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二酸化炭素を食べて増殖する腸内細菌の開発に成功(イスラエル研究)

カラパイア

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TeGy from Pixabay

 イスラエル、ワイツマン科学研究所で誕生した細菌は二酸化炭素しか食べない。その体のバイオマスは、すべて空気中に含まれる二酸化炭素で構成されているという。

 『Cell』(11月27日付)に掲載された研究によると、ほぼ10年にもおよぶ歳月をかけ、ブドウ糖を食べるある腸内細菌の食生活を完全に変えることに成功したという。その腸内細菌とは、ずばり大腸菌である。

 将来的には、食糧や燃料としての利用や、温暖化の原因となっている大気中の二酸化炭素の抑制につながることが期待できるそうだ。

二酸化炭素を作り出しそれを食料とする細菌の開発


 ざっくり言って、生物は「独立栄養生物」と「従属栄養生物」にわけることができる。

 独立栄養生物者は、光と二酸化炭素のような無機物から自分の食料を作り出せる生物で、たとえば植物などがある。従属栄養生物は、他の生物や有機物を食べることで生きる生物で、動物や細菌などがこれに属している。

 なお、地球上のバイオマス(特定の時点においてある空間に存在する生物(バイオ)の量(マス))の大半を占めるのは前者であり、私たちに不可欠な食事や燃料の供給源としても大切な存在だ。

 今回の研究は本来、従属栄養生物である細菌を独立栄養生物にしてしまおうという試みだ。つまりは、二酸化炭素だけで自分の食事を作れるようにしてしまおうというのだ。

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Gerd Altmann from Pixabay

遺伝子操作で大腸菌を独立栄養生物に


 研究グループが求めたのは本来はブドウ糖を消化して二酸化炭素を放出する大腸菌を、その反対に、二酸化炭素を吸収してブドウ糖を作り出す大腸菌に変えることだ。

 これを実現するために、研究グループはまず植物やシアノバクテリアが持つ光合成に関連する遺伝子をマップ化。そのうちの一部を大腸菌のゲノムに組み込み、さらに「ギ酸」からエネルギーを抽出するための遺伝子も挿入した。

 だが、これだけでは大腸菌の食生活を変化させるには十分ではなく、光合成は行われなかった。そこで今度は、培養環境を操作して進化を引き起こしてやることにした。

 ほんの少しのブドウ糖と、地球大気の250倍という大量の二酸化炭素が存在する環境に大腸菌を放り込み、環境適応によって光合成が起きることを期待したのだ。

 狙いは的中し、6ヶ月が経過すると、まったくブドウ糖を食べず、二酸化炭素だけで成長する大腸菌がついに誕生した。

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Arek Socha from Pixabay

持続可能な細菌利用へ向けた足掛かり


 なお現時点では、この大腸菌を誕生させるプロセスによって、吸収される以上の二酸化炭素が排出されてしまう。また、それを産業として利用できるくらいスケールアップ可能なのかどうかも不明だ。

 今のところは持続可能な大腸菌の生産へ向けたあくまで「足掛かり」としての位置づけだ。

 それでも将来的には、二酸化炭素を食べる大腸菌の成果がカーボンニュートラルなエネルギー源の基礎になることが期待されるそうだ。

References:Israeli Scientists Develop Bacteria Which “Eat” Carbon Dioxide | The Weather Channel/ written by hiroching / edited by parumo

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