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1600枚の天然芝はすっかり張り替えられた。春秋の会場校でもある総合工科の現在

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写真は昨秋の練習試合の模様から

 学校の再開が6月3日からだというのは世田谷区の都立総合工科だ。野球部の活動としては、他の学校と同様で2月末の自粛要請以降はほとんど何も出来ていない状況だという。

 それでも弘松恒夫監督は、自粛となった早々の3月には、選手の表情なども多少は見ることが出来たという。というのも、河川敷などでキャッチボールやトレーニングをやっているという情報を得たら、ちょっと様子を見ようと思い足を運んでいたからである。

 しかし、4月になって再度要請が発せられてからは、完全自粛の状態になった。
 「胸が痛いですね」
 選手からの報告はLINEなどで任意に動画が送られてきたり、場合によっては、自分でティ打撃を出来る場所を作ってそこで打ち込みをやっている選手もいるという。

 「そこは、工業高校なので、場所を見つけてネットやワイヤーを持って行って、自分でネットがけしたりして、(ボールが)飛び出さないようにしっかりと場所を作ってやっている者もいました。親と一緒に車で来て、部室から必要なものは持って行ってもいい、ということにしていましたから、ボールもそれぞれで400個くらい持っていってますね。バットやトレーニング器具なども、それぞれで持っていっていました。普段は、学校のグラウンドではネットがほつれていても、言われなきゃ、自分からは補修したりしなかったヤツが、自分でしっかりとネット掛けなんかもしていましたね(苦笑)」

 そういう様子が伝わってきて、全員では練習が出来ないという環境ではあるが、悪いことばかりでもないかなと思えるようにもなってきたとも感じている。
 「今まで以上に、クリエイティブにやっている者もいて、心の成長も見られます。それに、限られた状況ということで、却って1球の大事さ、ボール1個の大切さというのも、わかってきているのではないでしょうか」

 こうして、明るい面も見出していこうという姿勢を示している。それは、弘松監督自身も、そう捉えていくことによって、今の状況をプラスにしていこうという考えからなのかもしれない。

 そういう観点から言えば、これを機会にグラウンドの芝の張り替えも行ったという。結局、グラウンドが全く使えない状態でもあったので、3月から5月までで都合1600枚の芝を埋め替えたという。
 「学校に園芸科はないんですけれどもね、そんな感じでしたかね」



写真は昨秋の練習試合の模様から

 弘松監督は、そう冗談めかして話していた。世田谷区の閑静な住宅街のど真ん中ながら、世田谷工時代からの伝統を引き継ぐ立派なグラウンドを有している都立総合工科である。春と秋のブロック予選では会場校としての役割もあるので、その責任もある。

 だから、普段でもグラウンド整備には神経を注いでいる。今年は、秋のブロックも通常通りやれるのかどうかということもまだわからない。しかし、この自粛期間は、開催に備えてという希望も込めて、ことのほか入念に出来たようだ。

 「グラウンド整備に集中することで、自分の気も紛れるというところもあったのかもしれません。3年生のことを一人ひとり思いながら、没頭してやっていました」

 3年生だけでも20人以上の部員がいる都立総合工科。東京都は代替大会が開催される方向だが、まだ、どのような戦い方になっていくのかということは決めていないという。3年生が揃って練習出来るようになって最終的には決めていきたいということだ。

 それも、6月の3週目以降になってしまうのではないかというのが現状のようだ。3年生の進路のことも気になるという。
 新入生に関しては3月25日の説明会には32人が登録した。しかし、それ以降は会えていないということだ。保護者からは、「練習メニューをいくらか提示してほしい」ということも出てきているようだ。

 ただ、練習用のユニフォームもまだ手渡せていない状況である。今は、「気持ちが離れていかないように」という思いを込めて手紙を送ったりして対応している。

 現実を見てみると、もどかしいところも、いくつもある。それでも、整備されたグラウンドで6月末頃には練習試合も組んでやっていきたい、という思いである。

(記事=手束 仁)

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