無印良品のセオリーの逆を行く企業戦略とは?
無印良品のセオリーの逆を行く企業戦略とは?
今や日本でその名前を知らない人はいない「無印良品」。国内で452店舗、海外でも418店舗を展開する、日本を代表する企業へと進化しています。

みなさんも、一度は無印良品の店舗を訪れたり、コンビニなどで商品をご覧になったことがあると思います。

 好調に成長を続けている無印良品ですが、今回はその企業戦略について迫ります。

●ブランド運営のセオリーの逆を行く無印良品

 無印良品はもともと西友のプライベートブランドとして1980年に誕生しました。1989年に株式会社良品計画が設立され、翌年には正式に独立した企業として運営がはじまります。当初取り扱っていた商品は家庭用品9品目、食品31品目のわずか40品目でした。現在、無印良品が取り扱っている商品は約7000品目。家具や衣類、コスメ、食品、キッチン用品、寝具、文具、旅行グッズなど、無印ブランドだけで生活ができてしまいそうなほど、さまざまな品物が店頭に並んでいます。

 しかし、こうした多岐にわたる商品展開は、「特定の商品カテゴリーにおいて競合他社と差別化し、優位性を築く」というブランド運営のセオリーと真逆と言えるでしょう。例えば、ユニクロであれば衣類に特化し、ニトリやIKEAなどは家具に特化しています。効率よく利益をあげたいならばこうした企業のように、あるひとつのカテゴリに特化し、それを極めるという戦略が王道なのです。

 ではなぜ無印は手広い商品を展開しながらも、その業績を伸ばし続けているのでしょう?

●ブランドイメージの確立が顧客獲得へ

 まず挙げられることは、すべての商品で「無印良品」という独特の世界観、ブランドイメージを維持し続けているということです。木目調のやさしい風合いの家具や、綿を使用した自然派の衣類。カラフルなものはほとんどといってありませんが、このブランドイメージに共感する熱心なファンが多く存在しています。

 コスメも不必要な装飾を取り払い、あくまでシンプルな形で包装を追求し続けています。他社製品ではまず見られないようなデザインです。これは「無印」、つまり「印」をつけず、「無駄や過剰を整理し、ものの素の良さに向き合う」というブランドコンセプトがあるからです。

 一言に「ブランドコンセプト」といっても、すべからく全ての商品にこうしたイメージを付与することは非常に難しいことです。実際、無印ブランドも迷走した時期がありました。企業誕生から約20年が経った2002年のこと。今でこそ好調な経営を維持している良品計画ですが、実は38億円という最大赤字を記録していたのです。当時、顧客獲得のために効率を求め、ナチュラルな風合いとモノクロを基調としていた衣類の中に、カラー商品を混ぜたことがありました。しかし「無印」というブランドコンセプトにひかれていた購買層には響かなかったといいます。

 傾いた良品計画を立て直したのが現社長の松井忠三氏でした。松井社長はとにかく内部の仕組みを整えることに集中。顧客のニーズを徹底敵に分析し要望に応える商品を開発し、仕事のスキルやノウハウを蓄積、マニュアル化。顧客の声に耳を傾け、ひとつひとつの商品を丁寧に構築し、見事V字回復を果たしたのです。

●幅広い商品を扱う独自の流通チャネル

 しかし、いくらよい商品を生み出したからと言って、それが顧客の手に渡らなければ意味がありません。また、無印良品の魅力のひとつは「手に届きやすい価格帯」でもあります。「よい品を安くお手元に」を叶えるためには、その分、数を売らなくてはなりません。

 そのために無印の商品は、直営店やフランチャイズ店だけでなく、ファミリーマートなどのコンビニにも商品を供給しています。公式のネット通販サイトもあり、幅広い流通チャネルを持っているのです。これは、購買層のニーズとマッチする商品を適切な場所に設置するということです。しかし、無印良品の取り扱っている商品のカテゴリや品数は、上記の通り膨大なものです。それを適切に管理し、消費者へと届けることはすべての企業にできることではないでしょう。そのため、無印ブランドほど幅広く、さまざまなカテゴリの商品を扱う企業は多くありません。

 無印良品は確立したブランドイメージを日々維持、時代に合わせてアップデートをし続けています。1980年代に次々と誕生した企業のプライベートブランドの中で、現在も生き残っているのは良品計画だけと言われています。その背景には、ブランドコンセプトを貫く企業姿勢と、丁寧な商品管理があったのです。


<参考文献>
・『無印良品は、仕組みが9割 仕事はシンプルにやりなさい』(松井忠三著、角川書店)

(更新日:2017年10月11日)

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