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「日ハムっぽい」侍ジャパンで特徴が輝く、3番・近藤健介の起用【えのきどいちろうのファイターズチャンネル#114】

ベースボールチャンネル

「日ハムっぽい」侍ジャパンで特徴が輝く、3番・近藤健介の起用【えのきどいちろうのファイターズチャンネル#114】

コーチングスタッフにポスト栗山?

「さぁ、次は野球だ!」のCMにはちょっと照れるけど、始まるとけっこう楽しく見てしまうプレミア12である。侍ジャパン(という言い方にも毎回、ちょっと照れるけど)はオープニングラウンド(B組)を全勝で終え、いよいよスーパーラウンドに駒を進める。プロ野球ファンの面白いところは、各チームのファンが基本的に「うちの子」の心配ばっかりしているところだ。特に最初のベネズエラ戦が顕著だった。僕のツイッターのタイムラインが「うちの子」の心配で埋め尽くされた。みんな何となく選手の親戚気分だ。可愛い「うちの子」は日の丸をつけてちゃんとプレーできるだろうか。凡ミスをして「戦犯」などど叩かれないだろうか。(選手を出していない)阪神とロッテのファンは多少複雑だと思うが、プロ野球ファンはあくまで「プロ野球の枠組み」で日本代表を見つめるのだと思う。
 
 で、ファイターズファンだが、これが面白いのだ。日本代表選手は近藤健介たった1人だ。台湾代表戦では相手チームに王柏融がいたけれど、それをカウントしてもたった2人。なのに皆、熱視線を注いでいる。だってこの代表チームは「稲葉ジャパン」なのだ。監督は稲葉篤紀、ヘッド兼打撃コーチが金子誠、投手コーチが建山義紀。こんな「日ハムっぽい侍」が組織されたことがあるか。基本、この編成で東京2020の野球競技が戦われる。そんな「日ハムっぽい五輪代表」アリなのか! 今、マラソンと競歩の札幌開催で世間的には大騒ぎだが、実は「日ハムっぽい侍」問題のほうが札幌市民の胸を熱くしている可能性がある。
 
 ※尚、個人的にはこの稲葉、金子、建山の三氏のなかに、「ポスト栗山」のファイターズ監督候補がいるんじゃないかなぁと思っている。で、栗山さんは将来、勇退されたらフロント入りだろうか。まぁ、そういう目線で見てもプレミア12、東京2020は非常に面白い。
 
 もっとも実際のゲームのなかでは、そりゃ近藤健介に注目だ。プレミア12では3番バッター。返すバッティングもできるが、今大会はここまで4番鈴木誠也が絶好調だから繋ぎの役割に徹している。真骨頂は高い出塁率だ。オープニングラウンド初戦・ベネズエラ戦の5打席4四球(その1つが押し出し決勝点)は面目躍如だった。開幕戦の緊張感や、実戦から遠ざかった試合勘の問題からベネズエラ戦がいちばん難しい試合だった。あの試合は日本代表が冷静にストライクボールを見極め、四球を選んだことが勝利に結びついた。近藤健介はその象徴だった。グッジョブである。

コンスケの役割は繋ぎ

 ファンの間では「コンスケ」で通ってるから以下、コンスケと書く。もっともこれまでは田中賢介の存在があり、「健介=ケンスケ」と呼べない事情があった。来年からはどうなるのだろう。コンスケのすごさは追い込まれることを苦にしないところだ。苦にしないどころか2ストライクに追い込まれたほうが次の一球に集中できるのだという。打席では縦に身体を揺らしながら待つ。で、天才肌だと思うのはバットを振らないでボールを見極めるところだ。普通は振らないと身体がほぐれない。あれは相手投手はプレッシャーだと思うのだ。とにかくじっと見る。懐が深いからボールを最後まで見る。で、どうかすると一度もバットを振らずに四球で歩く。
 
 プレミア12では、ストライクゾーンのわからない国際試合、初見の外国人投手、と不安要素だらけじゃないかと思うのだが、スタイルを全く変えなかった。で、初戦から4四球だ。仕事をした。これは稲葉監督もチームメイトも心強かったと思うのだ。ニコニコ微笑みながらさらっと大仕事をしてしまう。すごくいいキャラクターだ。まぁ、ドカベンで言ったら殿馬タイプかなぁ。
 
 いい仕事だったなぁと思ったのは第3戦・台湾戦の先制点だ。1回2死、3番バッターだからもちろん走者なしでコンスケは打席に立っている。相手投手からしたら何でもない場面だ。が、フルカウントまで粘られ四球、1塁ランナーとして出すとしきりにスタートを切る素振りを見せ、プレッシャーをかけてくる。で、パスボールで2塁に進むのだ。2死走者なしの何でもない場面が一転、2死2塁で4番鈴木誠也という大ピンチに化けてしまう。鈴木誠也は左中間を真っ二つに割り、タイムリー3ベースだ。2死3塁とピンチが続く。吉田正尚にもタイムリーが生まれ、あっという間に2点先制!
 
 もちろん侍ジャパンはいいバッターが目白押しだから、火がつけばどこからだって点が取れるのだが、その着火点というのか繋ぎの役割をコンスケが果たしたと思うのだ。そして今年、ファイターズ打線はあまりうまくいったと言えないのだが、本来の「繋ぎの野球」というのは、こうして相手投手にプレッシャーをかけ続けるものだ。プレッシャーは西武打線のような強打者が並んでなくても、仕事をすることでかけられる。相手投手に神経をつかわせ、力を殺(そ)いでやればいい。
 
 稲葉監督をはじめ「日ハムっぽい侍」の首脳陣はコンスケの特徴をよく知っている。その特徴を生かしたチーム編成だと思うのだ。スーパーラウンドの戦いも期待している。

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