11日、トランプ陣営が電話番号を登録して無料のチケットを申し込むようにツイートを始めると、K-POPファンたちが情報をシェアし、「予約だけして、会場へ足を運ぶのをやめよう」と呼びかけた。
K-POPはBTSらのアーティストが「黒人の命も大切」運動のサポートを表明しており、巨額の寄付をしたことなどから、熱狂的なファンたちが反トランプ運動をスタート。「K-Pop Stans」と呼ばれる若者たちが、政治に大きな影響を及ぼし始めている。
5月末、ダラス警察が「抗議デモ中に違法行為している者を見つけたらビデオをあげて欲しい」とアプリを作成したところ、無数のK-POPの音楽クリップが掲載されて機能しなくなった。
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6月8日のトランプ大統領の誕生日を祝うバースデーメッセージを募集した際も、K-POPファンからいたずらメッセージが殺到した。
今回の空席だらけの選挙会場も、そうしたK-POPファンたちのいたずらの延長だ。
実は、集会はかつて黒人の大量虐殺があったタルサ市で、黒人奴隷の解放記念日に予定されていた。この状況を憂慮した一人の女性が、TikTokでボイコットを呼びかけると、ものすごい反響が起きた。
「チケットを予約したけど、その日は天井の掃除をしなくっちゃ」といったコメントが寄せられ、21日までに200万人がビデオを見て、推定で1万7000枚のチケットが予約されたという。
ツイッターやTikTokだけではなく、インスタグラムやスナップチャットなどにも情報があふれ、一部はトレンド入りするほどだった。
多くのユーザーは、妨害行為が探知されないよう、数日で自身のコメントを削除してしまうため、あとからではなかなか全容がつかめない。TikTokもメッセージビデオは見られるが、コメントはすでに閲覧できなくなっている。
かつて共和党の選挙キャンペーンに取り組んでいたスティーブ・シュミット氏は、「16歳の娘と友達が、数百枚のチケットを予約した。電話番号などニセ個人情報のおまけ付きだ」と選挙集会の開催直前に皮肉なツイートをしている。
共和党は個人情報を集める意図もありチケット枚数に上限を設けていなかったという。ボイコットがなくても実際の参加者に大きな違いはなかったかもしれないが、今後の選挙運動に大きな影響が出ることは間違いない。
アメリカでは、日本同様、K-POPファンには女子高生が多い。トランプ大統領とJKとの戦いは始まったばかりだ。(取材・文/白戸京子)