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集団になじめない、話が聞けない、乱暴する…“気になる子”の「発達障害」に気づいて育てるガイド

ダ・ヴィンチNEWS

『新版 幼児期の発達障害に気づいて・育てる完全ガイド(健康ライブラリースペシャル)』(黒澤礼子/講談社)

 集団生活になじめない、先生の話が聞けない、じっと座っていられない、友達に乱暴する…。こういった“気になる子”が、近年増加傾向にあるという。また、程度や傾向の幅も広がっていることから、園や小学校の現場では対応に悩まされている。

発達障害の子が「学校なんかつらいだけ…」と悩まなくなる! 工夫とヒントを紹介する『発達障害 僕にはイラつく理由がある!』

 主に4歳から就学前までの幼児を対象にした『新版 幼児期の発達障害に気づいて・育てる完全ガイド(健康ライブラリースペシャル)』(黒澤礼子/講談社)を開いてみると、発達障害は「友達の気持ちを理解できない、ルールを守れないなど、社会性を含む心の機能の障害」であり、集団社会となじむことが難しい特性があるという。そして難しいのは、集団社会の中に入ってから、これらの障害と問題点が明確になることだ。問題点を改善するためには、集団の中でこそ解決を図っていかなければならない。だが、本書は心強くこう語る。

“皆の中で育てることこそが、じつは最善の治療法なのです”

 とはいえ、ただ集団の中に入ればよいということではない。周囲の先生や保護者などの大人がその子の特性をよく理解し、適切な対応をすることで、健全な社会性が育まれていく。

 適切な対応をするためには、まずは、子どもをよく知る必要がある。しかし、専門家でもなく、特別な専門知識もない保護者や身近な大人が、子どもの発達障害を正確に捉え、知ることは難しい。そこで、本書は、その子どもをよく知る大人なら、誰でも使え、支援計画をつくることができる「基礎調査票」と「評価シート」を掲載している。

 基礎調査票は全部で4分野14項目あり、この結果を評価シートに転記しつつ完成させ、その子どもの対応策を検討していく。結果を見て、発達障害だと即断するのは禁物だが、子どもをよく知り、支援を考えるうえでの大きな手立てになる。

 上は「人とのかかわり・社会性」「コミュニケーション能力」の項目が掲載されているページだが、このように1ページに2項目ずつ、計7ページにわたって設問が続く。時間がかかりそうに思うかもしれないが、ここは子どもの特性を丁寧に答えていきたい。

 評価シートは、14項目ごとに5段階方式で記載する。ちなみに本書によると、これまで当シートを用いて調査した約200人のうち、発達障害の可能性がなさそうな子どもの各項目の平均点は、すべて1.2〜1.6点に位置しているという。

 子どもは、さまざまな特性を複合的にもっていて当たり前。評価シートでは、その子どもの行動や性格の特性がどのくらいの強さで現れているのかを把握し、支援を考えていくうえでの判断の目安としたい。

 本書には、8人の子どもの実例も紹介されている。子どもの年齢や性別、行動や性格・特性、基礎調査票の平均点、それを反映した評価シート、対応したこと、その後の経過がわかりやすく丁寧に記されているため、大いに参考になりそうだ。

 上の例で紹介されている言葉の遅れが気になるという5歳のAちゃんは、「人とのかかわり・社会性」の項目が3.7点と、やや高い。ここから、自閉スペクトラム症傾向があるのではないか、と疑われた。そこで、対応としては言葉の発達を促すような関わりを重視することとなった。結果、3カ月後くらいには、色や形の識別、大小の識別が可能になり、数も8くらいまでは数えられるようになったそう。

 本書の最終章では、対応方法の具体例が対応者、あるいは目的ごとに掲載されている。例えば、「家族ができること」の項目では、対応の考え方、この時期にしておきたいこと、対応の基本、子どもが喜ぶ接し方と嫌う接し方などが簡潔にまとめられており、悩んでいる大人の頭にもすっと入りやすい。

“気になる子”とひとくくりに考えると、本当に適切な対応が見えにくくなってしまう。本書は、発達障害の有無を問題視するのではなく、その子どもの傾向に合わせた対応を心掛けることが大切だと述べている。本書の基礎調査票と評価シートは、繰り返して使うことで、子どもの成長がよりわかってくるという。保護者と子どもの距離を近づけるためにも、本書は大いに役立ちそうだ。

文=ルートつつみ

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