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世界の中年に捧ぐ! クリスマス大好き国からの豪速球『ラスト・クリスマス』

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執筆=のびめぐみ

何年も前に在住していた香港には、10月からクリスマスの話題を振る英国人がいた。「まだ早い」と返せば「クリスマスは今から楽しみにするもの」と真顔だ。また、無神論者を自称する別の英国人は、イブの夜に「Merry Something!」とヒネくれたメールを寄越した。キリストの誕生日は祝わないが、クリスマスという日だけは楽しみたいらしい。

ちなみに両者とも、英国のクリスマス映画『ラブ・アクチュアリー』(2003)を散々ケナしていたが、裏を返せばちゃっかり観ているということでもある。英国人はどうやらクリスマスが大好きらしい、とこのとき確信した。

前置きが長くなったが、そんなクリスマス大好き国を舞台にした久々の“豪速球”が本作『ラスト・クリスマス』だ。製作国は米国、監督はポール・フェイグ(米)、原案&脚本はエマ・トンプソン(英)という米国シフトではあるが、おなじクリスマス大好き国として「心を一つに力を合わせた」ような気がしなくもない。考えすぎだろうか。

(C) Universal Pictures 12月6日(金) TOHOシネマズ シャンテほか全国公開

舞台は現代のロンドン。クリスマスショップで働くケイト(エミリア・クラーク)は、男関係&生活態度が完全にアウトなダメギャル。ロマンティックなイルミネーションが光る季節でも、彼女の周囲ではトラブルが多発する。

そこに突然、白馬ではなく自転車に乗ったイイ男・トム(ヘンリー・ゴールディング)が登場。人当たりはいいがどこか不思議なトムに、ケイトは惹かれていく。だが、彼女自身にもまたトムにも、大きな秘密が存在していた。

タイトルはもちろんクリスマスソングのド定番、ワム!の同名曲から。この時点で、中年のストライクゾーンど真ん中を狙う“豪速球”だとわかる。更に、人生に行き詰った女性、突然現れるイケメン、明らかになる秘密……とくれば「お腹いっぱい」だが、テンポ良い脚本と構成は、鑑賞者をサンタクロースのソリに乗せてくれるだろう。トムのやや浮世離れしたキャラと相まって、ソリから見下ろすロンドンは現実であって現実ではないような、一種幻想的なムードを帯びてくる。

(C) Universal Pictures 12月6日(金) TOHOシネマズ シャンテほか全国公開

ソリの速度を速めてくれるのは、ワム!とジョージ・マイケルの名曲だ。そのうち気づけば、洋楽ブームに胸を熱くしていたティーン時代がふつふつとよみがえってくる。何を聴いても新鮮で、何を見てもカッコ良くて、周囲が刺激に満ち溢れていたあの若い日々。新しいモノが次々と生まれる中、「これから先もきっと楽しい!」なんて、漠然と信じていたピュアなマインド。

本作のラストは、そんな当時のピュアなマインドに鋭く突き刺さる。

『ラスト・クリスマス』

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