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小沢仁志「俺はビデオショップの帝王」全国2000軒に直営業

SmartFLASH

 

 30年にわたりVシネマ界に君臨し、出演作は500本、作中で “殺した人数” は2000人を超える。俳優・小沢仁志(57)のスタミナ源は、ずばり肉だ。

 

「Tボーンステーキとか、骨付き肉が好きでね。スペアリブの肉と骨のあいだに薄皮があるだろ。あれを、ツーッと歯で剥がしてると、勃ちそうになるんだよ(笑)。今回も、最近通ってる焼き肉屋に、俺から連絡を取らせてもらったんだ。

 

 

 この店は開店して、まだ1年くらいだけど、大将のマサとは、こいつが前の店にいたころからのつき合い。マサは目利きで、A5ランクとかにこだわらず、ちゃんと吟味した肉を出す。名物の特上ハラミには、辛子醤油が最高だよ。もう焼けたのか? ハフッ……はぁ、うめぇ。記者さんも早く喰いな。

 

 大将、『二階堂』のソーダ割りもお代わりね。これで何杯めだっけ? 俺、このあとも飲み会があるだけだから、いいよな」

 

 そう言って、豪快なペースで飲み続ける。

 

「まぁ、我ながら飲んで食べての毎日がよく続くと思う。だけどな、いくら俺が “鉄人” でも、こないだ数日間入院してさ。病気じゃねえよ。飲み疲れ(笑)。不健康な生活をこのまま続けるためにも、たまには休まねえとな。

 

 俺も酒豪といわれるけど、松方(弘樹)さんの足元にも及ばねえよ。あの人、銀座でヘネシーとかストレートであおって、『さあ寝よう』というときにも、ベッドのサイドテーブルに置いたボトル、半分クッと飲んじゃうんだから(笑)」

 

 そして小沢は、“恩人” について語り始めた。

 

「松方さんには、かわいがってもらったよ。テレ朝の『素浪人月影兵庫』(2007年)に推薦してくれて、相方の“ 焼津の半次” を演じたんだけど、現場は(東映)太秦のベテランスタッフが多くてね。

 

『Vシネ風情が』みたいな空気を感じたし、俺も最初はツッパってたから、のっけからわざと遅刻したり、衝突した。それを松方さんは、叱りながらも、かばってくれたんだ。クランクアップでは、『新たな俳優・小沢仁志の誕生に立ち会えて嬉しい』と言ってくれてさ……」

 

 そう松方さんに思いを馳せると、ふと思い出したように、手元のジョッキに目をやる。

 

「それにしても、(石原)裕次郎さんや勝(新太郎)さん、梅宮(辰夫)さんもそうだけど、大物ってなんで、ああもブランデー好きかねぇ。

 

 俺? 酒はもう、麦焼酎のソーダ割りばっかり。どこでも置いてるし、クセがないしな。クセが強い焼酎は、炭酸で割るとマズいのよ。それに、その手の酒は、ちびちびとロックでやるだろう。あんな飲み方してたら老けるって(笑)」

 

 二階堂ソーダをあおり、“小沢節” は続く。

 

「だいたい、堅っ苦しいとこが嫌いなんだよね。寿司だって、回ってるほうがいい。カニサラダ巻き、ツナサラダ巻き、大好きだもん。一回、連れてってもらった銀座の寿司屋でカニサラダ巻きを頼んだら、本物のカニにマヨネーズが入ったのが出てきた。それじゃねえんだよなぁ~。

 

 後輩にもよく言うんだよ。『「(洋服の)青山」のスーツでも、着こなせば「アルマーニ」になる』って。俺ら役者ってそういう商売。

 

 それに、“うまい・安い・早い” が、Vシネだからね。いまも年間30本は撮ってるよ。昔の映画は、2本立てで週替わりだっただろ? それに近いサイクルで作ってるから」

 

1984年のデビュー当時の小沢

 

 さらに、みずからの “二つ名” にまつわる、驚きの秘話を明かしてくれた。

 

「よく言われるけど、俺は自分が “Vシネマの帝王” だとは思ってない。“ビデオショップの帝王” だと思ってる。意味わかるか? 全国2000店のビデオショップを、まわってきたからだよ。電話営業なら、ざっと6000店はしたよ。

 

 店長会議にも出たし、ビデオソフトの営業マンが持って歩く、手書きの指示書まで作った(笑)。それで、『広島やくざ戦争』(2000年、辻裕之監督)は1万7000本売ったんだ。

 

 今でも、撮影で地方行くだろ。ビデオショップ見つけたら、すぐ入ってって、店長とツーショット撮る。そこまでやらなきゃダメ。どんなにいい作品作っても、負けたら次はない。そこまでやるから、俺のビデオはコケねえんだ」

 

 しかし、小沢の “ホーム” であるビデオショップは今、苦しい状況にある。

 

「たしかに、数は減ってきてる。だけど、俺は今が攻めどきだと思ってる。少し前まで、『Vシネ? 『アウトレイジ』のこと?』と言われたり、芸能事務所に『うちの俳優は、Vシネには出しません』と言われてた。

 

 いまは動画配信サイトで『日本統一』が3位~4位とかにランクインしたりする。すると、俳優のほうから『出演させてくれ』と頼みに来るよ」

 

 追い風が吹いているのは、出演者の面だけではない。

 

「各地に『小沢会』というのが自然発生的にできてきて、ロケ協力をしてくれるわけ。『日本統一』は5月の新作で39本めになるけど、エキストラや劇中で使う車も、そうやって調達しちゃう。

 

 それでもまだ、『フィルム・コミッション(※)』も知らない自治体の首長がいるからね。こないだも、四国のある市長を直に口説いて、『日本極道戦争』の撮影をそこでやった。ドロドロのヤクザものだけど、しっかり観光地をアピールして、旨いもの食うシーンも入れてよ(笑)。

 

『Vシネを応援してくれてる人が増えている』という実感があるんだよ」

 

 ファンからは “兄ぃ(あにぃ)” と慕われ、ブログには「メルセデス、2台持ってます。撮影に使ってください」というラブコールがくることも。ファンや共演者、仲間たちの心を掴み、旅をしては旨いものを喰らう。男冥利に尽きる。

 

※フィルム・コミッション:自治体や観光協会などが主体となり、映画やドラマの誘致や撮影支援をする機関

おざわひとし
1962年6月19日生まれ 東京都出身 1983年に『太陽にほえろ!』(日本テレビ系)に出演後、『スクール☆ウォーズ』(1984年、TBS系)で本格的に俳優デビュー。1990年の『ベレッタM92F 凶弾』(原隆仁監督)以来、Vシネマ出演歴は30年になる。映画監督、プロデューサーの顔も持つ。最新情報は、「小沢仁志 オフィシャルブログ」にて

 

【SHOP DATA/焼肉一七三】
・住所/東京都渋谷区恵比寿西1-9-2 YAMAビル1F
・営業時間/15:00~25:00(LO24:00)、日祝15:00~23:00(LO22:00)
・休み/不定休

 

取材&文・鈴木隆祐

 

※※本記事の取材・撮影は「緊急事態宣言」前におこなわれました

 

(週刊FLASH 2020年4月21日号)

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