東妻)

 大正時代から伝わる、日体大伝統の応援『エッサッサ』。優勝した際にしかお目にかかれない部員たちの勇ましい動きを、頼もしそうに見つめる背番号51がいた。11月15日、神宮大会決勝当日、広島で12球団合同トライアウトが行われたのも、決して偶然ではない気がする。戦力外通告から3年、元中日の日体大・辻孟彦コーチは充実したセカンドキャリアを送っている。

「優勝したこともうれしいですが、投手陣が成長した姿が見られたことがもっと、うれしいです」

 第48回明治神宮野球大会の大学の部決勝が11月15日に行われ、日体大(首都大学)が星槎道都大(札幌学生)を3対0で下し、37年ぶり2度目の優勝を飾った。

 3試合でわずか1失点。大会前から「二枚看板」と言われた松本航(明石商)と東妻勇輔(智弁和歌山)の両3年生右腕が、下馬評通りの実力を発揮して、秋の大学日本一へ上り詰めた。九州共立大との2回戦は松本と東妻の継投で、延長10回タイブレークの末の初戦突破(7対1)。東洋大との準決勝は松本が4安打完封(4対0)、そして星槎道都大との決勝は東妻が2安打シャットアウトと、圧巻の投手力を見せつけている。

 影の立役者となったのが、就任3年目の辻コーチである。日体大・古城隆利監督は「投手起用はコーチに任せている。私が変に入ると混乱しますから」と、全幅の信頼を寄せている。2人には監督、選手時代からの深い絆があった。辻コーチは日体大4年春、連盟記録を更新する10勝(3敗)で、首都大学リーグを制した。6校総当たり(対戦5校)の勝ち点制(2勝先勝)であるから、1シーズンで可能な全白星を積み上げた超離れ業。同級生だった東海大・菅野智之(現巨人)との直接対決で投げ勝つ価値あるVでもあった。

 その年のドラフト4位で中日に入団。2年目に一軍で13試合に登板したが、翌14年は登板機会なく、未勝利のまま戦力外通告を受けた。その直後、古城監督から連絡が入った。コーチとして戻ってきてほしいという熱烈オファーだった。

「私は日体大が大好き。将来的には指導者の道も考えていた。中日在籍中、トレーニングコーチと話をする際にも、その先を見据えて勉強していました」

 しかし、この時点では返事を保留。第1回トライアウトを受け、他球団からの電話を待ったが、社会人チームのみ。NPBにこだわっていた辻コーチは現役選手としてのケジメをつけ、母校からの打診を快諾した。

 同オフに学生野球資格を回復し、翌15年に日体大コーチに就任。その4月に入学してきたのが松本、東妻の現3年生である。松本は言う。「選手一人ひとりに親身になってくれ、力を引き出してくれる。常日頃からコミュニケーションを取るのがうまいんです」。

 思いは一つ。「古城監督と常勝チームにしたい」。就任3年目にして「日本一」という形で念願がかなった。しかし、指導者に終わりはない。喜びも一瞬。すでに2018年へ向けた挑戦が始まっている。松本、東妻は来年、ドラフト候補として脚光を浴びる立場となることは間違いない。

「勝つことも大事ですが、ケガが一番のマイマス要素。私はプロで活躍できなかったので、社会人、プロでも長くプレーできる選手を育成したい。その責任があります。幸い、ウチの大学には充実した施設がありますから、最大限に生かしていきたい。良い状態で、最後(4年秋)を迎えたいと思っています」

 28歳の兄貴分。日体大には投手として成長できる、最高の環境が整っている。

文=岡本朋祐 写真=川口洋邦

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