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温水洋一、芸人扱いされる葛藤を救った「浜田雅功」の言葉

SmartFLASH

「僕が、さんまさんに漫才を教わるシーンがあって、そこが大ウケしたんです。さんまさんも気に入ってくださったみたいで、公演が進むにつれアドリブが増え、そのシーンがどんどん長くなっていく。最終的には10分くらいになっていました。

 

 そして千秋楽の2日後、急遽『踊る!さんま御殿!!』(日本テレビ系)にゲスト出演することになったんです」

 

《すんまへん、番組観覧の方はご遠慮ください》
 ひな壇に座った “小心な中年男” を、さんまがいじり倒した。すまなそうに困惑する姿が人気を呼び、「ぬっくん」と呼ばれる愛されキャラを確立した。ただ、そこには葛藤もあった。

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「まだ当時は、役者と芸人がはっきりと分かれている時代だったので、正直しんどかったですし、苦悩もありました。下北沢の舞台仲間には、『舞台人なのに、なんでバラエティ番組ばかり出てるんだ』『好き放題に言われすぎだろ』と、さんざんに言われました。

 

 当時、僕が番組に呼ばれるときは役者でなく、芸人さんの枠。まったく知らない若手の芸人さんにまで、容姿や髪の毛のことばかりをいじられつづけました」

 

 役者として悩む温水のことを、ダウンタウン・浜田雅功が目に留めていた。

 

「『ダウンタウンDX』(日本テレビ系)に出て3回めのとき、浜田さんに『温水はそのままでええんや。芸人と一緒にワイワイやると、お前が損するで。役者のままでおれ』とアドバイスされたんです。それで、無理に張り切って前に出ることをやめ、自然体でいられるようになった」 

 

25歳当時、「王将」バイトの休憩時間中

 

 顔も名前も浸透し、ドラマや映画の仕事も急激に増えた。

 

「オファーが増えたのは、『温水は、番宣でバラエティにも出てくれる』みたいな計算が、配役担当者にあったのかもしれません。僕も、映画やドラマのほかに、番宣の仕事もいただけるので、正直ありがたかったです(笑)」

 

 数えきれない出演作から、印象に残る仕事を聞いた。

 

「2018年に亡くなった江波杏子さんと、新国立劇場で共演させていただいた『ご臨終』(作・モーリス・パニッチ、演出・ノゾエ征爾、2014年)は忘れられないですね。

 

 大きな劇場で二人舞台。江波さんは死を目前にした病人の役で、ほとんど僕しかしゃべっていない(笑)。『こんな量の台詞を覚えるのは無理だろう』と思いながら、毎日必死で取り組んでいたので、印象に残っています」

 

 どんな作品でも、温水は台詞をなるべく完全に覚えてから、現場に入る。

 

「僕、家ではまったく台詞を覚えられないんです。駒沢公園を何周も歩きながらだったり、ガヤガヤしたチェーン店の中だったりしたほうが、逆に集中できるんです。

 

 そうやって台本を(頭に)入れたあと、『餃子の王将』のような店に入って、餃子とニラレバ炒めを頼んで、お酒をサクッと飲んで早めに帰る。毎日、そんな感じですね」

 

 芸歴は32年になる。2017年には、演劇界の権威ある賞である「第52回紀伊國屋演劇賞個人賞」を受賞。2019年には、「小劇場出身ゆえに敬遠してきた」という、明治座での大衆演劇にも挑んだ。

 

 下北沢から引っ越してからも、長い時間がたった。

 

「下北沢は、僕にとっての “登竜門” でした。25歳のとき、僕も早く『スズナリ』や『本多劇場』の舞台に立ちたいと思っていました。懐かしさもあるけど、今でも、この街の劇場の舞台に立ちたいと思っています。いつも存在を意識している場所ですね」

 

 下積み時代、週に5~6回働いた店があった街。優しかった当時の店長は、お金のなかった温水に、余った餃子を持たせてくれた。そんな「餃子の王将」の制服に、温水は30年ぶりに袖を通した。

 

「いやあ、懐かしいなあ。この店にも、ライスを借りにきたことがあったんです。本当に懐かしい」

 

 下北沢、ニラレバ炒め、演劇。すべてを愛した男の笑顔があった。

ぬくみずよういち
1964年6月19日生まれ 宮崎県出身 1988年より劇団「大人計画」に参加し、さまざまな小劇場に出演。1994年退団。80本以上の映画に出演するかたわら、バラエティ番組でも注目を集め、『ぶらぶらサタデー・タカトシ温水の路線バスの旅』(フジテレビ系)は、放送13年めに突入。2017年には、舞台『管理人』(作・ハロルド・ピンター、演出・森新太郎)で「第52回紀伊國屋演劇賞個人賞」を受賞

 

【SHOP DATA/餃子の王将 下北沢店】
・住所/東京都世田谷区代沢5-36-16
・営業時間/11:30~22:00(20:00~22:00はテイクアウトのみ)※短縮営業中
・休み/なし

 

(週刊FLASH 2020年5月12・19日号)

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