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夫に浮気された「サレ妻」は、もう幸せになれないのか?あるサレ妻による、壮絶な体験記

ダ・ヴィンチNEWS

『渦婚 夫の浮気で、なぜ幸せになれたのか?』(黒木いづみ/みらいパブリッシング)

 夫に浮気をされてしまった妻=「サレ妻」がここ数年話題だ。SNSではサレ妻の告白アカウントが人気を呼び、サレ妻目線のテレビドラマも次々にヒットを飛ばしている。男と女の関係は当事者にしかわからないなどと言われるが、子供の有無や互いの両親との関係、仕事など、家庭の状況によってふたりの取る選択肢は大きく変わっていくだろう。サレ妻たちは夫の裏切りに深く傷つき、根底から変わってしまった結婚生活をどうするか、過酷な選択に迫られる。

いま、編集部注目の作家

『渦婚 夫の浮気で、なぜ幸せになれたのか?』(黒木いづみ/みらいパブリッシング)は、サレ妻となってしまった著者が自らの経験を赤裸々に語る一冊だ。ただし、よくある復讐劇などではなく「夫の浮気で幸せになる」までの異色のサクセスストーリーとなっている。

 アラフォーになったバツイチの〈私〉は2度目の婚約中に妊娠するが、婚約者から次の衝撃的な告白を受ける。

「結婚はしない。子供もいらない。ご両親に謝りにいきます。」

 それでも、最初の結婚で流産を経験していた〈私〉は出産の最後のチャンスと覚悟を決め、婚約者の機嫌を窺いながら結婚へと突き進む。入籍後に長女を出産し、育児に追われる日々に突入するが、わずか1カ月で夫は浮気。次々に証拠を掴んだ〈私〉は激しいフラッシュバックに苦しみながらも、結婚生活の継続を模索する。

「夫のことが大好きだ」と自分に言い聞かせながら明るく振る舞い、浮気を気にしない女優に感銘を受け、彼のために料理教室通いを始める。浮気された苦しみを克服するための〈私〉のいじらしいまでの努力に、「なんでそこまで?」と首をかしげ、読みながら苦しさを覚える人もいるかもしれない。事実、周囲の人間関係はさらに悪化。追い詰められた彼女は夫と子供に包丁を向け、自殺を図る。しかし、精神病棟に入り、完全に自由を失った先には思いがけない気づきが待っていた。

「彼を愛さなければいけない、離婚したら生きていけない、娘が可愛そうと言われてしまう、離婚したら娘とは会えなくなる」と思い込んで苦しんでいたのだ。
この思い込みはまるで、渦にのまれないように必死に岩にしがみついているみたいなものだった。(中略)手放して渦の中に入っていくと、そこは自分の中心だった。

 極限状態を抜け出した〈私〉は大小様々な試みを実行に移し、徐々に希望を掴んでいく。完全に壊れたかのように見えていた夫婦関係も少しずつ改善の兆しを見せはじめる。その方法論や〈私〉の考え方の変化についてはぜひ本書を確かめていただきたいが、それを真似したからといって、同じ苦しみを抱える人が救われるとは限らないだろう。これはあくまでも〈私〉の物語。「こういった夫婦の形もある」と、多様な夫婦関係を知るきっかけにしてもらいたい。

 自分を傷つけた相手とどう向き合えば幸せになれるのか。それは自分がどうありたいかという問いかけとイコールだ。知らず知らずのうちに抱いた思い込みを手放し、自分と向き合い続けること。夫を愛することを諦めない〈私〉の姿に勇気づけられる人は少なくないはずだ。

文=油井康子

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