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「レアードの後継」ビヤヌエバ加入で生じる、パワーバランスの変化【えのきどいちろうのファイターズチャンネル#116】

ベースボールチャンネル

「レアードの後継」ビヤヌエバ加入で生じる、パワーバランスの変化【えのきどいちろうのファイターズチャンネル#116】

今のファイターズに必要なピース

 日本ハム球団は12月5日、前巨人所属のクリスチャン・ビヤヌエバ内野手(28)と契約合意に達した旨、公式発表した。ファンにとってはひと足早いクリスマスプレゼントだったのではないか。右・右の長距離砲だ。サード守備にも定評がある。巨人では73試合出場、打率.223、打点24、本塁打8と低調な成績だったが、日本野球を1年経験して、これからというところだ。ファイターズはイースタンでもビヤヌエバをしっかりスカウティングしており、その上でゴーサインを出したということだと思う。
 
 誰もが考えるのはレアードの後継という意味合いだ。2019年シーズン、ファイターズはとうとうレアード流出の穴を埋めることが出来ず、長打力不足に泣いた。西川遥輝、大田泰示、近藤健介、中田翔が並ぶ上位打線はともかく、下位がいきなり貧打になってしまう。パンチ力が足りない。単発のピストル打線。「5番渡邉諒、6番石井一成」と若手にチャンスが与えられ、それは見どころでもあったけれど、西武やソフトバンクと比較するとどうしても見劣りがする。
 
 2019年シーズン開幕時の構想では、レアードの穴は「清宮の成長」「王柏融の加入」で埋められるはずだった。が、清宮はケガがち、王は安打製造機タイプでアテが外れてしまった。僕はシーズン中にも右の外国人スラッガーを獲得するだろうと踏んでいたが、そこに関しての動きはなかった。但し、水面下でスカウティングしてなかったわけがない。米球界からも映像資料やリストが届いていたはずだ。が、鎌ケ谷の2軍戦で実見できるビヤヌエバに白羽の矢が立った。
 
 公式リリースで栗山英樹監督が「ビヤヌエバ選手の加入は、今のファイターズが持つ課題にピンポイントで効力を発揮するものと思われます」とコメントしているように、右のプルヒッター&好守のサードという特徴は「レアードの後継」としてまさに最適だ。レアードも最初は打率1割台と低迷し、「守備の人」呼ばわりされたのを栗山さんがガマンして使い続けた。ビヤヌエバの打撃もそのパターンで開花させるつもりなのだ。
 
 ファイターズは巨人より選手にのびのびやらせる。それは大田泰示が実証した通りだ。ビヤヌエバは(おそらく)7番サードくらいのポジションだろう。レアードも最初、下位打線を打た。打率がそれほど高くなくても、たまに四球のランナーを置いて2ランホームランを打ってくれたら貢献度大だ。意外性の打者でいいのだ。栗山さんは間違いなくずっと使い続けるだろう。

競争が一気に激化

 今日、当コラムが考えてみたいのは「ビヤヌエバ加入でチームがどう変わるか?」だ。サードの定位置がひとつ埋まった。これは売り出しの平沼翔太、ブレークを目指す横尾俊建にとって死活問題だ。考え方は2つしかない。A、ビヤヌエバと競争してサードスタメンを奪う。B、サード以外の生きる道を模索する。Aのコースは例えばアルモンテや加藤政義といった対抗馬を毎年ぶつけられ、そのすべてに勝ってきた金子誠の道だ。Bのコースは平沼ならショート、横尾ならセカンドを狙うことになるだろう。あるいはスタメン野手ではなく、代打屋としてプロで生き抜くことになるかもしれない。
 
 2019年春季キャンプでは「三人衆」という言い方があって、サードの定位置は大田泰示、近藤健介、淺間大基の争いになると見られていた。ビヤヌエバの加入でこの線は完全に消えたことになる。と、必然的に玉突き現象が起きる。現在、外野レギュラーのイメージに最も近いのは左から近藤、西川、大田だと思うが、そうなると清宮、王、淺間、松本剛、谷口が守備につけなくなる。清宮をファーストに回すと中田翔が守備につけない。レフトを近藤、清宮、王で、DHを中田、近藤、清宮で分け合う(もしくは競争する)事態が起きる。パズルのようだ。ビヤヌエバという1ピースを加えただけで、スタメン争いはいきなりホットになる。
 
 それから打順についてもなかなか面白いのだ。このオフのタイミングで、大田泰示と中田翔が打順について言及したのに読者は気づかれただろうか。まぁ、こういうのはニュアンスが微妙で、単に記者に質問されたからコメントしたに過ぎないのかもしれない。が、大田は「それなりの覚悟を持って肚をくくってやりたい。ここぞという場面で頼れる選手になっていけば、4番という席に座れると思う」とはっきり口にした。それに対し中田は「自分も頑張らないといけない。清宮にしても4番を打てる人間は何人かいる。切磋琢磨して、そういうのがチームの強みになる」「そろそろゆっくり6番あたりを打たせてもらえたら。打点さえ稼げればいい」と語った。
 
 つまり、そもそも4番争いはホットなのだ。大田が奪い取るか中田が押し返すか、あるいは清宮が一気に抜き去るか。が、ここにビヤヌエバが1枚加わると、少なくとも「ゆっくり6番あたりを打たせてもらう」などと言っていられなくなる。下位打線の大砲は(おそらく)既に一門据えられているのだ。パワーバランスに変化が生じる。いきなり生々しい感じになる。早くどうなるか見てみたいものだ。ビヤヌエバ獲得は球団のクリーンヒットだと思う。

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