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三十路男が初めてナンを食べた時に起きた “感情の爆発” について / 東京・東長崎「マサラハット」

ロケットニュース24

三十路男が初めてナンを食べた時に起きた “感情の爆発” について / 東京・東長崎「マサラハット」

皆さんはナンを食べたことがあるだろうか。カレーにつけるインド料理のアレだ。筆者はまだない。ないのである。ゆえにナンについて「カレーにつけるアレ」以外の知見を有していない。匂いも味も食感も、本当のところは知らないのである。

食べてみたいと思いつつ、実際にそうすることもなく三十路まで来てしまった。ついでに言えば筆者は子供を持ったこともないのだが、このままではいつか子供が出来た時に「パパ、ナンってどんな食べ物?」と聞かれても「ほら、カレーにつける……その……」と言ったきり押し黙るほかない。絶対にこのままではまずい。

・感情の爆発

そんな強迫的かつ未来志向型の危機感に駆られ、近場でナンを食べられる美味しそうなお店を探した結果、行きついた先は「マサラハット」というインド・ネパール料理店だった。

場所は東京・東長崎。池袋や原宿にも店舗があるが、本店はここだ。初めてのナンに期待と緊張を抱きつつ入店した。

メニューにはエッグ、チキン、野菜、マトン、キーマなど様々な種類のカレーが載っている。ランチ時はこれらのカレーと、ナンまたはライスに加え、サラダ、ドリンクのセットを安価で食べられる。

何より注目すべきは、ナン・ライスが食べ放題である点だ。エッグカレーのセット(780円)を、当然ナンとの組み合わせで注文した。身体がナンの色になるまで食べ倒してやろうと意気込んで待つこと数分、テーブルの上にセットがそろったのだが……

食べ方がわからない。

いや、ナンをちぎってカレーにつけて食べるのはわかっている。しかしちぎり方は無限にありうるだろうし、つけ方もまた無限のはずである。膨大な可能性を見せるナンを前に、身体が硬直してしまった。さらに言えば、想像よりもサイズが大きくてひるんでしまった。

ここまで勢いで来てしまったので、食べ方の調査を失念していたのも災いした。一体どうアプローチすればよいのか。これほど与(くみ)しがたい食べ物は初めてだ。

正解がほしい。正解の食べ方を教えてほしい。わらにもすがる思いでインドの方とおぼしき店員さんに尋ねてみたところ、要約すると「自由に食べてみて」的なことを言われた。

広大なナンの地平に放り出されてしまった。もはや思うままに食べるほかない。息を吐いてから、少し落ち着きを取り戻した状態で手をのばし……

ひと思いにちぎる。

そしてつける。

つけたそれを口へ運ぶと、自然と笑みがこぼれた。甘さの中にヒリリとした辛さを持ったカレーが、小麦の旨味が練り込まれたモチモチのナンに乗って味覚へ届けられる。カレーとナン、二重の香ばしさが響き合う。

これは美味しい。同じカレーなのにライスではなくナンと一緒に食べると、全く別の料理に思えてくるから新鮮で不思議である。美味しいし、楽しいし、刺激的だ。こんな刺激を前にして、委縮して凝り固まってしまうのはもったいない。

要するに食べたい。このナンという食べ物を目一杯食らいたい。己の中で弾けた感情の爆発に押されて、2口目からは迷いなく、ナンをちぎっては食べることを繰り返していた。間違いなくナンの魅力に取り込まれていた。

食事の前半では、ちぎり方が下手すぎてナンの形がいびつになる場面も見られたが……

後半にもなれば、「ちぎってつけて食べる」のストロークが洗練されてきた。人間、成長するものだ。

ボリューミーなナンもみるみるうちに小さくなっていく。とはいえ、1枚で十分満腹になれる量だ。これで食べ放題とは恐ろしい。

今度はもっとお腹を空かせてナンを食べに来ようと、そこまで思えるようになっていた。今なら店員さんの言っていた「自由に」という言葉の意味もわかる。余計なことは何も考えず、無心に楽しむのがナンの食べ方なのだろう。

なんだか食事の本来の楽しさを再認識させられた感じだ。ナンを攻略するつもりが、逆にナンに攻略されてしまった。この体験を個人的に逆ナンと呼びたい。

・自信を持って

そんなわけで、初めてのナンは無事成功に終わった。筆者と同じくナン未体験の方がいたら、ぜひとも同店で味わってみてほしい。あるいはすでにナンの魅力に取りつかれている方であっても、美味しさとボリュームに満足できること請け合いである。

これでもし子供が出来ても、ナンについて自信を持って答えられるだろう。「ナンはとても自由で、楽しい食べ物だよ」と。

・今回紹介した店舗の情報

店名 マサラハット 東長崎本店
住所 東京都豊島区南長崎5-33-40
営業時間 月~金 11:00~15:00、17:00~23:00 / 土・日 11:00~23:00
定休日 無休

参照元:マサラハット 公式HP
Report:西本大紀
Photo:Rocketnews24.

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