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ずっと真夜中でいいのに。「お勉強しといてよ」がスポットライトを当てるそれぞれの「夜」

UtaTen

ずっと真夜中でいいのに。「お勉強しといてよ」がスポットライトを当てるそれぞれの「夜」

キャッチーな言葉使いで描かれる舞台



クオリティの高い楽曲と世界観の作り込みの緻密さからネットを中心にファンを増やし続けている人気バンド「ずっと真夜中でいいのに。」通称ずとまよ。

2020年8月に発売を控える3rdミニアルバム『朗らかな皮膚とて不服』収録曲より先日、新曲となる『お勉強しといてよ』が公開されました。



楽曲の幕開けを飾るのはこんな一節。

ネガティブで自罰的になってしまいがちな「病み」の感情。

しかしこの歌詞で「私」を取り巻くのはキャッチーな違和感を持った言葉、「質のいい病み感情」です。

さらに続く一文では、そんな状況を「しょうがない」と片付けてしまうことに「照れくさ」さを感じています。

楽曲を通して描かれているのは「私」が抱える悶々とした悩み。

それがどんな輪郭を持ったものであるか、そして何を象徴しているのかは歌詞を読み進めていくと浮かび上がってくるはずです。

「想像力が無限大」に膨らんでいる「私」。

楽曲の舞台になっていると思われる「夜」になると、ついつい考え事にふけって想像力を働かせた経験を持つ人も多いのではないでしょうか。

そんな普遍的な描写を鮮やかにに表現する言葉のみずみずしさが印象的ですね。

歌詞に見る、ACAねのクレバーな作詞術





続く一文では、悶々としていた感情が「昨日の思い出」に関係していることがわかります。

「私」にとってそれは大きなショックをもたらすほどの衝撃的な出来事であったのでしょうか。

「洗濯」をしても「相変わらず」、つまり元どおり綺麗にはならないという状況に陥ってしまっています。

忘れたくても忘れられない、脳裏にこびりついたような感情を「洗濯」というキーワードで表現して見せる、作詞・ボーカルを務めるACAねのセンスには驚いてしまいますね。

続く歌詞では、心地よい韻を踏みながら展開されるリリックが印象的です。

「合図」という言葉に掛かるように配置された印象的な「褒め合いライム」という言葉。

ライムとは、主にヒップホップ等の分野で使われる表現で「韻を踏む」という意味です。

まさにその言葉で鮮やかな韻を踏んで見せる歌詞の展開からはクレバーな遊び心が見え隠れしています。

ずとまよの魅力が詰まった歌詞に注目!





タイトルにもなっている象徴的な「お勉強しといてよ」という表現が登場するのがこの一節です。

「変わってゆくなら飛び込んでみたい」と表現されるのは「今日の歌」。

様々な意味をあてはめることができそうですが、おそらくその中には今日の「状況」そのものといった意味も含まれているでしょう。

憂鬱な視点を携えながら夜の時間を生きる「私」にとっては、今日(あるいはここ最近)の出来事こそが次へと進むための精神的障壁になっているものだと推測できます。

そんな状況が変わらない限り、心地よく次の朝を迎えることはできない。

そんな不安定な感情が歌詞に込められているように感じられますね。

そしてそんな感情はまさにこのバンドが聴き手のターゲットにしていると思われる10代、20代には多くの心当たりがあるものでしょう。

誰しもの「夜」にも当てはまるような普遍的な状況を、軽やかな日本語の運びで鮮やかに演出してみせる手腕こそ「ずっと真夜中でいいのに。」がここまでの人気を獲得した理由の一つに数えられるかもしれません。

そんな彼女たちの魅力が存分に詰まった『お勉強しといてよ』もまた、多くの若者の心をぐっと掴んで離さないのでしょうね。


TEXT ヨギ イチロウ

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