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犬?キツネ?いいえ、ディンゴです。民家の裏庭に絶滅危惧種の子ディンゴがひょっこりあらわれる(オーストラリア)

カラパイア

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image credit:wandi_dingo/Instagram

 オーストラリアのビクトリア州の民家の裏庭で、住民女性が何かの動物の子どもを発見し保護した。

 その姿はとても愛らしく、子犬のように見える。子ギツネに見えなくもない。

 動物の種類に確信がもてなかった女性はSNSで問いかけてみたが確かな回答は得られず、翌日動物病院でDNA検査をしてもらうことに。

 なんとその生き物は、オーストラリアに生息するタイリクオオカミの亜種で絶滅危惧種の、純血のディンゴであることが判明したのだ。まさにオンリーオーストラリア事案である。

犬っぽい子供の動物を民家の裏庭で保護


 今年8月、オーストラリアのビクトリア州北東部に位置するワンディリゴンという地域に住む女性は、朝目覚めた時に自宅裏庭で動物の鳴き声を聞いた。
 
 女性が裏庭の茂みに近付くと、そこには1匹の子犬らしきものがいた。

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 果たして、その生き物が野良犬の子供なのか野ギツネの子供なのか判別がつけられなかった女性は、フェイスブックのグループアカウントに相談。

 しかし結局答えが出ず、1日保護した後、近くにあるアルパイン動物病院(Alpine Animal Hospital)に連れて行った。

 同病院は、「もしかしてこの子は…」とハッとした。ある動物に特徴が似ているからだ。確証を得るため、女性が“ワンディ”と名付けたその動物のDNAサンプルを検査に回した。


生後すぐにワシに持ち運ばれ民家に落とされた可能性


 結果を待つ間、ワンディは保護区のオーストラリアン・ディンゴファンデーションズ・サンクチュアリ(Australian Dingo Foundation’s Sanctuary)に預けられた。なぜなら病院側はこの動物がディンゴの子供である可能性が高いと思ったからだ。

 獣医がワンディを診察したところ、背中に爪痕があった。ベック・デイ獣医師は、このように話している。

ワンディが当院に連れて来られた時は、まだ生後8週から10週といったところでした。

背中の爪痕からすると、ワシに掴まれてどこかに持ち運ばれる途中で、民家の庭に落としたのだと思われます。おそらく、野生動物のディンゴでしょう。

しかし住民は、近くにディンゴの群れも見かけておらず、子供を呼ぶ鳴き声も全く聞いていません。遠くからワシに運ばれて来た可能性が高いと思われます。

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ワンディは純血種の高山ディンゴであることが判明


 DNA検査の結果、やはりワンディは純血の高山ディンゴであることがわかった。

 保護区の経営者および獣医師のリン・ワトソンさんは、ワンディが絶滅危惧種の純血種と知り、興奮を隠せない。

オーストラリアには、3種のディンゴが生息しています。西オーストラリア州のキンバリーとピルバラ地域に生息する熱帯ディンゴ、砂漠と国の中央部に生息する内陸ディンゴ、そしてワンディのような高山ディンゴです。

高山ディンゴは、最も絶滅が懸念されているタイプです。残念ながら、この高山ディンゴはオーストラリアの人口の80%が住む東海岸地域に生息しています。

従って、高山ディンゴの生息地が激減しているというだけでなく、犬のように見えるために迫害されやすく、絶滅の危機に瀕しているのです。

そのため、今回の純血種ディンゴの発見は、非常に貴重だといえるでしょう。

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ディンゴの純血種の繁殖プログラムに力を注ぐ保護区


 ディンゴは、約4000万年前に最初の人間が家畜化した仲間として、オーストラリアに持ち込まれたとされている。

 しかし、現地で根付くようになったディンゴは次第に野生化。純血種は、過去数十年で飼い犬との交配により希少になっていた。

 そのため、ディンゴ保護区で焦点をあてているのが、純血種のディンゴの遺伝子プールの保存であり、その改善に役立つ繁殖プログラムのために、今回発見されたワンディは大きな役割を果たすと期待されている。

 ワトソン獣医師は、最近のワンディについて次のように語っている。

ワンディをどのぐらいの期間、こちらで保護するかということについては、ワンディの発育具合とスタッフとの関係にもよります。

今は、ワンディは同じ時期に生まれた他のディンゴの仲間たちと一緒に遊んだりして、幸せに暮らしています。

ワンディの発育の詳細は随時記録していますが、現時点でワンディは既に繁殖に十分な全ての要素を持っていると言っていいでしょう。

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別の州はディンゴを害獣扱い


 ディンゴは、オーストラリアで唯一の在来犬であり、1992年には自然保護法に基づいて、国立公園で保護されていた。

 しかし、クイーンズランド州の一部地域では、ディンゴは害獣として分類されている。

 今年4月にも、同州沖にある島の奥地でキャンピング中の観光客の1歳男児を、ディンゴが口で引きずり群れの中へ連れ去ろうとしていたところを、男児の父親が気付いて救出するという出来事があった。

 このように野生のディンゴが人を襲うケースも少なくなく、当局ではディンゴへの警戒を繰り返し呼びかけている。

References:abc.net.auなど / written by Scarlet / edited by parumo

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