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「世界」から笑われないために侍ジャパンに求められる“王者の振る舞い”

週刊ベースボールONLINE

国際大会での常識



国際大会に出場する大前提として、勝つことだけではなく、歴史的背景、目的、趣旨を理解することが必要だ(写真は侍ジャパントップチームを率いる稲葉篤紀監督)

 中国で「王者の振る舞い」が称えられている。第2回BFA女子野球アジアカップ(中国)。日本はインド、パキスタン、中国との予選リーグで、いずれもワンサイドのコールドで大勝したが、その真摯な「姿勢」が称賛された。

 アンリトン・ルール。大会規約に記載されていないが、国際大会には暗黙のルール(不文律)がある。マナーとリスペクト。スポーツマンシップとして当然、理解した上でプレーすることが求められる。重要な“ルール”だが、実はあまり徹底されていないのが現実だ。

 侍ジャパン女子代表は開幕前に「国際大会の開催意義」を学んだ上で、大会に臨んだ。

 大量得点差(7点差以上、相手が格下の際は5点差以上)では「盗塁禁止=捕逸を除く」「スクイズ禁止」「けん制球禁止」「3ボール0ストライクから打ってはいけない」「控え選手を多く起用してはいけない」。また、試合前から明らかな実力差があると分かっているときには「投手は変化球を投げず、ストレートのみ」「盗塁禁止」「ガッツポーズ禁止」「相手捕手のサイン、動作の盗み見は禁止」とある。

 日本から見れば馴染みのない“ルール”かもしれないが、国際舞台では極めて常識の範囲。野球は世界から見れば、超マイナースポーツ。アジア、アフリカ、ヨーロッパの競技普及が進まない限り、オリンピックの正式競技として存続させることは難しい状況にある。男子、女子ともWBSCランキングで1位である日本は、勝つだけが目的ではない。野球途上国・地域へのリスペクト、競技力向上のための「王者の振る舞い」が求められているのだ。

 対戦チームは国を代表した集団であり、相手のメンツをつぶしてはならない。恥をかかせてはならないのが、国際大会における最低限のマナーなのだ。侍ジャパン女子代表は、この基本姿勢を実践し、フェアプレーを貫いた。

 スポーツマンシップの心構え。

 リスペクトとは仲間、相手、ルールだけではなく、審判員にも敬意を払うべきある。ゲームを公正・中立にジャッジするアンパイアなくして、試合は成立しないからだ。

明らかな侮辱行為


 しかしながら、侍ジャパントップチームで残念なシーンがあった。最も模範的な行動が必要とされるプロであるはずだが……。プレミア12の一次ラウンド初戦(対ベネズエラ)で、稲葉篤紀監督が選手交代の際に「指笛」で審判員を呼びつける動きが問題視された。

 明らかな侮辱行為であり、審判員の心証を悪くしたのは間違いない(稲葉監督は、この試合限りで封印)。実際、ある球界関係者によれば、アメリカの審判員は相当、憤慨していたという。台湾から飛び込んできた衝撃的ニュースは日本球界内でも波紋を呼び、SNSなどで、さまざまな意見が飛び交ったという。

 NPBにおいてもシーズン中、監督が審判員へ指笛で交代のシグナルをするケースはよく見かける。当たり前のようになっているが、国際的には「非常識」。本来は、帽子を取って監督のほうから審判員へ歩み寄り、交代を告げるのが常識。「世界」からは「日本が変わっている」と見られている事実も、あまり知られていないが、恥ずべきことなのである。

 来年は日本開催のオリンピックだ。2008年の北京大会を最後に12年のロンドン大会、16年のリオ大会で除外された野球競技。3大会ぶりに日本で「野球・ソフトボール」として復活するが、24年のパリ大会では開催されず、28年のロサンゼルス大会も開催は不透明の状況だ。絶好のアピールの機会に「世界」から笑われないためにも、もう一度、「国際大会に出場する意義」を心得てから参加すべきだ。残された準備期間を勝つだけではなく、趣旨を認識した上で臨めば、オリンピックを戦う「世界観」は、大きく変わっていくはずだ。

文=岡本朋祐 写真=小山真司

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