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一瞬で江戸時代! 中村勘九郎、中村七之助『全国芝居小屋錦秋特別公演2017』制作発表記者会見レポート

SPICE


中村勘九郎、中村七之助を中心とした中村屋一門が毎年行う全国巡業公演「錦秋特別公演」。13年目を迎える今回は、各地の一般的なホールや劇場ではなく、江戸後期から昭和初期に築かれた全国の古い芝居小屋を巡る特別企画で注目を集めている。

会場となるのは、加古母明治座(岐阜県)、東座(岐阜県)、相生座(岐阜県)、金丸座(旧金毘羅大芝居、香川県)、内子座(愛媛県)、八千代座(熊本県)、嘉穂劇場(福岡県)、ながめ余興場(群馬県)の全8か所。11月3日の開幕に先がけて都内で開かれた制作発表記者会見に、中村勘九郎、中村七之助が登壇した。

一流の文化に触れる場所

「芝居小屋は、その町の人々にとって、かつて一流の芸に触れる場所であり、暮らしに潤いと楽しみをもたらす場所でした。伝統と文化を育む場所でもありました」

そう語るのは、全国芝居小屋会議会長の稲本隆寿氏。時代の変化によりテレビ・映画など、新たな楽しみの登場により芝居小屋の存在感が薄らいでいったことを指摘。一方で、特色ある使い方や工夫により、新たな光を放っている小屋もあると語り、「今回の公演を通し、各地の小屋の素晴らしさを再発見し、新しいイメージを与えていきたい。伝統・文化が町の未来を切り拓く大きな力になるように取り組んでいきたい」と意気込みを語った。


左から、全国芝居小屋会議会長・稲本隆寿氏、中村勘九郎、中村七之助



勘九郎と七之助、ふたりの父である十八代目中村勘三郎は、2005年より始まった襲名披露興行の一環で、2006年にも各地の古い芝居小屋で巡業をした。七之助はその公演に出演。勘九郎も当初その予定であったが、自身の右ひざの怪我により出演を断念した経緯がある。勘九郎は挨拶で次のようにコメント。

「とても楽しみです。今回はリベンジということで、新鮮な気持ちで舞台に望ませていただきます。一生懸命芝居し、町の方々に笑顔になっていただければうれしく思います。前回2006年の全国芝居小屋公演については、父をはじめ、皆さんから面白いエピソードをいろいろ聞かされておりました。ぜひ今回、私も体験したいです」


中村勘九郎



七之助も、挨拶で2006年の公演をふり返る。

「芝居小屋は三者三様です。その小屋、その小屋に、父との思い出、町の方々との思い出が詰まっております。当時を懐かしみながら、兄弟で力をあわせ芝居小屋に魂を入れたいと思います」


中村七之助



『全国芝居小屋錦秋特別公演2017』演目

各地での演目は、下記のように発表されている。

一、 歌舞伎塾
二、 棒しばり
三、 藤娘

『歌舞伎塾』では、勘九郎と七之助が歌舞伎の舞台裏を紹介する。『棒しばり』は狂言からきたとても愉快な演目。「心から笑って楽しんでいただきたい」と勘九郎は語った。『藤娘』は、美しく艶やかな女形の魅力を楽しめる一幕となるだろう。


会場ではツアートラックのデザインもパネルにて公開された。全国芝居小屋錦秋特別公演2017 ツアートラックイメージ図



入った瞬間、江戸時代

昔ながらの芝居小屋で観る歌舞伎の魅力として語られたのは『空間』と『一体感』。

「入った瞬間から江戸時代。古い時代にタイムスリップできます。あとはお客様との一体感です。芝居中、花道に座るとお客さんが扇いでくれるんでしょ?」

勘九郎の問いかけに、七之助は笑顔でマイクをとる。

「2006年の芝居小屋公演は、九月でした。こしらえなしの紋付で連獅子をやったのですが、世界一暑い公演だったという思い出があります。父もそう言っておりました。また、外の虫の音が聞こえてくると(劇中の世界は)本当にこんな雰囲気だったのだろうとも思います。父が目指していた『お客様と舞台の仕切りを限りなくなくし、一体感を創る』という意味で素晴らしい小屋です」


中村勘九郎、中村七之助



個性豊かな各地の芝居小屋

会見中は、各地の芝居小屋でのエピソードも次々に披露された。

「内子座(愛媛)は『え!住宅街じゃん!』という場所にあるんです。現代と昔の融合。地域に根付いていると感じました」と勘九郎が語ると、七之助は「相生座(岐阜)は楽屋口の前がゴルフコース。襲名披露の格好で皆でゴルフ場に出て、篠山紀信先生に写真を撮ってもらいました」とふり返る。さらに、七之助は歌舞伎座ではまず見られない”おひねり”が飛んでくることも明かした。

「お客様もよくご存じで、名台詞のあとにバーッとおひねりが飛んでくるんです。それが、頭や顔に当たると痛いんですね。(歌舞伎座などでは)そのような経験をすることがありませんから、これもライブ感だなと思いました」


中村勘九郎、中村七之助



続けて七之助が「実は、加子母明治座さん(岐阜)の館長をしているんです。でも名ばかりで、館長になってから一度も行ったことがありません。今回は館長らしいところをみせないといけない」と明かせば、勘九郎も「彼の館長ぶりを楽しみにしております。そして実は、私は東座さんの館長なんですね(笑)。私もがんばらないと!」と続き、会場の爆笑を誘った。


中村勘九郎



「かつて、香川県・金丸座の公演は3日間でした。それが今では(毎年4月のこんぴら歌舞伎として)約1か月公演となり、歌舞伎におけるひとつの財産となっています。今回の芝居小屋も、もしかしたら私たち兄弟がまわることでまた息を吹き返し、他の歌舞伎役者さんも公演にくるようになれば。そんな可能性を秘めている公演だと思っています」

七之助のコメントに、勘九郎も時折深く頷き耳を傾けた。『全国芝居小屋錦秋特別公演2017』は、11月3日より11月26日まで全国8か所の芝居小屋を巡演予定。


会場には、各芝居小屋の代表者たちも顔をそろえた。『全国芝居小屋錦秋特別公演2017』制作発表



◆公演情報

中村勘九郎 中村七之助 全国芝居小屋錦秋特別公演2017

一、歌舞伎塾
中村勘九郎
中村七之助 ほか
 
二、棒しばり(ぼうしばり)
次郎冠者:中村勘九郎
太郎冠者:中村鶴松
曽根松兵衛:中村小三郎
 
三、藤娘(ふじむすめ)
藤の精:中村七之助
 
■日時/場所
かしも明治座(岐阜県中津川市加子母)
11月3日(金・祝) 11:00/15:00開演予定
問い合わせ:サンライズプロモーション東京 0570-00-3337(10:00~18:00)
 
東座(岐阜県加茂郡白川町)
11月4日(土) 13:00/17:00開演予定
問い合わせ:サンライズプロモーション東京 0570-00-3337(10:00~18:00)
 
相生座(岐阜県瑞浪市日吉町)
11月5日(日) 13:00/16:30開演予定
問い合わせ:美濃歌舞伎博物館 相生座 0572-68-0205(月曜を除く10:00~17:00)
 
旧金毘羅大芝居〈金丸座〉(香川県仲多度郡琴平町)
11月10日(金) 12:00/16:00開演予定
11月11日(土) 11:00/15:00開演予定
問い合わせ:四国こんぴら歌舞伎大芝居事務局 0877-75-6714(平日8:30~17:00)
 
内子座(愛媛県喜多郡内子町)
11月14日(火) 13:00/16:30開演予定
お問い合わせ:サンライズプロモーション東京 0570-00-3337(10:00~18:00)
 
八千代座(熊本県山鹿市山鹿)
11月16日(木) 12:00/16:00開演予定
11月17日(金) 11:00開演予定
問い合わせ:八千代座 0968-44-4004(9:00~17:00)
 
嘉穂劇場(福岡県飯塚市飯塚) 
11月18日(土) 12:00/16:00開演
11月19日(日) 11:00開演
問い合わせ:キョードー西日本 092-714-0159(平日10:00~19:00/土曜10:00~17:00)
 
ながめ余興場(群馬県みどり市大間々町) 
11月25日(土) 13:00/16:30開演予定
11月26日(日) 11:00開演予定
問い合わせ:サンライズプロモーション東京 0570-00-3337(10:00~18:00)
 
※開演時間は予定。変更される場合があります。

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