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『無限の住人』殺陣師・辻井啓伺氏インタビュー 木村拓哉と三池崇史監督が持つ特異なアクションの“間”とは

SPICE

4月29日に映画『無限の住人』が公開される。原作となった沙村広明氏による同名漫画は『月刊アフタヌーン』(講談社)にて連載され、全30巻の単行本が刊行された人気作。江戸時代の日本を舞台に、細胞を甦らせる‟血仙蟲”を宿して不死身の身体となった男・万次(木村拓哉)が父親を殺された少女・凜(杉咲花)の用心棒となり、異形の集団・逸刀流や公儀と繰り広げる戦いを描く作品だ。2000年に米国で「コミックのアカデミー賞」と呼ばれるウィル・アイズナー漫画業界賞の最優秀国際作品賞に輝くなど海外でも高い評価を受けてきた。

そんな本作の核となっているのが、多彩な武器と激しい殺陣が特徴のアクションだ。三池崇史監督がスクリーンに具現化した異色の時代劇は、『十三人の刺客』から7年を経てさらなる進化を遂げている。SPICEは、『無限の住人』殺陣師・辻井啓伺氏にインタビューし、三池監督のアクション演出からキャストの魅力まで、じっくりと語ってもらった。

 

『ZIPANG ジパング』から『無限の住人』へ繋がる縁


(C)沙村広明/講談社 (C)2017 映画「無限の住人」製作委員会



――ほとんどの三池作品でアクションを担当されていますが、そもそもどの作品で三池監督と出会われたんですか?

『岸和田少年愚連隊 血煙り純情編』が最初にご一緒した作品ですね。三池監督が撮られたVシネには関わっていないです。三池監督はもともと殺陣・アクションは自分でやられていたんですが、過激な方なので前作の現場でけが人が出てしまったらしく。『岸和田少年愚連隊 血煙り純情編』は役者同士の喧嘩シーンも多いから安全対策が必要、ということでプロデューサーに呼ばれて参加しました。

――そこからはずっと辻井さんが三池作品のアクションを担当されて、リメイク版の『十三人の刺客』にも殺陣で参加されています。同じ時代劇の『十三人の刺客』を経て、今回の『無限の住人』ではまた新しい要素も入ってきたように思いますが……アクションのコンセプトみたいなものは三池監督と話されたんでしょうか?

今回は特殊な武器がたくさん登場するので、これをどう見せるかというテーマはありました。この武器でやるならこう戦うだろうな、ということですね。ただ、監督も見ないと納得しない人なので(笑)。だから、監督にも木村さんにも(立ち回りを)見せる。それでまた変わるので、常に木村さんのキャラクターが動きやすいように、というのは意識しました。CGを使わないといけない場面もあるので、画コンテみたいなものはあるんですけど、ほとんどは臨機応変に現場で、芝居の流れとして立ち回りをやろう、と。そういう意味で、緊迫感は大事にしました。そういうものは役者さん同士の息の問題で、現場でのぶつかり合いの迫力なので、なかなか練習をやれば出来るというものでもない。立ち回りをやって、手合せして、本番……それが慣れてきて、だんだん面白くなくなるというのは避けたかったので、臨場感みたいなものは常に大事にしていました。

――武器の面白さと臨場感がアクションのテーマなんですね。色々な武器が登場する映画といえば、原作の沙村広明さんは『無限の住人』を描かれるうえで、林海象監督の『ZIPANG ジパング』に影響を受けた(※映画秘宝COLLECTION/映画秘宝編集部・編著『漫画家の選んだ至高の映画』より)らしいですよ。

へえ! そうなんですか。

――辻井さんは『ZIPANG ジパング』に参加されてますよね?

参加してます(笑)。当時は殺陣師の補佐で付いていました。(『無限の住人』は)『ZIPANG ジパング』みたいだな、とは思っていましたが……10本刀の100人斬りシーンとか、林海象監督もアイデアマンでしたよ。画コンテを描いてらっしゃったのは雨宮慶太さんです。

――そんな不思議な縁もあるので『無限の住人』は辻井さんと相性が良かったんだろうな、と納得できました。『無限の住人』には「殺陣師」としてクレジットされていますが、役割は現代劇のスタントコーディネーター(※編注:振付や細かなアクション演出から、安全面の確保、スタントマンなどのキャスティングなどを包括的に行う役割)と同じと考えていいんでしょうか?

 


(C)沙村広明/講談社 (C)2017 映画「無限の住人」製作委員会



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そうですね。ぼくはいつもスタントコーディネーターとして参加していて、アクション監督としては入っていないです。三池組の場合には、まず画コンテを監督が描いて、それをどうするかを考えます。(『無限の住人』の)ラストの立ち回りなんかは、画コンテはあるんですが、その間の流れは画コンテにできないので、監督に「こっちを向きながら万次がこっちにくる、という流れを作りましょう。今度はこっちから入る流れにしましょう」と話しながら作りました。昔の殺陣師はカット割りもやっていたんですけど、今はカット割りは監督さんがします。

――クライマックスの1対300人の立ち回りは、単なる大規模なアクションじゃなく、橋の下を移動したり建物の遮蔽物を利用したりと目まぐるしく場面がかわって、しかも生々しかった。どういう経緯でああいったアクションになったのでしょうか?

監督があそこにオープンセットを立てよう、と言い出したんです。逆にそこから「何をやろう?」というのが決まっていきました。ここでこういう立ち回りをするから、ここに橋を作るという発想じゃなくて。ここには廃墟があって、壊れた橋があって、家があって……という美術さんがイメージして作ってから、こういう建物があるから、屋根から移動して、中から外に出てきて、戸田(恵梨香)さんが上に立って……という風に。オープンセットが出来てから監督が画コンテの相馬(宏充)さんとシナリオハンティング(編注:ロケ場所を確認しながらシナリオを考えること)していったんです。

――三池監督は本当にアクションがお好きなんですね。バイオレンスのイメージを持たれがちですが、アクションの撮り方が本当に上手い方だと思います。

好きですね。ただ、基本はバイオレンスの人ですけどね。立ち回りは、いわゆる立ち回りじゃなくて、バイオレンス。喧嘩のシーンでも、「バイオレンスに、リアルに」ということは常におっしゃいます。

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