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元プロ監督が鹿児島城西を就任2年でセンバツ「有力」へ導いた3つの要因とは?

週刊ベースボールONLINE

環境を180度転換



2018年1月から鹿児島城西高を率いる佐々木誠監督(元ダイエーほか)。「元プロ」の手腕は確かである

 監督就任から2年。2018年1月から鹿児島城西高を率いる佐々木誠監督(元ダイエーほか)は今秋の九州大会4強へ導き、来年3月のセンバツを「有力」の立場としている。出場が決まれば、同校にとっても春夏を通じて初の甲子園だ。

 短期間で結果を残した元プロの教えとは何なのか? 成功へと導いた3つの要因を挙げてみる。

 まずは「意識改革」。

 かつての同校野球部は“規則に縛る”という方針が軸にあった。しかし、佐々木監督は就任早々にスパッと変えた。頭髪を自由にし、禁止となっていた炭酸、スナック菓子、ファーストフードも解禁。また、これまでの外出は指導者の了承が必要だったが、月に1回は土曜日か日曜日を休日にして、買い物などを許可した。12年目の井上隆三部長は明かす。

「180度転換? そうですね。正直、自由過ぎて、心配な部分もありましたが、生徒を信用して任せることも大事。それが責任と自覚につながる。以前は抑えつけることで精神的に強くなると思い込んでいましたが、その考えは誤解だったかもしれません。ストレスを溜め込ませていたかも……。実際、自分たちで困っている人への声掛けや、考えて動けるようになり、試合の中でも大人になったな、と思うシーンがいくつも見られました」

 次に「対話」。

 佐々木監督は南海、ダイエー、西武、阪神で活躍したスラッガー。指導者としてもNPBだけでなく、社会人野球ではセガサミー、NTT西日本と多くのキャリアを積み重ねてきた。すべてのカテゴリーにおいて、心がけてきたポリシーは「同じ目線で見る」だ。

 生徒個々の特性に合わせたアプローチをする。また、井上部長以下、指導者に対しても上から物事を発信することはない。根底には「次期監督を育てるのも仕事。良い形でバトンをつなぎたい」という思いがあり、佐々木監督は惜しみなく伝授。井上部長は「一言で言えば温厚。そして、包容力がある。あれだけの実績を残した人ですので、発言にも説得力がある」と明かす。グラウンドでは部員とのコミュニケーションを欠かさず、1対1で助言するのが印象的であった。

分かりやすく的確なアドバイス


 最後に「技術指導」。

 NPB通算1581試合に出場し、通算1599安打、170本塁打、638打点。首位打者1回など、実績に裏付けされたアドバイスは的確で、分かりやすい。打撃面では「全員にホームランを打て、と言っています」と、冬場のフリー打撃ではロングティーのように全身でスイングするように徹底。「強い打球、飛ばす」ことを念頭に置くが、下半身強化の目的もある。一方で、日によっては「逆方向限定」など、メリハリのあるメニューを組む。

 同校OBで在学中は細山田武史(元ソフトバンクほか、現トヨタ自動車)とバッテリーを組んだ奥虎太郎副部長(当時右投手)は言う。

「引き出しが豊富なので、選手の個々に合ったスタイルを助言している。打撃向上は目覚ましく、佐々木監督効果は絶大です。打撃ばかりに目が行きがちですが、投手指導にも長けており、チェンジアップの抜き方などを、言葉でうまく表現する。(投手コーチの)私も言いたいことは一緒ですが、勉強になります」

 さて、練習の成果を発揮する舞台は甲子園だ。

「全試合、勝ちたいと常に思っている。第3代表でも明治神宮大会を制する時代(群馬3位の健大高崎高が優勝)。高校野球は何が起こるか分からない。やってみないと分からない。出場するだけが、目標ではありませんから」

 2年で結果を示した佐々木監督。グラウンドでのオーラはやはり、格別。高校野球界に新たな革命を起こしそうな予感が漂っている。

文=岡本朋祐 写真=上野弘明

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