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アーセナルのDNAはある意味健在だった。ユングベリ初陣で目立ったのはGKレノの孤軍奮闘…

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アーセナルのDNAはある意味健在だった。ユングベリ初陣で目立ったのはGKレノの孤軍奮闘…

「クラブのDNAを知っている」OBが暫定監督に

プレミアリーグ第14節、ノリッジ対アーセナルが現地1日に行われ、2-2のドローに終わった。ウナイ・エメリが監督を解任され、フレドリック・ユングベリ暫定監督の初陣となった試合でアーセナルは2度のリードを許し、引き分けに持ち込むのがやっとだった。不調を体現するかのような試合展開で、唯一輝きを放ったのは守護神だけだった。(文:加藤健一)
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 ついにウナイ・エメリの監督解任が発表された。アーセナルは現地時間29日、エメリ解任と、フレドリック・ユングベリの暫定監督就任を発表した。

 暫定ではあるが、クラブOBへの監督交代となった。さらにアカデミーマネージャーだったOBのペア・メルテザッカーをアシスタントコーチに配した。ディレクターのジョシュ・クロエンケは、「クラブのDNAを知っている」とフレデリック・ユングベリを据えた理由を話している。

 3日前のヨーロッパリーグからは5人を変更。負傷交代していたDFダビド・ルイスとDFスコドラン・ムスタフィは最終ラインでコンビを組み、MFグラニト・ジャカも連続して先発となった。

 ノリッジは第3節で2度のリードを追い付いてチェルシーを苦しめ、第5節ではマンチェスター・シティから金星を奪った。台風の目になるかもしれないと言われたが、その後は負傷離脱者が相次いで苦戦を強いられ、18位に沈んでいる。

 5節までに9得点を挙げていた攻撃陣も最近は停滞している。9得点のうち6得点を記録したのはエースのFWテーム・プッキだったが、それ以降は8試合無得点。それに倣うようにチームはその後4得点しか挙げられていない。

カウンターから2点

 そのプッキに9試合ぶりのゴールが生まれる。自陣でMFジョセフ・ウィロックからボールを奪ったMFオネル・エルナンデスからMFケニー・マクリーン、プッキとつないで、ボックスに侵入。右足を振り抜いたシュートはゴールネットを揺らした。

 先制に成功したノリッジだったが、FKにDFクリストフ・ツィマーマンの上げた手が当たってしまい、PKを与えてしまう。PKの名手GKティム・クルルはFWピエール=エメリク・オーバメヤンのシュートを止めたが、VARの助言を経てやり直しに。これをオーバメヤンは同じ方向に蹴り込んで同点とした。

 前半終了間際、ノリッジはまたしても自陣でインターセプトすると、ゴール前に直線的に突き進む。プッキが空けたスペースでMFトッド・キャントウェルがボールを受けると、右足を振り抜いたシュートがゴールとなり、ノリッジが勝ち越した。

 前半のノリッジは相手にボールを渡し、自陣に低いブロックを敷いた。得意とするサッカーではなかったが、我慢して耐えることでチャンスが生まれた。得意のトランジションで自陣から長い距離のカウンターを完結させた。

 前半の主導権はアーセナルが握っていたように見えた。ビルドアップの場面でも最近のような不用意なミスは減っており、敵陣に入るまでもスムーズだった。しかし、失点シーンはともに「攻」から「守」へのトランジションで起きてしまった。暫定体制に与えられたのはわずかな準備期間しかなく、前体制と同じ悪癖が出てしまった。

目立っていたのは守護神レノだけ

 1点ビハインドで後半を迎えたアーセナル。エジルの右CKからムスタフィのシュートはブロックされる。しかし、こぼれ球をオーバメヤンが決めて57分に追いついた。

 逆転を狙うアーセナルは78分にMFマテオ・ゲンドゥジを下げてFWブカヨ・サカを投入して4-4-2の形に変更。最後の交代枠はMFメスト・エジルに代えてFWガブリエウ・マルチネッリを入れるが、反撃はならず。サウサンプトン戦に続き、下位チーム相手に勝ち点1を分け合った。

 アーセナルで目立っていたのはGKベルント・レノだけだろう。59分のマクリーン、63分にはプッキの決定機をシュートストップ。68分のFKも鋭い飛び出しで弾き出し、アディショナルタイムにもDFマックス・アーロンズのシュートを防いだ。

 ペトル・チェフの後を継いで昨季からアーセナルの新守護神を務めるレノだが、今季のセーブ数は59にも上る。順位表の下のチームのGKが上位に名を連ねる中でトップの数字だ。この試合でも6つのセーブを記録して、不調のチームにおいて孤軍奮闘の活躍を見せている。

「DNA」は悪い方向に出てしまった

「トランジションに問題を抱えている。まさにそれが修正しようとしていることだ」

 ユングベリは試合後にそう話している。

 1失点目のシーンで、ボールが中央のマクリーンにつながったとき、パスを出したエルナンデスが左サイドを駆け上がり、ボールの前にいるのは1トップのプッキだけ。ゲンドゥジはよくわからないポジショニングで、ムスタフィもダビド・ルイスもプッキを捕まえられない。

 ボールをもらったプッキは一度減速する。このとき両センターバックに加えてセアド・コラシナツとカラム・チェンバースも戻って1対4の数的優位な状況。しかし、ペナルティーアーク付近では誰もボールに寄せきれず、放たれたシュートはムスタフィに当たってゴールネットへ吸い込まれている。

 2失点目もシュートシーンではノリッジの3人に対してアーセナルは5人がPA内にいる。しかし、後ろから走り込むキャントウェルにスペースを与えてしまい、その後ろから追うジャカも間に合わず。フリーでシュートをさせてしまっている。

 反応が遅れるネガティブトランジションとディフェンシブサードでの緩い守備。この試合で言えば、クロエンケが言った「クラブのDNA」は悪い意味で出てしまった。

 ユングベリに与えられた時間は少ない。5日、9日とリーグ戦が続き、12日にはヨーロッパリーグ最終節も控えている。過密日程が続く12月で、ユングベリはどのような修正をしていくのだろうか。

(文:加藤健一)

【了】

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