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SUPER BEAVERが初の無観客ライブ、ドキュメントで伝えたかった真相――「想像もしえなかった日々の真ん中で、バンドマンに何ができる!?」

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SUPER BEAVERが初の無観客ライブ、ドキュメントで伝えたかった真相――「想像もしえなかった日々の真ん中で、バンドマンに何ができる!?」

『SUPER BEAVER 15th Anniversary 都会のラクダSP ~LIVE document~』 2020.7.11(SAT)Stagecrowd(STUDIO COAST)                           

SUPER BEAVERが、 無観客ライブ&ドキュメント映像『SUPER BEAVER 15th Anniversary 都会のラクダSP ~LIVE document~』を7月11日に配信した。

昨今のコロナウイルス禍を機に誕生した、ライブストリーミングを中心とする映像配信サービス『Stagecrowd(ステージクラウド)』の記念すべき第1弾として実施された同配信。SUPER BEAVERとしても、政府より発表されたガイドラインの内容を受け、4月10日の千葉LOOKを皮切りに開始予定だった全国ツアー『SUPER BEAVER 15th Anniversary 都会のラクダ TOUR 2020 ~ラクダの原点、ピーポーパーポー~』の開催を断念、全24公演の中止が決定した矢先の試みだっただけに、事前収録とは言えどんなパフォーマンスを見せるのか大いに注目を集めていた。今やリアルタイムのライブ配信は数ある中で、SUPER BEAVERはいったいどう動くのか――。

「「SUPER BEAVERってこういうバンドだな」ってすごい思って。これが楽しくて、これに魅せられてバンドをやってるんだろうなって思える瞬間がありました」(Ba・上杉研太)

「めっちゃ楽しかったですよ。思ったよりライブだったし、ほぼ変わらない気持ちというか」(Dr・藤原”32才”広明)

「「これですよね、SUPER BEAVERは」みたいなものが表現できたんじゃないかな」(Gt・柳沢亮太)

映像が始まるや、ライブ後のバックヤードでメンバーそれぞれが未体験の挑戦を終えた達成感に溢れた表情で語っていく。その舞台となったのは、東京・STUDIO COAST。同会場の代名詞とも言える看板には、いつもと同じように当日のライブタイトル=『SUPER BEAVER 15th Anniversary 都会のラクダSP ~LIVE document~』が刻まれ、時をさかのぼるように「久々だ~!」と真っ先に会場入りした柳沢をカメラが追っていく。音響、照明も通常のライブさながら仕込みが始まっており、スタッフと次々に挨拶を交わしながら、「今回は普通のライブとはちょっと違う、1つのエンタテインメントみたいなものを作れたらいいなと思って。来てみたら思ってた以上にワクワクする感じで、早くもテンション上がってるんですが(笑)」と柳沢。

続いて藤原、上杉が、柳沢同様に入口で検温と消毒を済ませ会場入り。セッティングが進む様子を伺いながら、「確かにこれはすごい。ヤバ」と興奮冷めやらぬ様子の上杉が、「これが新しい生活様式ってやつですか?(笑)」とスタッフと談笑し、早速ベースを手に取る。「フロアで4人で音を出すのは初めてですね。それだけで楽しくなるのに、こんなに機材もあって……いい意味で、現場でやる緊張感を久々に味わってる気がします。このちょっとソワソワする感じ。(以前は)こんなことをずっとやってたんだなって思いました(笑)」と笑う上杉。そう、この日の形態はバンド初のフロアライブ。観客がパンパンに入った状態ではなかなかできないそれに挑んだのも、彼らが「無観客でしかできないこと」にこだわったスタンスの現れだと言えるだろう。

そして、最後に会場入りした渋谷龍太(Vo)が楽屋でメンバーと合流し、場内を見渡していく。改めてこれだけの多くの人間がSUPER BEAVERのライブに携わっていると感じるシーンだ。普段着のままサウンドチェックにいそしむ4人の姿にも、いつもは見ることのできないSUPER BEAVERの心臓部に潜入している気持ちになる。「ヤナギ(=柳沢)のギターが今日はよく聴こえるなぁ」と通常とは異なるシチュエーションのライブに武者震いする渋谷が、「不慣れな配信ライブでございますけども、メンバー4人精一杯やりますので何卒、今日は1日よろしくお願いします!」とバンドを代表してチームに言葉を送る。


SUPER BEAVER 撮影=Taka"nekoze_photo"



セッティングを終え、あとは音が鳴るのを待つだけのフロアが映し出され、メンバーが1人また1人とそこへ向かっていく。柳沢は『[NOiD](=所属事務所)』のタオルをいつものように掲げ、360°視野のフロアで爆音をかき鳴らす3人のもとへ、渋谷がビシバシの照明を浴びながらゆっくりと登場。「お久しぶりです、SUPER BEAVERです」と渋谷が開口一番、爆音があのイントロへとシームレスに切り変わっていく。ここで奏でた1曲目は、「歓びの明日に」。ちょうど8年前の今日、メジャーを離れた彼らが自主レーベル「I×L×P× RECORDS」を立ち上げ、初めて全国リリースした『未来の始めかた』のリードトラック。またも「初めて」を始めるこのバンドの第一歩に、こんなにふさわしい曲はないだろう。彼らが歩んできた15年が、決して途切れることなくつながっていることを証明するようなセットリストに、オープニングからグッとくる。

「想像もしえなかった日々の真ん中で、バンドマンに何ができる!?」(渋谷)

自らに問いかけ、それを現在進行形で提示していく。SUPER BEAVERのライブ以外の何物でもない光景が画面越しにでも胸を揺さぶるのは、かなりの至近距離からメンバーの表情を捉えたカットや、普段ではありえない真下から煽るようなド迫力のアングルなど、オーディエンスの視界を遮る心配がないためいつも以上に自由な、無観客ライブならではのカメラワークのたまものか。15年を共に生き抜いてきた4人が向かい合って音を鳴らす、どのメンバーの目線の先にも戦友がいるというフロアライブの立ち位置は、今回でなくては見ることのできなかった美しい絵面だ。そんな布陣で放たれた「青い春」が、とりわけエモーショナルに突き刺さる。カメラに向かってクラップを促す渋谷に、思わず画面越しに応えた人も多かったのでは?

「ライブはやっぱり目の前にあなたがいて成り立つもんだと思ってるんですけども、それがかなわないとなれば、配信ならではの、画面の向こうで見ていてくれるあなたにどうやったら一番伝わるかなと考えた結果が、こちらのスタイルでございます。メンバー4人、顔を合わせて演奏しております。こんなことはスタジオ練習以外ではありません!(笑) 4人でギュッとエネルギーを爆発させて、画面の向こうまで届くようにしっかりとやりますので、最後までよろしくお願いします。フロムライブハウスのSUPER BEAVERが、どんなふうに伝えるか。これが俺たちの戦い方、「正攻法」!」(渋谷)


SUPER BEAVER 撮影=Taka"nekoze_photo"



このバージョンのMVも見てみたくなるほど絵になる4人のパフォーマンスは、純粋なるライブでもMVでもない、生であり生じゃない、新たな表現の形。そのまま藤原がつないだビートの上で、「画面の向こう側、現実とこの場所のあやふやな境界線。飛び越えられなきゃバンドマンじゃないと思ってます。目の前で会えない、めちゃくちゃ残念だ。それでも思いっ切りやりますので、画面の向こうで油断してんなよ! 画面の向こうから、しっかり届けてください、よろしくお願いします。行こうぜ! 会いたい自分がいる方へ」と、いつもながら「予感」のイントロの尺にジャストで合わせてくる渋谷のMC術には感心する。メイン画面脇に設置されたチャットでは文字でシンガロングが巻き起こり、離れた場所にいてもまるでオーディエンスのみんなと一緒にいるように感じる。渋谷も画面に呼びかけ手招きし、「あなたの番ですよろしく!」とマイクを向ける。そんなアクションの連続に、チャットも倍々ゲームで盛り上がっていく。

MCで、「曲が終わっても拍手は鳴りませんし、名前を呼んでくれる声も届きません。しかしながら届いてる実感が、聴こえてるような気になるのは、不思議なもんです。いや~不慣れですよ、ホントに。「それでも」と思う気持ちが、4人をこの場所で向かい合わせて、たくさんの人の力を借りて、配信という形を取ってるわけです。さぁ! 喋るか、みんな!(笑)」と語る渋谷の表情もいつになくやわらかで、そうさせるのはメンバーが目の前にいる安心感か、画面の向こうにオーディエンスがいてくれると感じる信頼感か。

「素直に今めちゃくちゃ楽しいです。こういう状況下で我々もツアーができなくなったりして……それこそメジャー再契約を発表した4月の頭辺りなんて、計画してたことがことごとくできなくなって(苦笑)。自宅からの配信とかもやってみたりしましたけど、メンバーで演奏するのはもう4カ月ぶりぐらい? 今日は会場入りしたときから、セットを目にしてワクワクしたよね、この向き合ってる感じが」(柳沢)

「どこか普通のライブより豪華だよね? 絨毯があるから!?(笑)」(渋谷)

「4人で覚悟を決めて音を鳴らし合うのって久しぶりじゃない? バンドってやっぱりこうだよなっていうのを今ヒシヒシと感じてますね。変な話、ちょっと忘れちゃってたよね?(笑) こんな状況だけどベストを尽くしていくしかないし、そういう意味でも、この4人がここで音を鳴らしてるというのが自分の中でも合点がいくし、ちゃんと最前線でバンドをやれてる感じがしてますね」(上杉)

「え~と藤……藤……?」(渋谷)

「藤原だよ!(笑) 一緒に音を出す、この楽しさが届いていればいいなって」(藤原)

「自分たちが音楽をやってる姿勢が、画面を通してプラスの活力にだけなればいいなって思ってます。まっすぐな意味での「頑張れよ」だと思ってくれたら嬉しいです。「頑張れ」っていう言葉は結構しんどく聞こえちゃったりする場面はあると思うんだけど、俺たちの「頑張れ」は、あなたが頑張ってるのを知った上でも言いたい「頑張れよ」なので。自分たちができること、4人で表せるスタンス、この先を見据えての動き……全てがあなたを前に転がす原動力になりますようにと、今日この機会を設けさせていただきました。新しい曲を出したって披露する場がなかなかないので、ライブという形でしっかりと届けるのは初めてかなと思います」(渋谷)


SUPER BEAVER 撮影=Taka"nekoze_photo"



「ひとりで生きていたならば」と、暗闇に響きわたる渋谷の歌声。柳沢がつまびくギターを背にカメラが上空へと舞い上がり、その画面を越えてしっかりと1つ1つの言葉が、信念が伝わってくる。ストリングスアレンジが施された音源も素晴らしかったが、ギター、べース、ドラム、声だけで構成された「ひとりで生きていたならば」もまた感動的で、4人の15年間歩んできた軌跡をそのまま落とし込んだようなこの曲には、鳥肌が止まらない。心が動いてると身体が合図する。

続けざまの「嬉しい涙」でも、「歌って!」とカメラに呼びかける渋谷にチャットは文字でシンガロング。4人と全国、いや、全世界で見ているオーディエンスで一緒にライブを作っていく感覚。と同時に、収録済みの映像であることを完全に忘れてしまう圧倒的な没入感。

「拍手が、歓声が、一緒に歌ってる声が聞こえないことに対しては、奇麗事を一切抜きにするならば違和感はあります。=いかに大事なものかって今になって気付きますね。自分たちはそういうことを常日頃考えながら音楽活動をやってきたつもりだし、当たり前なんかないし、慢心も驕りもないつもりだけど、やっぱりあなたが目の前にいないのは不思議な気持ちです。でも、届けられるものは全部届けようと、思いっ切り今日はやりました。4人でやってきた音楽だからこそ、4人だけじゃないことに気付けた音楽です。15年という歳月は紆余曲折、山あり谷あり、いろいろありました。悔しかったり悲しかったことの方がもしかしたら多いかもしれない。ただ、そういうことを経験しながらも、自分たちはその1つずつをドラマに変えてきたバンドだと思ってます。今後もうまくいかないとき、うまくできないときはあると思います。でも、そういうときは、そのまんまうまくいったときよりも、その後もっとうまくいく可能性があるって思いながら、俺たちは音楽をやってます。この先も4人で、そしてあなたと、音楽を作っていこうと思ってますので、何卒よろしくお願いします。嬉しいことも悲しいことも、悔しかったことも楽しかったことも、俺たちにはかけがえのない「ハイライト」!」(渋谷)


SUPER BEAVER 撮影=Taka"nekoze_photo"



ラストを飾るのは「ひとりで生きていたならば」と同じく、彼らの15年を体現したような最新シングルからの1曲。汗だくで熱唱&演奏する4人に呼応するかのように、クラップ=拍手の絵文字がチャットを埋め尽くしていく。疾走感と高揚感に突き上げられるこの曲はライブのド頭にピッタリかと思いきや、ライブをビシッと締めくくることができる曲だとも再認識。演奏を終え、心地よい疲れを引きずりバックヤードへと向かうメンバー。ここで映像の冒頭で流れた渋谷のコメントがプレイバックされる。

「とりあえず今、自分たちが思った正解は、1つできたんじゃないのかなと思ってます」

今をしのぐためではなく、今を楽しむためのSUPER BEAVERの回答=無観客ライブ&ドキュメント。渋谷の言葉が、ライブを見終えた自分により響くのが分かる。映像の終了後も、チャットには感動と感謝がすさまじいスピードで積み重なっていく。そして最後は、柳沢が配信終了直後にTwitterのタイムラインに投げかけたこの約束を、あなたに。

「どれだけ考えても「ライブの代わり」はありませんでした。だから俺たちは一つの作品を作ろうと決めました。それが収録に決めた理由です。今日現在の素直な想いが今回の“LIVE document”という形です。あなたが「楽しかった」と思ってくれたなら本望です。また必ず会おうね」


SUPER BEAVER 撮影=Taka"nekoze_photo"



取材・文=奥“ボウイ”昌史 撮影=Taka"nekoze_photo"

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