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侍ジャパンの“形”が見えたメキシコ撃破【プレミア12】

週刊ベースボールONLINE

坂本勇人の復活



坂本はメキシコ戦で3安打1打点1得点をマーク

■プレミア12「スーパーラウンド」
日本3対1メキシコ=11月13日(東京ドーム)

 前夜のアメリカ戦での敗戦により、チームにはやや重苦しい雰囲気が漂っていたが、11月17日の決勝に向けてもう負けは許されない緊張感の中で迎えた13日のメキシコ戦(東京ドーム)は、稲葉篤紀監督が求めてきた“形”が見えた勝利だったのではないか。

 苦戦を強いられたオープニングラウンド初戦のベネズエラ戦、スーパーラウンド初戦のオーストラリア戦、続くアメリカ戦と、いずれも日本は先制を許して追いかける展開を強いられていたが、この日はメキシコ先発の左腕・ラミレス攻略へ右打者を7人起用するなど大胆にシャッフルした打順変更が奏功。どうしても欲しかった先制点を手にした。

 口火を切ったのは、アメリカ戦で3三振を喫していた坂本勇人だ。前夜の七番から二番に打順を上げての先発出場は「もともと巨人では二番。これまで二番で1試合(※11月1日のカナダとの強化試合)しか試していないのですが、(全体の)守備をまず決めて、打順を組んだときに二番がいいんじゃないかと。慣れているポジションですし、そこで何とかつないでもらおうと思いました」という稲葉監督の親心。先発落ちも可能性があった中での起用に、坂本も結果で応えた。

 初回、一死で打席に立つと、メジャー通算40勝のラミレスの初球を、迷いを振り払うかのようにフルスイング。痛烈な打球が極端なシフト敷いた二塁手(二塁ベース後方に位置)と遊撃手の間を抜いた。坂本は「普通ならショートゴロ」と冗談めかしたが、「見ていくといいことがないと思って早めに仕掛けました。先に点を取りたいという状況で初回に安打が出て良かった」と振り返る一打がチームに勢いを呼んだ。

 坂本は直後に二盗でスコアリングポジションに進むと、頼れる四番・鈴木誠也の中前打で先制のホームへ。スーパーラウンド3戦目にして初の先取点が持つ意味は大きく、打線はここからさらなるつながりを見せる。この日は五番に入った外崎修汰が中前打で続き、六番に回った近藤健介にも一、二塁間を破る適時打が生まれて2点を先取。2回には2度目の打席が回ってきた坂本が左前へ適時打を放ち、「迷惑をかけていたので、ホッとしました」と笑顔を見せた。

リードを守り切った強力投手陣


 結果的に打線はこの3点にとどまったが、「まず先制点を取れたというところでチームの流れになっていき、日本らしいわれわれの勝ち方につながった」と稲葉監督が話したように、序盤の3点の援護が投手陣の完璧なパフォーマンスにつながっていく。

 まずは先発の今永昇太。会沢翼との事前に話し合ったメキシコ対策が見事にハマった。初回の打者3人に初球カーブを投じる入りは、「初回だけは何で行くかと会沢(翼)さんと話し合い、カーブから入りました。速球系は怖かった」と強力なメキシコ打線を警戒したものだが、これでタイミングを狂わせ、三者凡退でスタート。

 前回登板のチャイニーズ・タイペイ戦(11月7日)は3回で降板も、「前回よりもストレートの質が良かった」と状態の良かったこの日は、そのストレートとともにカットボールやチェンジアップを巧みに配した。「相手の打ちたいカウントの中で、チェンジアップや緩いボールを使えました。だから待っていないところに真っすぐを投げられた」と序盤3イニングを無安打に。4回先頭のジョーンズにインコースの初球のカットボールを左翼スタンドまで運ばれ「まさかあのボールをあそこまで……」と衝撃を受けたが、あらためて警戒を強め、その後は再び慎重でていねいな投球で6回を毎回の8奪三振、本塁打による1安打のみと先発の仕事を十二分に果たした。

 大会を通じて状態の良いリリーフ陣はこの日も完璧。7回からマウンドに上がった甲斐野央は、最速156キロのストレートを意識させつつ、140キロ台のフォーク、スライダーを配して四球を1つ許したのみで山本由伸のバトンタッチ。8回を任された山本はすべてのアウトを空振り三振で仕留める圧巻の投球を見せる。二死から自らの失策で走者を許したが、最後もフォークで空振り三振と相手の反撃の芽を摘んだ。9回はクローザーの山崎康晃がマウンドに登り、先頭の二番・ペリオを二ゴロに打ち取ると、バルガス、エバンスから連続三振を奪い、試合を締めた。

 メキシコの強力打線を本塁打による1安打に抑えた投手陣に対し、稲葉監督は「中継ぎも安打ゼロ。それぞれが素晴らしいピッチングをしてくれたと思います」と満足顔。早い段階で先制点を奪い、強力な投手陣で守り抜く。追加点が奪えなかったことに課題はあるが、日本が理想とする勝ち方だったのではないか。

文=坂本匠 写真=山口高明

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