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名作で観る世界の美術館 (2) 思惑と謎がアートを彩る【映画で仮想旅行】

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90分ワンカットのカメラとともに、ロシア・サンクトペテルブルクの「エルミタージュ美術館」をさまよう幻想的な作品『エルミタージュ幻想』(2002)。案内人は1839年のロシア帝国時代にこの地を訪れたフランスの外交官、アストルフ・ド・キュスティーヌ伯爵(セルゲイ・ドレイデン)です。監督のアレクサンドル・ソクーロフ自身が語り部となり、エルミタージュで生きた人々と、時間を超えて出会い、さまざまな歴史を目撃していきます。 

1760年代から美術品収集を始めたのは、夫のピョートル3世をクーデターで廃位させ、自身が女王になったエカテリーナ2世。神聖ローマ帝国ザクセン公国のブリュール伯爵コレクション、英貴族で初代首相ロバート・ウォルポールのコレクションなどを購入し、ラファエロやダ・ヴィンチ、ミケランジェロらの作品を手中に収めていきます。

外観だけでも圧倒されるエルミタージュ美術館(nikitamaykov/stock.adobe.com)

この美術品収集には、西欧諸国にロシア帝国の財力を示す目的がありました。オスマン帝国と断続的に戦争を繰り返しても、これだけ躊躇なく美術品を買えると見せつけたかったわけです。当時の事情を理解するには、ドキュメンタリー『エルミタージュ美術館 美を守る宮殿』(2014)がもってこい。帝政ロシアの歴史と収蔵品の解説、そしてエルミタージュを愛し、未来へとつなごうと考える学芸員たちの熱い思いを確認することができます。

『エルミタージュ幻想』には、さまざまな美術作品とともに、子どもたちをしつけるエカテリーナ2世や、ペルシア使節団を迎えるニコライ1世、女王アナスタシアらが時空を超えて登場します。そして最後は、大広間で圧巻の舞踏会。人々は終了後、三々五々に外へ出ていきますが、案内人のキュスティーヌ伯爵と別れた語り部が扉の外に見たものは……。

作中のキュスティーヌ伯爵は、ロシア独自の芸術作品がないエルミタージュをあざ笑う素振りを見せます。しかし、そんな彼もまた、エルミタージュに魅了されていたと伝えられています。収蔵作品だけではなく、その存在自体が人を魅了するエルミタージュ。元は宮殿だった美術館の幻影に、ソクーロフ監督とともにからめとられてみてください。

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