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自主トレから大物感漂う広島のドラフト1位・森下暢仁への期待

週刊ベースボールONLINE


森下暢仁は、表情も明るく、今のところマイペースで自主トレを進めている

 年が明け、各選手が自主トレをスタート、いよいよキャンプインへ向け、プロ野球界も動き出した感じだが、中でも動きが注目されるのは、やはり各チームの新人選手たちだろう。スポーツ紙でも、佐々木朗希(ロッテ)が走った、奥川恭伸(ヤクルト)が投げたと、連日活字が躍っているが、広島期待のドラフト1位・森下暢仁も、1月8日から始まった新人合同自主トレで、早くも大物ぶりを見せているようだ。

 自主トレ初日には、キャッチボールだけで「ヒジのしなやかさがあって、スピンの効いたボールを投げている」と高信二ヘッドコーチをうならせ、12日の体力測定では「方の動きがきれいで、筋持久力もある」と理学療法士からお墨付きをもらい、13日には視察した佐々岡真司監督から「何をやってもセンスがいい。投げ方もバランスがよく素晴らしい」と絶賛され……といった具合だ。

 そして、そういったプレーの面以上に感心させられるのは、周囲に乗せられたり、流されたりすることなく、あくまでマイペースを貫いているところだ。他のルーキーが居残り練習に汗を流した初日も、無理することなくサッと切り上げ、また、早期のブルペン投球を期待する周囲に対しても、「プルペンでガンガン投げるタイプではないので……。入ろうと思ったときに入ればいい。トレーニングをしたほうが力がつくと思う」と、自主トレ期間中はあまりピッチングを行わず、内野ノックやバッティング練習などで体のキレをつくっていく調整法を打ち出している。この辺は、やはり高卒ルーキーとは違うところで、自らの状態を自分で把握している、という自信と、さらにはそのやり方で自分はやれる、という確信がなければなかなかルーキーでできることではない。森下になんとも大物感が漂うゆえんだ。

 そういえば、昨年、明治大OBの評論家・川上憲伸さんとの対談をしてもらった折、後輩の森下のほうが先に会場に到着したのだが、こちらが着席を勧めても、「いえ、そういうわけには……」という感じで、先輩の到着まで頑として立って待っていたことを思い出す。「一見やさ男でも、さすが、明治で主将をしただけのことはある」と思ったものだが、自らが「こうすべき」と判断したら、周りが何と言おうと、その判断を貫き通す、という部分は、自主トレでのマイペースぶりにも何か通じるところがあるような気もする。

 もちろん、キャンプに入って全体練習が入ってくれば、そこはチームの一員として合わせなければならないが、現在は文字どおり「自主トレ」の時期で、さらに言えば、プロ野球選手はやはり「個人事業主」。まずは自分の思うように、自分のペースで事を運んでみて、それで結果が出てくれればそれが一番で、そのときは周囲もあれやこれやいうことはないものだ。もちろん、もしそれで結果が出なければ、周囲からいろんな声が起こってくる可能性はあるわけだが……。

 今季のルーキーの中では即戦力No.1と言われる森下だけに、いずれにしても結果を出して周囲を納得させなければいけない責任があることは変わらない。であれば、人にペースを作ってもらった中で戦うよりは、まずは自分のやり方でプロの世界にぶつかっていってみたい、そんな思いもあるのかもしれない。自分なりのやり方で新しい世界に挑んでいく、今までにはあまりいなかったニュータイプのルーキー。その挑戦がキャンプ、オープン戦、そしてシーズンと、どのように進み、そしてどんな結果を見せてくれるか、楽しみに見ていきたい。森下の自己分析と、その判断が確かであればあるほど、目標である新人王も、カープの今季の逆襲も、実現に近づいてくるはずだ。

文=藤本泰祐 写真=BBM

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