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新型肺炎の影響で…アメリカでも徐々にアジア人差別が

SmartFLASH

販売中のマスク

 

 サンフランシスコの中華街でチャイニーズ・ニューイヤー・パレードが8日に開催された。

 

 北米で最も古い中華街のパレードは1860年代からの歴史があり、テレビで生中継されたほか、ミス・チャイナタウンUSAコンテストなどもおこなわれた。

 

 

 パレードに参加したグループ数は例年と変わらず100以上で、サンフランシスコ市長の姿もあった。

 

 ただし人出は例年に及ばず。市内の病院では2名の新型肺炎患者が手当てを受けている最中だけに、メインの観覧席ですら空席が目立った。

 

 アメリカでも新型肺炎の関心度は高いが、大統領の弾劾裁判や野党の候補者選び、バスケ選手の事故、スーパーボウル、アカデミー賞など大きなニュースが次々と並び、新型肺炎に関するニュースの扱いは2番手になりがちだ。

 

 中国に関するイベントも場所によって中止されたり、開催されたりと反応が分かれている。サンフランシスコから南に50キロほど離れたパロアルト市で開催予定だった旧正月イベントは中止されている。

 

 各地で中国人に対する差別が表面化してきた。アジア系の多い西海岸ではどうだろうか。

 

 サンフランシスコ市の人口880万人のうちアジア系は3割強、なかでも中国系は21%を占める。南に60キロほど離れたアップル本社のあるクパティーノ市は人口の約7割がアジア系である。場所によっては周りがアジア人だらけになることもしょっちゅうだ。

 

 そんな状況でも、ちょっとした差別が話題になり始めた。

 

 現地で報道されているのはウーバーやリフトなどの配車サービスの運転手が中国人を拒否しているというもの。呼び出し者の名前が中国系だと応じない人も多いそうだ。空港でドアを開けてもらえなかったアジア人もいる。

 

 日本人でも、小売店で商品に触るなと言われたり、試着室があるにもかかわらず試着はできないと断られたケースがある。後から「あなた達は中国人じゃないのね」と言われたそうなので、新型肺炎を懸念して店側が取った行動なのだろう。

 

 アジア系が少数の東海岸ほどではないが、アジア人として居心地の悪い思いをする機会が増えそうだ。

 

 ちなみに、マスクは依然として少数派である。もともとマスクをして出歩く習慣がない上に連邦機関の疾患予防センター(CDC)が着用をすすめていない。

 

 マスク姿に見慣れていない人は、マスクが防御のためだとかエチケットだとは判断できず、一瞬警戒してしまうだろう。メディアで見た中国の写真を連想し、恐怖心を抱いてしまうのもうなずける。

 

 近隣の学区の教育長が生徒の家庭に送ったメールも、「マスクの必要はないが使用は許可する」という内容だった。学校内は中国人留学生の多い大学でマスク姿を見かけるくらいで、ほかには見当たらないという。

 

 不思議なことに、店舗ではマスクの売り切れが続出している。手の消毒液も品薄状態だ。やはりアジア系が買い占めているのかもしれない。

 

 最近、多くの人が汗を流すジムに小さな張り紙が一枚だけ貼り出された。

 

「器具を使ったら拭きましょう、手をよく洗い、くしゃみをするときは口をカバーしましょう」という一般的な衛生マナーを書いた紙で、風邪やインフルエンザが移らないようにするためだとしている。新型コロナウィルスという文字は一言もない。

 

 表面的には冷静を装いながら、内面では新型肺炎を警戒している風潮がここに表れているような気がする。(取材・文/白戸京子)

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