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オナホを売り歩く女性の日常とは……? アダルトグッズの営業OLが、ニッチな性産業のリアルを語る

ダ・ヴィンチNEWS

『オナホ売りOLの日常』(堀江もちこ:文、菅原県:漫画/光文社)

 多様な生き方が認められるようになった現代。しかしながら、まだまだ根強い偏見はそこかしこに残っている。たとえば、「性産業」に対してもそう。それに従事している人たちに対して、差別心を露わにする声は後をたたない。けれど、彼らは真摯に「性」と向き合っている。それを伝えるべく、ペンを執った人がいる。『オナホ売りOLの日常』(堀江もちこ:文、菅原県:漫画/光文社)の著者であり主人公の「堀江もちこ」さんだ。

いま、編集部注目の作家

 タイトルだけをみて「いかがわしい本では……?」と感じていないだろうか。確かにタイトルは強烈だが、それだけで敬遠するのは非常にもったいない。

 彼女の視点で語られる「性産業」と「営業」のリアルな現状と、業界ならではの珍エピソードは、終始新鮮であり見ごたえ抜群。現に私も、本書を閉じるまで好奇心が尽きることはなかった。

■アダルトグッズ営業担当としての誇り

 現代では、未だに「営業は男性の仕事」と思われがちである。アダルトグッズとなればなおさらだろう。進んで営業をかけたいと思う女性は皆無に等しい。

 しかし堀江さんは違う。バッグからはみでる量のAVやアダルトグッズのサンプルを肩に背負い、毎日のように訪問営業をこなしている。業界用語も恥じることなく使うし、グッズ販促のためのPOPモデルにさえなるのだ。

 そんな彼女のおもしろエピソードから感じ取れたのは性産業への誇りと、エロへの本気だ。特に、作中で語られたアダルトグッズ営業に対する思いは、理路整然としていてすがすがしい。

“商品が特殊というだけで、あとは、ほかの営業職となにも変わりません”

■女性営業としての苦悩

 営業としての誇りを持つ一方で、「女性」という面では苦悩することが多いという堀江さん。昨今注目されているセクハラのみならず、「女性営業はすぐ仕事を辞めるだろう」といった時代遅れな偏見も未だに多いというのだ。

 しかし彼女はこの仕事を投げ出さなかった。それは、彼女が今の仕事が好きで一人の女性営業として性産業と本気で向き合っているからだろう。

“女性営業が少ないからこそ、わたしが悪いと「女性はダメだ」という見え方につながってしまう”

 彼女からうかがえる女性営業への思いは、ときどきアダルトグッズの営業担当だということを忘れてしまうほどにすさまじく、そしてたくましい。

■AV女優との「距離」

 作中で語られる堀江さんの「AV女優を支えたい」という思いはとても強い。ただ彼女は、AV女優と距離を詰めない。支えるなら身近な存在でいた方が良いように思えるが、堀江さんには「AV女優さんには誰に気を遣うことなく仕事に集中してほしい」というポリシーが根底にあるのだ。

 女子のあるあるとして、距離が縮むとおべっか合戦が起きやすい。堀江さんは特にここを嫌う。根底にあるポリシーとはズレるからだ。他にも、彼女は裏方としての徹底ぶりを綴っているが、それは本書を手にして知っていただきたい。

 AV女優と絶妙な距離を保ちつつ、仕事をこなす彼女のエピソードは、仕事上の対人関係を学ぶうえで勉強になることばかりだ。

 もう一度言おう。本作をタイトルだけで判断するのは非常にもったいない。

 真面目で面白く、かつちょっぴり大人なエピソードを5コマ漫画とともに盛り込んだ本作を読み終わったころ、性産業への見方はガラッと変わっているはずだから。

文=トヤカン

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