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『あつまれ どうぶつの森』夏の夜の危険なアイツ!サソリってどんな生き物?【平坂寛の『あつ森』博物誌】

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『あつまれ どうぶつの森』夏の夜の危険なアイツ!サソリってどんな生き物?【平坂寛の『あつ森』博物誌】

※リアルの生物の写真が出てきます。苦手な方はご注意ください!</B>
もう4回も刺された……。なす術もなく気を失った……。
何の話かですって?『あつ森』ですよ。『あつ森』。あつまれ どうぶつの森。

最初は不意打ちで襲われて、二回目以降はおのれリベンジ!と走り寄ったところをブスリと返り討ちです……。

えっ!『あつ森』ってそんなヴァイオレンスなゲームなの?
いやー基本的には超平和なんですけど、ヤベーやつがいるんですよね。
それが5月から北半球に出現するようになった「サソリ」です。


『あつ森』のあのサソリは実在する?
『あつ森』に登場するサソリは北半球では5~10月の夜間にだけ出現します。現実世界のサソリも温暖な気候を好み、そのほとんどが夜行性です。よってその辺りの生態はなかなかよく再現されていると言えます。


……ところでサソリって何種類ぐらいいると思いますか?
なんとその数たるや千数百種にものぼると言われています。
多くの種は熱帯、亜熱帯地方に分布していますが、アメリカ南部や南欧といった温帯に産するサソリもいます。

では、『あつ森』に出てくるサソリはどれ?
というかあんなサソリ実在するの?あんなアブないのいたら夜の森歩くの怖いんだけど……。

さて、『あつ森』に登場するサソリの特徴としては

・全身が真っ黒
・他の虫たちと比較してもかなりデカい方
・ハサミが太くて立派
といった点が挙げられます。

これに該当するのは熱帯産の森林棲大型種、アフリカのダイオウサソリ類や東南アジアのアジアンフォレストスコーピオン類に限られます。ほら写真を見てくださいよ。完全に『あつ森』のアイツでしょう!

▲アジアンフォレストスコーピオンの一種(※みなさんは素手で触らないように!)
この黒々としたザリガニ並みの巨躯!リアルでもさぞデンジャーに違いない!!
……と思うじゃないですか?実は全然そんなことないんです。

むしろこの手の大型種は毒自体は弱くて、むしろマッチョなハサミによる物理攻撃が得意な傾向にあります。刺されると痛いことは痛いですが、一撃ノックアウト!ってほどではありません。痛みレベルはハチに刺されるのとどっこいくらいかな?
とはいえ、虫毒の症状は個人差がありますから刺されないよう十分に注意しましょう。

▲ハサミと尻尾を振りかざしてこちらを威嚇するサソリ。向こうからわざわざ刺しには来ない。
また、ゲーム内のように接近しただけでこちらを追いかけ回して刺してくるということもありません。
サソリ全般に言えることですが、性質はかなり臆病。毒針を振るうのは本当に追い詰められた際の奥の手、最後の手段なのです。
まあ、不用意に近づいたりちょっかいを出さなければ安全という点はリアルも『あつ森』も同じなわけです。

ちなみにこのダイオウサソリ類やアジアンフォレストスコーピオン類はおとなしくて毒性も強くなく、さらにはデカくてカッコいいということでペットとしても人気。種によって数千円から数万円で取引されます。
超キケン!という部分にはゲーム性を高めるための演出もありますが、いい値段で売買されるという点はリアルなわけですね。

実は日本にもいるぞ!!
ところでサソリといえば現実世界では「あくまで海外の生き物」「実際に遭遇することはありえないだろう」と考えてしまいそうなところですよね。
が、しかし。実はこの日本にもサソリが生息しているんです。とは言っても石垣島や西表島などの八重山諸島に限った話ですが。

八重山に生息するサソリは二種、マダラサソリとヤエヤマサソリという種です。

▲マダラサソリ
▲ヤエヤマサソリ。小さい!でもこれでオトナ!
どちらも小型でマダラサソリは尻尾の先まで勘定に入れても6cmほど。ヤエヤマサソリに至っては3cm程度しかありません。

毒性も強くなく、マダラサソリの場合はミツバチよりも軽症(※あくまで筆者個人のケース)で済み、ヤエヤマサソリに至っては毒針が貧弱すぎてそもそも皮膚に刺さらない(!)ほどです。
よかった!これで石垣島旅行も怖くないですね!あ、でもハチやサキシマハブはいるのでそっちは気をつけてくださいね。

と、ここまであまり毒の強くないサソリの話ばかりしてきましたが、もちろん世の中には猛毒の種もいます。中には刺されれば命に関わるものも…。

▲本当にこうならないとも限らないですからね…!
というわけでみなさんはリアルの世界で海外旅行などへ行った際には、サソリを見かけても絶対に不用意な接触は避けるようにしましょう。
小さくて地味な見た目のサソリが案外に強力な毒を持っていたりもしますから…。
サソリ捕まえるなんて冒険は『あつ森』内だけにしときましょ!



■著者紹介:平坂寛
Webメディアや書籍、TV等で生き物の魅力を語る生物ライター。生き物を“五感で楽しむ”ことを信条に、国内・国外問わず様々な生物を捕獲・調査している。現在は「公益財団法人 黒潮生物研究所」の客員研究員として深海魚の研究にも取り組んでいる。著書に「食ったらヤバいいきもの(主婦と生活社)」「外来魚のレシピ(地人書館)」など。
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