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猛烈な勢いで無数の星を生み出しているブラックホールがフェニックス銀河団で発見される(米研究)

カラパイア

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image credit:NASA

 最近発見された弱体化したブラックホールは、銀河を目覚めさせ、無数の星々を生み出しているそうだ。

 そのブラックホールは、地球から58億光年離れたところにある「フェニックス銀河団」の中心に鎮座する。

 この銀河団では怒号のような勢いで星々が誕生しているのだが、その理由は、ブラックホールから噴出されるジェットがそれを助けているらしい。

星の誕生とブラックホールの関係


 研究グループを率いた米マサチューセッツ工科大学のマイケル・マクドナルド氏は「フェニックス銀河団は、ある事例においては、ブラックホールからのエネルギー出力が冷却をうながしてドラマチックな結末へ到ることを実証している」と語る。これは天文学者が長い間探し続けてきた現象なのだという。

 銀河団は宇宙でも最大の構造で、重力によって結びつきあった無数の銀河とそれを取り囲む熱いガス、目に見えないダークマター(暗黒物質)で構成されている。そして、それらの中央にある銀河の中に、既知のものとしては最大の超大質量ブラックホールがある。

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超大質量ブラックホールと降着円盤の想像図 / NASA/JPL-Caltech

 銀河団に存在する高温のガスはX線を放ちつつエネルギーを低下させるが、一般にはこれによって冷却が進み、やがて星々の苗床になると考えられている。

 これまで、天文学者は星々の苗床がたくさん散りばめられた銀河団を探してきたが、見つかったのは、エネルギー粒子を放出することでガスの冷却とそれによる星々の誕生を阻む巨大ブラックホールだけだった。

 研究グループの1人、カナダ、ウォータールー大学のブライアン・マクナマラ氏に言わせるなら、それはエアコンで部屋を冷やしつつ中で焚き火をするようなものらしい。どんなにエアコンを効かせても焚き火を消さない限り、室温が下がらないのは想像できるだろう。

 だが「フェニックス銀河団」のブラックホールはまさに、星々の苗床となっていたのである。


フェニックス銀河団のブラックホールの特性


 研究グループは、ハッブル宇宙望遠鏡、カール・ジャンスキー超大型干渉電波望遠鏡群(VLA)、チャンドラX線観測衛星を使って、光、電波、X線による観測を行い、フェニックス銀河団を2012年の観測時よりもさらに詳細な調査を行った。

 この銀河団は、数百万度という極端なまでに高温のガスによって囲まれている。ガスの質量は太陽数兆個分に相当する膨大なもので、銀河団に属している全銀河を合わせた質量よりはるかに大きい。

 調査の結果、判明したのは次のようなことだ。

 まずチャンドラのデータから、冷却の速度が「ブラックホールによって注入されるエネルギーがない」と想定した場合に予測されるものとほぼ同じであることがわかった。

 ハッブルから明らかになったのは、ブラックホールへと続いているフィラメントに沿って太陽100億個分の冷たいガスが存在しており、ここから年間太陽500個分の質量に相当する若い星々が形成されていることだ。

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image credit:Pixabay

 天の川なら年に太陽1個分に過ぎないので、まさに怒号のような勢いで星々が形成されているのである。

 そしてVLAの電波データは、中央のブラックホール近傍からジェットが噴出しており、それが熱いガスの中に泡を膨らませているらしいことを示していた。こうした泡とジェットは、過去にブラックホールが急速に成長したことの証左だ。

 以前、このブラックホールはそれが位置する銀河の質量に比べると小さかったらしく、そのためにガスの急速冷却が起こりえたようだ。


ブラックホールと星の誕生の壮大なサイクル


 研究に携わったシンシナティ大学のマシュー・ベイリス氏は「過去、小さなブラックホールからのアウトバーストは周囲を熱するには弱すぎたのかもしれない」と説明する。

 しかし、それが成長し質量と力が増大するにつれて、影響力もまた増大してきたという。

 ブラックホールのジェットによって銀河団の中心からガスが吹き飛ばされれば、引き続き冷却は進む。ブラックホールの熱から遠く離れたガスの冷却は、それが銀河団の中心に向かって反落するよりも速い。

 だが、やがてジェットによってガスを熱せられるくらいの乱気流、音波、衝撃波が生じ、それ以上冷却されなくなるときが来るだろう。

 この状態はジェットが収まるまで続き、それからまた冷たいガスの蓄積が始まる。

 これがひとつのサイクルで、同じことが繰り返し起きている可能性があるそうだ。その壮大な円環の中では、ブラックホールが星の誕生を手助けしている。

 この論文は『The Astrophysical Journal』で閲覧できる。

References:NASA / The Astrophysical Journalなど / written by hiroching / edited by usagi

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