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損保業界は“大変革期”

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 日本損害保険協会会長であいおいニッセイ同和損害保険の金杉恭三社長は10月29日、東京都内で講演し、人工知能(AI)や情報通信技術(ICT)など技術革新に伴う関係市場の激変で損保サービスの「大変革期がきている」との認識を示した。

 地方新聞社の東京支社長ら幹部41人が参加した意見交換会で講演した金杉氏は「社会の変化で生じる新たなリスクの“平準化”は、荒波に乗り出す海上輸送のリスク分散の仕組みとして生まれた損保ビジネスの誕生以来、我々損保業界の変わらぬ役割」と述べ、技術革新に伴う新たなリスクへの保険ニーズの対応が「これからの業界発展の鍵を握る」と強調した。

 その上で、GAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾンの総称)など情報、取引基盤を握る「プラットフォーマー」と呼ばれる巨大IT企業が、金融情報を含めたあらゆる顧客データを横断的・一元的に得ることにより、寡占化・独占化が進むようなことがあれば、イノベーションの促進と顧客利便の向上が阻害される可能性への危機感を示し、異業種のIT系企業との連携を強めて対抗し、損保業界が主導的に新時代に対応したサービスを創造する重要性を指摘した。

 すでにさまざまな新規サービスが生まれている市場として、金杉氏は損保の主力である自動車分野を挙げ、インターネット常時接続のコネクティッドカーや自動運転、カーシェアリングなど新規の自動車関連ビジネスの進展に合わせて、自社で展開するいくつかの新しい自動車保険商品を紹介した。

▼高齢者を見守る

 その一つが、トヨタ自動車と共同開発し2018年に提供を始めた「運転挙動反映型保険」。自動車に搭載した通信機器付き端末で走行距離や走行時間、急発進、急ブレーキなどの運転情報を収集、分析して保険料へ反映したり、安全運転データとして運転者に通知したりする商品。高齢ドライバーの家族との運転情報の共有も可能で、一種の「高齢者見守りサービス」的な機能も果たしている、という。

 金杉氏は「19年1月からドライブレコーダー付き保険を提供しているが、来年の20年1月からは、その端末から運転情報を把握し、トヨタ車以外にも運転挙動反映型保険の提供を開始する。この運転挙動反映型保険で得られた膨大な運転情報はプラットフォーマーでなく、損保業界が直接握るビッグデータになる。これを損保ビジネスはもちろん、それ以外のサービス分野やさまざまな社会課題の解決に役立てていきたい」と語り、ビッグデータを解析するデータサイエンティストの育成、強化が急務と説明した。

 金杉恭三氏(かなすぎ・やすぞう)
1956年生まれ。早大政経学部卒。79年4月大東京火災海上保険(現あいおいニッセイ同和損害保険)入社。2016年4月からあいおいニッセイ同和損害保険社長。19年6月、日本損害保険協会会長就任。

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