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マンUの戦術、選手起用法は? ポグバ不在だと何もできず…最大の問題は監督の手腕にあらず【序盤戦レポート(1)】

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マンUの戦術、選手起用法は? ポグバ不在だと何もできず…最大の問題は監督の手腕にあらず【序盤戦レポート(1)】

マンUの戦術は?

 2019/20シーズンは序盤戦を終えた。補強が成功して首位争いを演じるチームもあれば、低迷して監督交代を余儀なくされたチームもある。各クラブのこれまでの戦いを振り返りつつ、見えてきた戦い方と課題を考察していく。第1回はマンチェスター・ユナイテッド。(文:編集部)

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 昨季はチャンピオンズリーグ(CL)でベスト8進出を果たしながら、リーグ戦では6位と低迷したマンチェスター・ユナイテッド。今季はオーレ・グンナー・スールシャール体制2年目を迎えているものの、相変わらず苦戦を強いられている。

 基本システムは4-2-3-1。守備時は相手の最終ライン深い位置までプレッシャーを与え、より高い場所でボールを奪回する狙いを持っている。攻撃の基本はショートカウンター。ボールを奪ったらすぐに縦につけ、人数をかけないスピーディーな攻めで相手守備陣を突破する。現在のユナイテッドにおける前線にはFWマーカス・ラッシュフォード、FWダニエル・ジェームズ、FWアントニー・マルシャルらどちらかと言うとアタッカータイプのような選手が揃っているので、そうした攻撃が基本となるのは無理もないと言える。

 ただ、課題は引いた相手に対してまったくと言っていいほど攻撃が機能しないこと。相手が深い位置で守るということはその分、裏のスペースがなくなるわけだが、そうなるとラッシュフォードやD・ジェームズといった選手の特長を引き出すのは難しい。前に出てくる相手にはそれなりに通用する部分もあるのだが、自分たちがボールを保持した際に崩しのアイデアがほとんどないのは、上位進出を目指すユナイテッドにとって致命的と言える。

 守備の強度もそこまで高いとは言えない。今季開幕前にDFハリー・マグワイアがDF史上最高額となる移籍金でレスターから加わったが、全体的にレベルがそれほど高くない。スールシャール監督は今季、3バックシステムを採用することもあるが、同システムも機能していない。少し力のある選手を前にすると簡単に崩れてしまうあたりも、今のユナイテッドの低迷ぶりを表していると言える。

デ・ヘア頼みの最終ライン

 GKはもちろんダビド・デ・ヘアが不動だ。昨年行われたロシアワールドカップ以降はらしからぬミスも散見された同選手であったが、ここ最近は安定感あるパフォーマンスを取り戻せている印象が強い。デ・ヘアがいなければ、ユナイテッドはもっと失点を重ねているのかもしれない。

 最終ラインの4枚は左からDFルーク・ショー、マグワイア、DFヴィクトル・リンデロフ、DFアーロン・ワン=ビサカが基本。しかし、控えにいるのがDFアシュリー・ヤング、DFフィル・ジョーンズ、DFマルコス・ロホ、DFアクセル・トゥアンゼベ、DFディオゴ・ダロと駒不足感は否めない。DFエリック・バイリーは怪我が多く、戦力になり切ることができていない。

 実際、A・ヤングやP・ジョーンズなどは試合の中で軽い守備が散見されるなど、ユナイテッドのディフェンス陣の足を引っ張ってしまっている。控え選手が揃って低調なパフォーマンスを見せることが多いのは大きな痛手。リーグ戦、カップ戦、ヨーロッパリーグ(EL)と様々な大会を戦う今季のユナイテッドだが、基本スタメンの選手にかかる負担はかなり大きいと言わざるを得ない。

 マグワイアが加入したものの、ユナイテッドの守備には昨季から大きな改善は見受けられない。勢いのある相手には、そのまま押し込まれて失点してしまう脆さがある。結局は、いままでも言われていた通り「デ・ヘア頼み」になってしまっている印象が強い。

ポグバ不在だと何もできず

 中盤底2枚はMFスコット・マクトミネイとMFポール・ポグバが基本。左サイドハーフはラッシュフォードで、右にはD・ジェームズ、トップ下はMFアンドレアス・ペレイラとなっている。

 このポジションで最大の問題となっているのは、ポグバ不在時に何もできなくなってしまうこと。今季のフランス人MFは怪我などの影響で戦線から離脱することが多いのだが、そのような状況になったとき、ユナイテッドは全体のクオリティが一気に落ちる。

 ポグバは攻撃面で創造性豊かなパスとダイナミックな飛び出しなどで違いを生みだすことができる選手だが、他の選手にはそうした強みがない。MFネマニャ・マティッチは完全なる戦力外となっており、MFフレッジもそこまでチームに適応できているとは言い難い。結局、ラッシュフォードやD・ジェームズを生かすことができるのはポグバだけで、彼のモチベーションやコンディション次第でチームの結果が左右されると言ってもいい。いまのユナイテッドはやはりポグバで成り立っている。

 もう一つの懸念はトップ下の人選だ。スールシャール監督の下ではA・ペレイラが同ポジションを担っているが、正直に言うと効果的ではない。MFジェシー・リンガードは出場機会こそ得ているが、肝心となる結果を残せていないため、ファーストチョイスとするのは難しい。MFファン・マタの起用はもっと増やしてもいい気がするが、リーグ戦などではあまり出番を得られない。4-2-3-1というシステムにおいてトップ下は重要なポジションと言えるが、ここが定まっていないのもユナイテッドの課題だ。このあたりを改善しなければ、このままズルズルいく可能性は高いと言えるだろう。

 左サイドのラッシュフォードとD・ジェームズもほぼ代えの効かない選手。とくに前者はスールシャール監督から「エース」として全幅の信頼を寄せられている。実際、ラッシュフォード自身のパフォーマンスはそれほど悪くないが、問題は同選手が何らかの理由で離脱を余儀なくされたとき。ユナイテッドの攻撃は完全に機能不全となるだろう。FWメイソン・グリーンウッドの台頭は彼らの負担を少しは減らすかもしれないが、そのあたりの選手層の薄さも気になるところだ。

1トップも人材不足

 1トップはFWアントニー・マルシャルが務める。体格的にそれほど大柄なわけではないが、ボールを収める技術、そこから相手を背負って自力で、あるいは2列目の選手を生かす役割はそれなりに果たせている。スピードがないわけではないので、カウンター時も強さを発揮することは可能だ。

 しかし、ここでも選手層の薄さは目立ってしまう。マルシャルが不在となった場合、ラッシュフォードなどが1トップを務めることもあるが、そうなるとサイドハーフの人材が不足する。パターンとしては左にD・ジェームズ、右にA・ペレイラといった並びも考えられるが、こうすると後者が目立った働きを見せられないといったネガティブなポイントがある。実質、1トップとして数えられるのはマルシャルのみなのだ。

 18歳のグリーンウッドも同ポジションを務めることはできるが、まだそれほど力を発揮できるわけではない。プレミアリーグというレベルの高い場所であればなおさらだ。今後も試合に絡み続け、順調に成長していけば、そのあたりの不安も改善されるかもしれないが、時間はかかる。FWロメル・ルカクを放出した影響は少なからずあるだろう。攻撃陣の層の薄さは、今季のユナイテッドが抱える最大の問題ともいえるかもしれない。

 また、スールシャール監督は、未だチーム作りにおいて試行錯誤を繰り返している印象が強い。様々なフォーメーションを使い分けるなど、まだ“形”は見つけられていないのだ。フォーメーションの変更が、相手への対策であるなら良い。だが、そうではない。だから問題なのだ。いち早く最適解を見つけること。ユナイテッドの課題は山積みである。

マンUの基本フォーメーション

(文:編集部)

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