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大学の現場で、教え子たちとSNSを考える 影山貴彦のウエストサイドTV【9】

テレビドガッチ


 先日、大学の講義で「スマホを小学生に持たせることの是非」に関して、およそ300人の受講生にアンケートを取ってみました。記述式の回答です。SNSに対し、私たち世代よりもはるかに親しんでいるであろう、およそ19歳から22歳までの若き女性たちが、SNSの絡んだ事件が増加している昨今、それらをどのように捉えているのか興味深く思っていたのです。
 まず結果をお伝えします。全体の7割程度が、「小学生にスマホは必要ない」との答えでした。ただし、「安否確認など、親との連絡が密にできる機能に特化したスマホは必要」と、付記していた教え子も多かったことを申し添えておきます。
 大教室の学生のうち何人かには、私がマイクを向けて、直接声を聞きました。そこでも、大体アンケート結果と同じような比率で是非が分かれたのですが、感心したのは、その内容ももちろんながら、それぞれのコメントする姿勢でした。いささかの手前ミソをお許しいただきます。多数の受講生が集った空間でマイクを向けられ、自身の意見を述べることは、かなり気後れするものです。ですが、ほとんどの教え子たちは、生き生きとした表情、張りのある声で語ってくれます。嬉しい限りです。大学教員になってよかったと思う瞬間であります。今、教育は教員からの一方通行でなく、学生との相互コミュニケーションが強く求められる時代です。アクティブラーニングという言葉をご存じの方も多いでしょう。受け身ではなく積極的に学ぶ姿勢が、大いに重視されているのです
 ちなみに、ですが、若者の中で溌溂としているのは男性より女性であると、多くの企業の採用担当者が語っています。女子大の教員になって18年目になりますが、つくづくそれを実感する毎日です。なぜなのでしょう?興味深いテーマです。それはまた別の回に考えるとしましょうか。
 さて、彼女たちの回答の中で面白かったものをいくつか挙げてみます。
 「小学生は、元気に友達同士で外で遊ぶもんです!」
 「私の弟は中学生なんですが、スマホばかりやってます。将来が心配です」
 まぎれもなく若い女性たちのはずなのですが、何やら母親のようなコメントをする学生が結構いて、思わず笑みがこぼれました。決して優等生ぶってそんな答えをしているという風ではなく、心から考えた上での言葉として響きました。彼女たちの「母性」を感じさえしました。その一方で、
 「スマホを取り上げてしまうことは、SNSを通じて知り合った友人を子どもたちから取り上げることに繋がる」
 「年齢によって制限を設けるのは時代錯誤。しっかりとした教育こそが必要」
といった意見も出ました。もしカメラを回していれば、その辺の(失礼!)情報番組よりも深い内容のものに仕上がったのではないかと思えるクオリティーでありました。何より強く申し上げたいのは、彼女たちが、自らの意見と相反するコメントをした学生に対しても、しっかりと耳を傾けていることでした。
 今のテレビはどうでしょう。単に社会の不安をあおるだけあおっておいて、熱が冷めれば嘘のように扱わなくなることもしばしばです。マスメディアの責任のもと、社会問題を解決に導く議論を重ねるというよりも、騒ぎに便乗しているとしか思えない番組もあります。一見タイムリーな特集を放送しても、結果的に視聴者に何も残らないのでは、意味がありません。
 ちなみにこの日の講義終了後、学生たちの何人かは、教室のあちこちで引き続きSNS問題を話し合っていました。素晴らしいことです。どんな問題であれ、刹那的、感情的にひっかき回すだけでなく、地に足のついた、継続的な努力の積み重ねが社会を動かすことに繋がれば、と強く願っています。 
 テレビも少しばかり変わるべき時ではないでしょうか。

執筆者プロフィール
影山貴彦
同志社女子大学メディア創造学科教授
(メディアエンターテインメント)
コラムニスト
元毎日放送(MBS)プロデューサー・名誉職員
ABCラジオ番組審議会委員長
上方漫才大賞審査委員
著書に「テレビドラマでわかる平成社会風俗史」、「テレビのゆくえ」、
「おっさん力(ぢから)」など

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