
毎年欠かさず初詣をしていても、その正式な作法についてよく分かっていないという人は少なくありません。よりすがすがしい気持ちで新年を迎えるためにも、基本的な作法や服装・注意点などをチェックしておきましょう。初詣で訪れたい主な神社も紹介します。
そもそも初詣とは?参る意味
毎年多くの人が行う『初詣』ですが、そもそもどのような歴史や意味を持つ行事なのでしょうか?まずは、『初詣』にまつわる基本的な知識から確認していきましょう。
旧年の感謝と新年の願掛け
一般的に『初詣』とは、『その年初めての神社仏閣への参拝』のことで、主に『旧年への感謝を捧げ、新年の願掛けをする』といった目的で行われています。
年中行事の一つとして広く浸透している習慣で、『明治神宮』や『成田山新勝寺』のような人気の社寺ともなると、初詣期間のみで例年300万人をも超える数の参拝者が訪れます。
初詣は、今や日本人にとってなくてはならない伝統行事の一つといえるでしょう。
初詣の歴史・由来
初詣の歴史を紐解いてみると、その起源は『年籠り』という古い習慣にあることが分かります。
『年籠り』とは、新年の豊作や家内安全を願い、その家の家長が氏神様を祀った神社で大晦日から元日の朝にかけて夜通し祈る行事のことです。
この『年籠り』は、やがて大晦日の夜に行われる『除夜詣』と、元日の朝に行われる『元日詣』とに分かれました。この内『元日詣』が、現在の初詣の原型と考えられています。
なお、『年籠り』の名残によって、もともと『元日詣=初詣』とは、地域の氏神様が祀られた氏神神社や、その年の恵方にある神社を訪れて行うもの(恵方詣り)でした。
近年のように、好きな神社仏閣を自由に訪れる風習は、鉄道をはじめとする公共交通機関の発展にともない、誰でも遠方へ気軽に足を運べるようになったことによって広まっていったものと考えられています。
神社とお寺のどちらに行くか
初詣を計画する際に、「神社とお寺、どちらに行ってもよいのかな?」という疑問を持つ人もいるのではないでしょうか。
実は、初詣の際は『神社』と『お寺』のどちらを参拝しても特に問題はありません。
もともと『神道』が土台にあった日本に『仏教』が伝来したのは6世紀のことですが、このとき、『仏』は神道における『神』と同質の存在として日本文化に浸透していきました。これを『神仏習合』といい、神・仏の区別なく信仰の対象とされてきたのです。
明治時代になって、神道の国教化推進や、『寺請制度』への反発などを背景に『神仏分離令』が発布されると、改めて『神道』と『仏教』は別の信仰として扱われるようになりました。
しかし、広く民衆に根付いた習慣が変化することはなく、人はみな初詣の参拝先としてそれぞれの氏神神社や菩提寺をはじめとする社寺を自由に訪れているのです。
いつまでに参ればよいの?
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初詣に行くタイミングは人によってさまざまです。「元日になったらすぐに参拝しなければ気が済まない」という人もいれば、「1月中に行ければOK」という人もいるでしょう。自分にとってのベストタイミングを選ぶためにも、初詣におすすめの期間を確認していきましょう。
一般的な感覚は三が日の間
初詣というと、「年が明けたらすぐに行くのがマナー」と考える人もいるでしょう。しかし、初詣について、「必ずこの時期に参拝しなければならない」といった明確な決まりはありません。
一般的には、1月1日~3日の『三が日の間』に行うのがよいと考えられていますが、たとえその時期をはずしたとしてもマナー違反にはあたらないので慌てる必要はないのです。
あえてタイミングをずらすことで人混みを避け、静かな環境の中でじっくり神仏に向き合ってみるのも一つの方法といえるでしょう。
松の内ならOKという考え方も
三が日に初詣に出かけられなかった場合、おすすめなのは『松の内』の間に参拝するという方法です。
『松の内』というのは、しめ縄や門松などの正月飾りを飾る期間のことで、諸説あるものの、『松の内=お正月』と考えられています。
なお、この『松の内』ですが、住む場所によって期間が大きく変わります。関東では1月1~7日まで、関西では1月1~15日までとする地域が多いでしょう。
松の内までに初詣を済ませられれば、『お正月の初詣』としては十分と考えてよさそうです。
喪中の場合
身内に不幸があった場合、初詣に行ってよいものなのかどうか迷ってしまうこともあるでしょう。喪中の参拝については、神社とお寺とでは考え方が異なります。以下、詳しく確認していきましょう。
まず『神社』ですが、そもそも『神道』において、『死』は『穢れ(けがれ)』であり、『忌むべきもの』とされています。神社に穢れを持ち込まないためにも、四十九日が過ぎる『忌明け』までは神社内へ足を踏み入れることは避けましょう。
この忌明け以降であれば、神社を参拝することは可能です。喪中(一周忌前)である以上、『正月飾り』や『年賀状』などのお祝いはNGですが、初詣については例年通り行えます。
一方『お寺』の場合、『仏教』自体に死を穢れとする概念が存在しないため、喪中であろうとなかろうと参拝は自由です。
むしろ、『お寺を訪れること=供養』として推奨されるため、喪中が気になる人はお寺を初詣先として選ぶと安心して参拝できるでしょう。
覚えておこう 初詣の正しい作法
では、いよいよ初詣の正しい作法について見ていきましょう。『神社』『お寺』それぞれの独自の作法から、両者に共通する作法まで詳しく紹介していきます。
神社への参り方
神社への参拝というと、細かいルールが多く面倒と思われがちですが、最低限の作法さえ押さえてしまえば決して難しいものではありません。以下、どのような神社を訪れても安心の基本の参り方を確認していきましょう。
- 鳥居前で服装を整え、神様への敬意を込めて一礼する
- 手水舎で柄杓を使い心身を清める
- 拝殿前で一礼し、邪気祓いの鈴を鳴らしてお賽銭を入れる
- 二拝二拍手一拝(神社によって違うこともあるため要確認)で拝礼する
- 軽く一礼し、その場を離れる
- 鳥居を出たら、改めて境内へ向き直り、神様への感謝を込めて一礼する