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2年連続本塁打王も「全然ダメ」。山川穂高が来季高みへ邁進するために強く思うこと

週刊ベースボールONLINE

来季のために様々な取り組み



今季は43本塁打を放ち、2年連続のタイトルに輝いた山川

「全然ダメ」

 打率、打点、本塁打のすべてで、自らが思い描いたとおりの結果が出ず、さらにシーズン途中で四番を外れることとなった自身の2019シーズンを、山川穂高はそう一言で表現した。それでも、2年連続40本塁打以上、同最多本塁打のタイトル獲得を果たしたリーグ2連覇への貢献を球団は高く評価。1億円アップの推定2億1000万円での契約更改となった。本人は、「評価していただいているなというのは、本当に感じます。うれしいです」と素直に喜ぶ一方で、「正直、こんなにもらっちゃっていいのかな? と思う気持ちも少しある」と驚きも口にした。

 だが、この評価に「異」を唱える者はいないだろう。チームの誰よりも早くグラウンドに来て、ストレッチ、ウォーミングアップ、ランニングなどを行い、早出練習に臨む。試合後はホームゲームであれば、ほぼ毎日室内練習場に行き、打撃の確認。時には、球場内のミラールームでただ一人、黙々と一心不乱に素振りを行う姿も見られた。そうした野球に対する姿勢を、チームの誰もが認めており、その不断の努力があってこその成績だということを皆、理解しているからである。

『分相応』を自ら証明するがごとく、かなり前から、2020シーズンをスタートさせている。10月13日、クライマックスシリーズファイナルステージ敗退直後から1週間だけ休み、これまでできなかった大事な家族サービスの時間に充てたが、秋季練習開始とともに新シーズンへの取り組みを始めた。今季は、「技術向上」に意識を置いていたが、シーズンを通しての反省である「直球をはじき返せなかった」ことの原因を「体がそもそも弱かった」と分析。早速、「バテない筋肉作り」に着手している。

 その取り組みの手始めに宮崎・南郷での秋季キャンプでは「しっかりと捕って、良い回転できれいな球を投げる」をテーマに守備練習に重点を置き、徹底的に体をいじめた。足のケガのため、途中は別メニューとなったこともあったが、打撃に関しても「考えながらやることができた。『来年、これでいこうかな』という形も、ある程度見つかった」と充実の期間を過ごした。

 さらに、所沢に戻ってからも、「今までいろいろトレーニングをやってきた中で、一番きつかったし、一番良いトレーニングだった」ことから、『永哲メニュー』と名付けた、やり投げの沖縄県記録保持者でもある中部商業高時代の恩師・赤嶺永哲氏直伝のトレーニングメニューを取り入れ、精力的に肉体改造を進めている。「瞬発力と爆発力にすごく期待が持てるメニュー。徐々に体が締まってきています」と早くも効果を実感しているという。あまりに負荷が高いため、量や内容など体と相談しながらだが、来年はシーズンを通して継続していく考えだ。

中村剛也に負けないように


 また、積極的に参加しているオフのイベント、少年・少女への野球教室からも多くを学んでいるようだ。「(打撃指導で)トスを上げていてすごく思うのが、力がない子って、めちゃくちゃシンプルなんですよ。バットも重いし、ボールをとらえることだけに精いっぱいだから。でも、ちょっと力をつけ始めている小学6年生とか中学生とかになってくると、ムダな動きが入ってくる。女の子と、小学校2~3年生が、打ち方は一番上手です。それを見ていて、『いいね~。これが本来の人間の体の動きなんじゃないかな。僕もこんな感じにしたいな』と思って、今、やってみています」。当然、最終的に固めるのは来春キャンプになるが、現時点では、純真無垢な子どもたちの姿からヒントを得た「シンプル」が、2020年のテーマとなりそうだ。

「打席に入るのも嫌だった」と吐露するほど苦しんだ中でも、43本塁打を放ち、本塁打王を獲得できた要因を、本人は「『ホームラン王を獲る』という思いが強かったのと、高いところに目標を置けた」ことだと話した。2018年オフの契約更改時から、「2019年は50本塁打を打つ。そ50本塁打を打つためには、60本打つつもりで取り組まないと達成できない」と自らに重圧をかけて挑んでいた。だからこそ、「目標達成はできなかったですが、自分が立てた目標が高い分、悪くてもホームラン王になれたと思う」と山川。「これから先もそうでありたい」。今後も掲げる目標、理想像は常に高くあることをあらためて誓った。
 
 いま、山川が強く思うのは、「本当に、中村(剛也)さんと落合(博満)さんに認めてほしいんです」ということだ。特に中村に対しては、同じ現役選手でもあり、チームメートでもあるだけに、意識が強い。「プロに入ったときから、『この人には絶対に勝ちたい』と思ってここまで来ました」。その中村は、「今、日本で一番ホームランを打てるのは山川だと思う。僕自身、負けたくないけど、認めなければいけないところもある」と評価しているが、山川にとっては、10年近く四番に座り続け、6度の最多本塁打賞を受賞する“キング”は「まだまだ勝てない」存在。さらに、今季、自分が状態を落としたときに四番を打ち、プロ18年目でキャリアハイの打率を残し、打点王に輝いたあこがれの人に、あらためてその能力の高さを見せつけられた形だ。

 来季は、「数字の目標は設定しない」と決めている。『中村剛也』という、最高に高い目標こそが、山川をさらなる高みへと邁進させてくれる。

文=上岡真里江 写真=BBM

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