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リアル・ビッグフット?謎の巨大類人猿「ギガントピテクス」はオランウータンの親戚だった可能性(デンマーク研究)

カラパイア

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Image by :RichVintage/iStock

 世界中のいたるところで目撃されたり痕跡が確認されたりしている、毛むくじゃらの類人猿に似たUMA(未確認生物)。日本では雪男、アメリカではビッグフットと呼ばれており、目撃情報は多いものの実在するかどうかは今なお謎に包まれている。

 ビッグフットはただの伝説の可能性もあるが、大昔には人間の成人の2倍もの巨体を誇る類人猿が東南アジアの森を歩いていたらしい。

 身長3メートル、体重300~600キロもあったと推定される「ギガントピテクス(学名 Gigantopithecus blacki)」だ。その姿はこれまで数少ない化石から推測するよりなく、まさに謎の生物であった。

 しかしこのほど、大昔のタンパク質を解析する画期的な方法によってこの謎の生物の系統を特定することができたそうだ。

 研究によると、ギガントピテクスに最も近いのはその直接の親戚であるオランウータンなのだとか。

謎に包まれたギガントピテクス


 史上最大のヒト上科動物で史上最大の霊長類であるギガントピテクスの存在は、1935年に香港で漢方薬として売られていた臼歯をオランダの古生物学者が購入したことで明らかになった。

 身長3メートルという巨体でありながら、現在まで残っている化石はたった4点の下顎とたくさんの歯のみで完全な頭蓋骨はないし、それ以外の部分の骨も一切発見されていない。

 そのためギガントピテクスの姿の大部分は化石の比較に基づく憶測でしかなく、もちろん進化の系統などもまったく不明のままだった。

 とうの昔に絶滅した動物を知るための重要な方法が化石の遺伝子解析だ。

 しかしギガントピテクスが生きていた熱帯の暖かく、しかも湿度の高い環境では、DNAは劣化しやすくせいぜい1万年前のものしか手に入らない。

 化石の記録から、ギガントピテクスは30万年前に絶滅したと考えられている。そのため従来の方法では、遺伝子を解析することなどできなかったのだ。

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ギガントピテクスの下顎
image credit:Prof. Wei Wang

190万年前のタンパク質構造を回復させる画期的な解析


 そこで『Nature』(11月13日付)に研究論文を掲載したデンマーク・コペンハーゲン大学をはじめとする研究グループは、古い歯のエナメルからタンパク質構造を回復してそれを解析する画期的な方法を考案。

 中国南部の洞窟で発掘された190万年前の歯のタンパク質を解析した結果、ギガントピテクスの系統樹の位置を突き止めることに成功した。

200万年前の歯のエナメルから採取したタンパク質を構造解析すれば、現代まで生き残ったDNAから、とっくの昔に絶滅した動物たちの進化の関係を高い信頼性で再構成できることを証明した

とコペンハーゲン大学のエンリコ・カッペリーニ氏は話す。

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中国南部の洞窟の入り口からの眺め
image credit:Prof. Wei Wang

 中国南部の洞窟で発掘された190万年前の歯から明らかになったのは、かつて実在した “ビッグフット” がチンパンジーボノボのような人間の親戚ではなかったということだ。

 そうではなく、ギガントピテクスのタンパク質は現代のオランウータンと同じものだった。両者は、1200万年から1000万年前に枝分かれしたいとこ同士だったのだ。

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身長180cmの人間の男性とギガントピテクス種を比較した図。ギガントピテクスは四足歩行で過ごしていたとみられるが、この図ではオランウータンの体型をもとに二足歩行化している。向って左がギガントピテクス・ブラッキー(G.blacki)、右がギガントピテクス・ギガンテウス(G.giganteus)
image credit:Discott

オランウータンのいとこであること以外の情報は不明のまま


 なお、オランウータンのいとこであることは判明したが、実際にどのような姿をしていたのかまでは相変わらずわからないとのことだ。イラストや模型があったとしても、それはあくまで想像によるものなので注意が必要だ。

 そうは言っても今回の成功によって、ギガントピテクスのみならず、これまで調べることができなかった他の熱帯の絶滅種の研究が大きく進展することも期待できるだろう。

 今度はどんな謎の生物に光が当てられるのか楽しみだ。

References:Natureなど / written by hiroching / edited by usagi

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