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尾上菊之助が風の谷の姫、中村七之助が白き魔女に スタジオジブリ初の歌舞伎『風の谷のナウシカ』が開幕へ

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尾上菊之助が風の谷の姫、中村七之助が白き魔女に スタジオジブリ初の歌舞伎『風の谷のナウシカ』が開幕へ

メーヴェをはじめとする『風の谷のナウシカ』ならではの乗り物も続々登場し、近未来SFとしての顔とファンタジーの名作としての顔を融合させていた。中でもメーヴェが初登場しナウシカが飛び立つシーンは、宙乗りではないある仕掛けが施されており、観客からは思わず「なるほど!」と声が漏れるほど、様々な演出がある。

もちろん、宙乗りでナウシカが飛び立つシーンもある。メーヴェに乗って穏やかに手を振るナウシカは、「姫姉さま!」と声をかけたくなる笑顔だった。


ナウシカ 尾上菊之助



そんな壮大な世界観を再現した一座に、大きな拍手が贈られた。

■二幕目 悪魔の法の復活

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二幕目以降は、映画版では描かれなかった『風の谷のナウシカ』の、より深い世界に物語は移っていく。

ユパ(尾上松也)は腐海の秘密を探る旅をしている剣士。旅の途中、「悪魔の法」を復活させようとする土鬼(ドルク)の動きを知る。悪魔の法とは、土鬼の神聖皇帝が封じた、生命を作り出す力(クローン技術のようなもの)。悪魔の法を復活させ、王蟲を複製し、生物兵器として利用しようとしている。それを止めるため、ユパは単身、腐海の中の施設に乗り込む。

大量の水が使われた、本水での立ち回りは圧巻。これぞ古典歌舞伎のエンターテインメント。ユパらしい力強い立廻り、階段を何段も飛び降りる姿は、腐海最強の剣士の呼び名も頷けるシーンだった。

また、土鬼の皇弟ミラルパ(坂東巳之助)の、「超常の力」も見どころのひとつ。ミラルパはナウシカの王蟲を慈しみ尊ぶ心を、古の邪教と忌み嫌い、目の敵にしている役どころ。

ミラルパは青い隈取をされた、歌舞伎ではおなじみの高貴な身の上の敵役として登場する。隈取のキャラクターが少ない中で、その青い隈取はとても強いインパクトがある。彼が感情をむき出しにしてナウシカに迫るシーンは見ていて思わずぞっとするほど。深い闇を抱えるミラルパの登場で、物語はさらに加速する。

■三幕目 白き魔女、血の道を征く

三幕目は、完璧で冷徹な皇女として描かれてきたクシャナの葛藤が、はじめて明かされた。クシャナは、土鬼侵攻作戦で取り残された部下たち第三軍と無事合流。ナウシカもクシャナと行動を共にする。

そんな中ナウシカは、第三軍と合流した本陣内で、敵国の捕虜をトルメキア本国に送るために連行している現場に遭遇する。戦争に加担したわけではない民が捕虜とされ、奴隷として売買されていく現実に衝撃を受ける。戦に向かうクシャナの支度を手伝いつつ、ナウシカは捕虜の釈放を願う。




(左から)ナウシカ 尾上菊之助、クシャナ 中村七之助



ナウシカとクシャナが、舞台上でたったふたりきりになるこのシーンが、強く印象に残っている。クシャナの生まれたトルメキア王家の紋章は、絡み合う双頭の蛇。クシャナは、その紋章が毒蛇同士が食らい合うのだと言ってはばからない。「白き魔女」「賢い女は好きではない」と王である父や兄たちから遠ざけられていることを自覚している。

ナウシカは風の谷の姫として愛され、相手に心を痛めて寄り添うことが出来る。また、勇敢で自ら道を切り開いてきたものの、師と仰ぐユパの教えを守り、誰の命も奪ったことはない。世界で忌み嫌われる蟲を愛し、腐海を遊び場として育った姫であり、その姿勢を風の谷の民たちも誇りに思っている。

そんなナウシカにクシャナは「手を汚せ」と命じる。驚くナウシカにクシャナは快活に笑ってみせる。自分の手を血で染める覚悟があるのか問うクシャナに、ナウシカの出した答えは……。


ナウシカの大きな変化が訪れる三幕目で、昼の部は終わりを告げた。荒廃した世界で無垢な少女として育ってきた「蟲愛ずる姫」がどう変化していくのか、是非新橋演舞場で見届けていただきたい。各キャストが、登場人物に絶妙にマッチし、歌舞伎で描かれる「風の谷」の説得力もとても素晴らしい。複雑な世界観を衣裳の違いで視覚的に見せる試みもしっかりはまり、ナウシカという少女の旅路を彩っている。

新作歌舞伎『風の谷のナウシカ』は、少女ナウシカの成長譚。しかし、Wヒロインであるクシャナの葛藤が徐々に露わになる姿も、クシャナというキャラクターをより魅力的、また、立体的にしていたように思う。無邪気なナウシカが決断を迫られ、冷徹なクシャナが人間味をみせる。ふたりのヒロインが辿る運命の物語として、新作歌舞伎『風の谷のナウシカ』は歌舞伎の世界で、新たなる表現の広がりを見せていた。

本公演は新橋演舞場にて、12月6日(金)から25日(水)まで上演される。また、公演前から話題沸騰の今作は、2020年2月にライブビューイングも決定。全国の映画館で昼の部を前編、夜の部を後編として各1週間限定上演される。

写真=オフィシャル提供

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