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「野球一筋」はMLBで不利?複数スポーツ経験者より故障の確率高く 米大学が研究結果を発表

ベースボールチャンネル

「野球一筋」はMLBで不利?複数スポーツ経験者より故障の確率高く 米大学が研究結果を発表

複数スポーツを奨励する土壌でマルチ・アスリートが数多く存在

 高校で野球以外のスポーツを行っていた選手は、高校で野球だけをやっていた選手に比べて、プロ入り後に故障をする確率が低くなる。そんな研究結果が米国の医学雑誌で発表された。
 
 この論文は2019年7月にニューヨークにあるコロンビア大学の研究者らが発表した。メジャーリーガー及びマイナーリーガーたちに高校時代にどのようなスポーツを行ったかの聞き取り調査を行い、彼らのプロ入り後の成績と故障歴を比較解析したものだ。
 
 調査対象となったのは2008年から2016年までにMLBのドラフト会議で1、2位指名され、少なくともプロで1試合以上に出場したことがある746人の選手だ。そのうち、240名(32%)が高校で複数スポーツを経験し、506名(68%)が野球だけを行っていたと答えている。
 
 この両グループを比較すると以下のような興味深い傾向が明らかになった。
 
複数スポーツを経験したグループ(A)と野球のみを行ったグループ(B)との比較
 
・プロ入り後平均試合出場数:A=362.8試合、B=300.8試合
・メジャー平均試合出場数:A=95.9試合、B=71.6試合
・上半身の故障率:A=50%、B=63%
・肩か肘を故障した投手:A=27人、B=86人
・投手に限定した肘の故障の再現率:A=17%、B=33%
 
 結論として、高校時代に野球以外のスポーツを並行して行った選手ほど、プロ入り後長く活躍し、故障の確率が低くなることが分かった。特に投手においてその傾向がより顕著になることも分かった。
 
 昨年MLBのオークランド・アスレチックスとNFLのアリゾナ・カージナルスの両方からドラフト1位指名を受け、アメフトを選択したカイラー・マーレイは特別な例だとしても、米国のスポーツ界には複数のスポーツで一流の成績を残すマルチ・アスリートが数多く存在する。元々複数スポーツを奨励する土壌があるのだ。
 
 大学スポーツのスカウトがある選手を評価する際に、その選手の専門スポーツでの成績は勿論ではあるが、他にどんなスポーツをやっていたかを重視するとも聞く。

球団の選手評価に影響か…日本選手のメジャー挑戦も困難に

 2017年のNFLのドラフト1位選手32名のうち30名が複数スポーツ経験者だったことに比べると、MLBにはそれまで野球一筋だった選手の割合がまだ高い。
 
 野球の盛んなカリフォルニア州やフロリダ州では、温暖な気候のせいで、選手は1年中野球をやろうとすれば出来てしまうことも関係しているかもしれない。MLB歴代史上最高選手の呼び名が高いマイク・トラウト(ロサンゼルス・エンゼルス)はニュージャージー州出身で、高校時代は野球ができない冬の間はバスケットボール部で活躍していた。
 
 米国でも以前に比べるとスポーツの専門化が進み、子供たちが早い段階で単一スポーツに集中する弊害が指摘されている。さらにこのような学術研究の結果が明らかになった以上、統計データを重視するMLBのチーム編成者たちが選手の評価に野球以外のスポーツ歴を加えることは予想に難くない。
 
 高校部活動の事情が異なるのでやむを得ないことではあるが、日本人プロ野球選手で高校時代に野球以外のスポーツをやっていた例は少ないだろう。特に甲子園に出場するような高校は1年中野球漬けの生活を送っていることは容易に想像できる。
 
 それが日本野球の高い技術を支えていることは間違いないが、あるいは野球一筋の高校生活を送ったことが今後日本人選手のメジャー挑戦にかえって不利に働くことになるかもしれない。

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