前回の第5話では、施設に戻る途中、姿を消した柏崎広(道枝駿佑)。門倉麻子(小池栄子)のもとへ戻ったのかと心配する柏崎結衣(沢尻エリカ)だったが、実は施設の先輩である田中今偉(望月歩)の母親探しに出かけたのだった。しかし、見つかった母親は今偉を邪険に扱い、それでも彼は「自分を産んでくれた、たった一人のかけがえのない家族」だと泣きながら呟く。その言葉を噛みしめた広は「あの家に帰ります!」と、結衣と柏崎陽一(藤木直人)のもとへ帰って行った。しかし、突然、麻子が「ここで働くことになりました」と柏崎オートへやって来て…。そして今回放送の第6話は——ようやくあの時、何があったのか麻子の過去とともに明かされる!
母になる、ってどういうことですか?
麻子が人殺しだと聞かされ、激しく動揺する結衣。柏崎オートまでやって来た麻子に、一旦、柏崎里恵(風吹ジュン)のマンションへと引き上げてもらう。すぐに児童福祉司の木野愁平(中島裕翔)を呼び出し、どういうことなのかと事情を聞いた。すると驚いたことに、麻子は2年前、知人の男性をナイフで刺し、殺人未遂で実刑判決を受けたというのだ。広を先に施設に預けてからの犯行だったので、広は未だにそのことを知らないという。
一方その頃、里恵も同じ話を麻子から聞いていた。「あの子のためなら何だってできる、死んだってかまわない。だって母親だから」と、麻子。「違うでしょ! あなたは一緒に暮らしていただけ」と里恵。「じゃあ、母親って何ですか? 母になるってどういうことですか?」そう問いかける麻子に、誰もが共感したことだろう…。
母親なら子供を守るために、人を刺してもいいんですか?
結衣に麻子のことを教えてほしいと言われ、木野は語り始める。服役中の麻子に会いに行ったのは、広が持っていた麻子からの手紙がきっかけだった。初めは麻子を本当の母親だと信じて疑わなかった。内縁の夫のDVから逃げるためあちこちを転々とし、怯えながら生きていた。そのために広の出生届も出さず戸籍もないままだったと言う。しかしある時、仕事場で一人の男性から一方的につきまとわれ、広に被害が及ぶといけないと思い、施設に預けたのだった。壮絶な話に木野は驚いたが、まだ、麻子はなにかを隠しているようだった。追及すると、麻子は力が抜けたように隠していた事実を話し始める。
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お母さん、ごめんなさい…。
「私とあの子は出会うべくして出会ったんです」と麻子。話はさらに過去へとさかのぼる。『立派な母親』に育てられたという麻子だったが、常に「女性は結婚して出産するのが幸せ」だと言い聞かせられていた。一人暮らしの麻子のもとへいつも送られてくる手紙。「結婚を考えてる人がいるそうですが、まだですか?」「早く可愛い孫の顔が見たい」「いつ、孫の顔を見せてくれますか?」それが段々とプレッシャーになっていくが、付き合っていた男には捨てられてしまった。しかし、妊娠していたことが判明し、産もうと決意する。ところが流産してしまい、「ごめんなさい…ごめんなさい」と母親に対してさらに負い目ができてしまう。
そんな時、アパートの隣の空き室から子供の泣き声が聞こえたのだった…。
私がこの子の母になる
不思議に思い、隣の部屋を覗いてみると、ゴミのなかに泣いている男の子がいた。虐待されて置き去りにされたのだと、麻子は自分の部屋に連れて行く。「最初は一日だけ、あともう一日…」警察に連れて行かなくてはと思いながら、広の笑顔に癒されていった。「笑ったのは久しぶりでした。まだ、笑えるんだ、私…って」その後、広を交番に届ける決心をするが、やはりどうしてもそれができなくて強くこの手に抱きしめる。「私の居場所だ。私の世界がここにある、私がこの子の母になる」そう決意する麻子。色んな出来事や事情が重なり、もしかしたら本当に会うべくして会ったのではと、筆者は思ってしまった…。でも、本当の母の存在もあるのだ。
あの子のためだったら何だってできます
すべてを聞かされた結衣は考え込んでいた。あまりにも壮絶で切なく、しかも麻子の広への愛は本物だとわかってしまった…。
結衣はそのあと、決心する。麻子を柏崎オートで雇うと。周囲は一様に驚くが、結衣は明かす。「広のことを考えて決めたんです。あの子のためなら何だってできます」ここにも必死に母になろうとしている一人の母親がいるのだった…。