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マンUの強さを引き出した男、その効果とは? 浅野拓磨沈黙のパルチザンを完封

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マンUの強さを引き出した男、その効果とは? 浅野拓磨沈黙のパルチザンを完封

立ち上がりからパルチザンを圧倒

 ヨーロッパリーグ・グループリーグL組第4節、マンチェスター・ユナイテッド対パルチザン・ベオグラードが現地時間7日に行われ、3-0でホームチームが勝利している。この試合で大きく躍動していたのが、スペイン人MFのファン・マタである。浅野拓磨が沈黙してしまったパルチザンを相手に見せた、効果とは。(文:小澤祐作)

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 プレミアリーグでは11試合で3勝4分4敗という成績で10位に沈むなど苦戦を強いられているマンチェスター・ユナイテッドであるが、ヨーロッパリーグ(EL)では安定感ある強さを見せ続けている。同大会のグループリーグL組でFCアスタナ、パルチザン・ベオグラード、AZと同組になったユナイテッドは、3試合を終え2勝1分の成績。得点数は「2」と少ないが、同3試合で無失点を誇っているなど、グループをリードしてきた。

 そして、現地時間7日に行われたグループリーグ第4節のパルチザン戦でも、ユナイテッドはその強さを見せつけた。

 4-5-1のフォーメーションで試合に挑んだユナイテッドは、立ち上がりからパルチザンに対し、攻めの姿勢を貫く。ボールを持てば素早く縦につけ、パルチザンの最終ラインが整う前に崩し切る。負傷明けながら好調を維持するFWアントニー・マルシャルとFWマーカス・ラッシュフォードの距離感、連係ともに抜群で、早い時間からGKヴラディミル・ストイコビッチに襲い掛かった。

 一方、相手は最前線のFWウマル・サディクやサイドのFW浅野拓磨、MFセイドゥバ・ギネーネ・スバーらの走力を生かすため、最終ラインの裏のスペースへシンプルにロングボールを蹴り込んできたが、DFハリー・マグワイアやDFマルコス・ロホが空中戦の競り合いでことごとく勝ち、好きなように攻めさせない。中盤のMFスコット・マクトミネイとMFフレッジらはセカンドボールへの反応も素早く、パルチザンに2次攻撃をも許さなかった。

 ユナイテッド最初のビッグチャンスは6分。右サイドのDFアーロン・ワン=ビサカが相手陣内深い位置まで侵入すると、素早くグラウンダーのクロスを送る。ボールは一度相手に当たったが、こぼれ球をラッシュフォードがシュート。これはゴール右に外れたが、そこまでの組み立てを含め効果的な崩しであった。

 その2分後にもラッシュフォードに決定機が訪れる。マルシャルのスルーパスに抜け出したMFファン・マタがペナルティエリア内で一人をかわすと、中へ走り込んできた背番号10へパス。ボールを受けた同選手はダイレクトでシュートを放ったが、飛び出してきたストイコビッチにセーブされた。

 と、ラッシュフォードは立ち上がりから2回の決定機を外した結果となったが、ここまでの展開を見てもユナイテッドに得点が生まれるのは時間の問題であったと言える。攻守の切り替えも素早く、試合の入り方としては申し分なかった。

躍動するマタ

 立ち上がりから試合のペースを握ったユナイテッドは、その後もパルチザンを相手に攻めて攻めまくる。その中で躍動していたのが、トップ下で先発出場を果たしていたファン・マタである。

 マタは、相手のボランチとCBの間のスペースを積極的に使い、周りの状況を確認しながらサイドに流れたりと常に動きを止めることがなかった。ボールを受ける前には必ず首を振って状況を確認。DFとDFの間の嫌なスペースにポジショニングするなど、オフ・ザ・ボール時でも効果を発揮した。こうした動きはチームを攻撃を流動的にさせる意味でも重要。とくにパルチザンのような相手にボールを持てる展開であれば、なおさらだ。

 そのマタの動き出しの効果が発揮され、ゴールに結びついたシーンが22分。敵陣でラッシュフォードがボールを受けると、その瞬間にマタは相手最終ラインの裏を突こうと走り出す。その動きを気にし、DFスロボダン・ウロセビッチはオフサイドラインを上げようとするが、それが仇となった。マタは囮で、狙いはその後ろのFWメイソン・グリーンウッドだったのだ。そうしてフリーとなっていた背番号26にスルーパスが出ると、直前にラインを上げようと前に出ていたウロセビッチは自身の背後に出たボールに追いつかない。そして、グリーンウッドが冷静にゴール。ユナイテッドに先制点がもたらされたのだ。

 さらに27分の場面では、ラッシュフォードが左サイドを駆け上がっているのを見ると、マタもその横を並走。相手の中盤と最終ラインの選手が三角形になるようなポジショニングをしていたが、スペイン人MFがその真ん中のエリアに陣取ると、急に動きをストップし、相手3人を引き付ける。そこでラッシュフォードからのパスを受けたマタは、浮き球のダイレクトパスをリターン。これはDFネマニャ・ミレティッチの的確なカバーリングにより、ビッグチャンスとはならなかったが、相手にとって嫌なエリアを使い、かつラッシュフォードの良さを位生かすマタの特徴が表れた印象的なシーンであった。

 データサイト『Who Scored』によると、マタはこの日、ドリブル成功数4回、決定的なパス1回、パス成功率78%を記録している。ボールロスト18回は多いが、データには表れない部分での貢献度が非常に高く、各データサイトを参照してもレーティングは決して低くない。地上でのデュエルでも7回中5回勝利を収めているなど、中盤でハードに戦っていた姿が好印象であった。

 ユナイテッドの強さを引き出したマタを、今後も起用していく意味はありそうだ。恐らく、MFジェシー・リンガードやMFアンドレアス・ペレイラよりは、中央で効果を発揮してくれるはず。この日はパスのズレなどやや気になる点はあったとはいえ、オーレ・グンナー・スールシャール監督の頭をいい意味で悩ますパフォーマンスを見せたと言えるだろう。

ユナイテッドが完勝。浅野は…

 試合全体の話に戻すと、ユナイテッドは相手のクリアミスを拾ったマルシャルがドリブルで次々とDFを剥がしてフィニッシュ。前半のうちにリードを2点に広げた。

 さらに、後半開始早々の49分にはマタからのサイドチェンジを受けたDFアシュリー・ヤングが柔らかいタッチでラッシュフォードにボールを落とすと、背番号10が豪快なシュートを沈め3点目。本拠オールド・トラフォードでパルチザンを圧倒した。

 60分過ぎからはお互いに攻め手を欠き、試合全体のペースも落ちていく。リンガードやA・ペレイラらは途中からピッチに立ったが、あまりうまく試合に入ることができた印象はなかった。

 ただ、ユナイテッドは攻守の切り替えの素早さを失っておらず、パルチザンに良い形で反撃を許さない。マクトミネイの負傷交代は気になるところであるが、試合の運び方、終わらせ方は満点だった。

 一方でパルチザンは疲労の影響もあったのか、カウンターの一撃さえも決まらず、後半45分間は沈黙。選手一人ひとりの距離が広がってしまい、パスがスムーズに回らない。大事な場面でのミスも多発し、ユナイテッド守備陣に楽をさせてしまった印象だ。結局、パルチザンは後半シュート0本。敵地で力の差をまざまざと見せつけられた。

 また、この試合で左サイドハーフとして先発出場を果たしていた日本代表FWの浅野拓磨だが、見せ場はほとんどなかった。最大のハイライトは39分。持ち味のスピードを生かしてマクトミネイを振り切り、エリアを大きく回復させただけ。シュート1本を放ったが、その他の場面ではチームとともに沈黙を続けた。

 パルチザンは現地時間11日にリーグ戦でFKインジヤと対戦する。浅野はその試合で結果を残し、良い形で日本代表に合流してほしいところだが…。

(文:小澤祐作)

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