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映画「ジョーカー」日本語吹替版で味わう、アーサーの心に刺さる台詞

キネマ旬報WEB

映画「ジョーカー」日本語吹替版で味わう、アーサーの心に刺さる台詞

日本興収50億円超!「ジョーカー」が共感を得た理由

しがないピエロだった男アーサー・フレックが、人々から恐れられ、後にバットマン最大の宿敵ジョーカーとなるまでに迫った「ジョーカー」。日本興収50億円超、世界興収10億ドル超の大ヒットとなったが、派手なVFXも超人も出てこない。にもかかわらずここまで受け入れられたのは、あまりに〝現在〟とシンクロする物語だったからだろう。広がる一方の格差、そこから生じる分断。その犠牲者として徹底的に追いやられるアーサーの姿を通し、社会の歪みや闇が世間を揺さぶる悪を生み出す負の循環を浮き彫りにしてみせた。さらに、そうしたテーマを全身全霊で体現したホアキン・フェニックスの存在も成功の要因となったのは間違いない。

歴代ジョーカーとは異なる、ホアキン演じるジョーカー

24キロもの減量で痩せ衰えさせた肉体と落ち窪んだ眼窩の奥から放つおぞましさ、狂気、哀しみもさることながら、最大の功績は観る者をアーサー=ジョーカーに共感させたことだろう。ジャック・ニコルソン、ヒース・レジャー、ジャレッド・レトが演じてきたジョーカーは絶対に理解できない狂気と悪意を宿していたが、ホアキンのジョーカーはそれを納得させてしまう。戸惑いと恐れを抱きながら、どこか傍観者として歴代ジョーカーの凶行を目にしてきたが、ホアキンはジョーカーをあくまで市井の人間として演じることで我々を当事者のような気持ちにさせ、やむなくアーサーが〝悪堕ち〟するさまを見入らせるのだ。もちろん、監督&脚本のトッド・フィリップス、脚本のスコット・シルヴァーの鋭い視点もあるだろうが、それを形にできたのはホアキンがいたからこそ。

劇場公開時は字幕のみ、吹替版でこそ味わえるジョーカーの名台詞

また今回のリリースで無視できないのは、「∪ターン」(97)の頃からホアキンの声を務めている平田広明がジョーカー役を演じていること。ジョニー・デップのフィックス声優としても知られ、そのカメレオン俳優ぶりを見事に表現して本人からも公認されているほどの名声優だ。そんな彼が轟かせる一度聞いたら耳から離れなくなる高笑いに加えて刺さってくるのが、「なんで、みんな僕を邪険にする? なんでだよ? 僕はなんにもいらない。欲しいのは温もりとハグなんだよ!」「僕の人生は喜劇だ。みんなだって、この社会だってまさにそう。善と悪を主観で決めている」「僕が歩道で死にかけても、踏みつけて通るくせに」といった名台詞の数々。字幕を追わずに没頭できる吹替版ならではの妙味とジョーカー=ホアキンと一体化した平田の大熱演が相まって、凄まじい哀しみと怒りがグイグイと迫ってくる。字幕版のみの劇場公開だったからこそ、このバージョンをDVD/BDで堪能していただきたい。

文=平田裕介/制作:キネマ旬報社(キネマ旬報2月上旬号より転載)

『ジョーカー』

●1月29日(水)発売
【初回仕様】ブルーレイ&DVDセット(2枚組/ポストカード付)4,527円+税
【初回仕様】4K ULTRA HD&ブルーレイセット(2枚組/ポストカード付)6,345円+税
●2019年・アメリカ・カラー・16:9(ビスタサイズ)・音声1(英語:ドルビーTrueHD ドルビーアトモス)/音声2(英語:ドルビーデジタル5.1ch)/音声3(日本語吹替:ドルビーデジタル5.1ch)・本篇122分+特典映像29分
●監督・脚本/トッド・フィリップス脚本/スコット・シルヴァー
●出演(声)/ホアキン・フェニックス(平田広明)、ロバート・デ・ニーロ(野島昭生)、ザジー・ビーツ(種市桃子)、フランセス・コンロイ(滝沢ロコ)
●特典映像/メイキング等
●発売・販売/ワーナー・ブラザース ホームエンターテイメント
TM & ©DC. Joker ©2019 Warner Bros. Entertainment Inc., Village Roadshow Films (BVI) Limited and BRON Creative USA, Corp. All rights reserved.

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