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日常が特別になる自分だけの灯火を。テナー×秦基博『灯り』

UtaTen

日常が特別になる自分だけの灯火を。テナー×秦基博『灯り』

募る気持ちを刻む帰り道の足音





冬の寒さも本格的になってきた夜。心身ともに凍ってしまいそうな帰り道。

時刻は「あと数時間で今日が終わる」ほどになってしまった。

普通であれば足取りも重くなってしまうところだが、主人公は「募る気持ち」を刻むように軽快な足取りで帰路についていた。

それは、「その笑顔が見たくなる」から。

彼が帰る家には、きっと大切な人が待っていてくれるのだろう。

その人の笑顔を想い浮かべるだけで、寒さで冷え切った体も心も、ほっこりと温かい気持ちになるのだ。

少しでも早く笑顔を見たいと思う人がいる。それだけで、日常はこんなにも光輝いてしまうのだ。

バスの窓に刻んだメッセージ





寒さはどんどん身体中に染み渡ってきて、思わずかじかんだ掌を握りしめる。

主人公は、こんな時にすら、その掌に大切な人への思いを込めている。

それはきっと、大切な人に会える喜びを噛み締めながら、もう少しだからと言い聞かせて寒さを耐えているのかもしれない。

そうしているうちにバスが来て乗り込むが、少しの間発車しないでバス停に留まっている。

「進まないバスの窓」からはそんな風景を思い浮かべることができるだろう。

そして、「指で書いたメッセージ」「すぐに消えて見えなくなってもこの胸に残ってるから」という歌詞からは、逸る気持ちを抑えきれない主人公が、結露で曇ったバスの窓に思わず大切な人への思いを指で書いてしまっているのが想像できる。

その姿からは少年のような純粋さが垣間見えて、微笑ましく感じられる。

勿論、指で刻んだ言葉は一瞬で曇って消えてしまう。

でもその気持ちはしっかりと「この胸に残っているから」という主人公。

何とも冬らしい情景と共に、人を思う温かさが溢れている歌詞である。

人は誰もがそれぞれの灯りを抱いて生きている





「ひとつひとつ違う灯りを 誰もが灯しながら」

人は誰でも、心にそれぞれの灯りを灯して生きている。

それは、大切な人であったり、大切な物であったり、目に見えない思いであったり。

こうした十人十色の灯火は他の誰とも比べられない唯一無二のものだろう。

この歌の主人公にとって、自分を照らしてくれる「灯り」は、まさしく家で自分のことを待ってくれている「大切な人」なのだ。

歌詞の中にある「歓びの歌」とは、決して特別な歌ではなく、ただのBGMであっても、「灯り」の存在を思うだけでそれが「歓びの歌」となって心に鳴り響くのではないだろうか。

君に会いたくてバスを降りて駆け出している、そんな高鳴る気持ちを「歓びの歌」がより一層華やかに演出しているのかもしれない。

ストレイテナー×秦基博が紡ぐ『灯り』は、「僕の心照らす灯り」によって輝く主人公の心情を時系列で描いた、心温まる冬の情景なのである。


TEXT もりしま

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