top_line

吸血コウモリの友情は固い。実験室で芽生えた友情が野生に戻った後も継続されていたことが判明(米研究)

カラパイア

iStock-178801959_e
Image by through-my-lens/iStock

 友情、信頼関係、心の絆。人間同士で用いられる言葉だが、これらは何も人間だけのものではない。

 吸血コウモリ(チスイコウモリ)を観察している研究者によると、意外にも彼らにも固い絆が見られるのだそうだ。しかも彼らの友情は熱く、実験室で芽生えた友情が、野生に戻った後にも継続されているということが、今回の研究で明らかとなった。 

仲間と親密な関係を築くナミチスイコウモリ


 仲間と交流し、友情で結ばれる動物として代表的なのは霊長類だが、吸血コウモリも友情にも似た協力関係を作り上げ、それは野生の中でも続く、と新しく発表された研究は報告している。

 中米から南米にかけて分布するナミチスイコウモリ(Desmodus rotundus)は、カミソリのような歯で動物に傷をつけ、そこから流れてきた血を飲むことから、俗に吸血コウモリと呼ばれている。

 その不気味な習性とは裏腹に、飢えた仲間に血を分け与えたり、自分以外の子供にも乳を与えたりといった利他行動を見せたり、グルーミングしあう仲の良い個体がいたりと、高い社会性で知られている。

3_e1
image by:Uwe Schmidt/wikimedia commons

コウモリの友情は本物なのかを確認する実験


 アメリカ・オハイオ州立大学の研究グループによると、今回の研究の主な狙いは、飼育中に結ばれた友情が自然にかえった後も保たれるのかどうかを確かめることだった。

 つまり実験室の中で育まれた絆は本物なのか? それともそのとき都合が良かったから手を取り合っただけだったのか? ということだ。

 前者ならば自然にかえった後も友情は続くだろうし、後者ならば自然にかえればそれは脆くも崩れ去り、他の仲間を探すことだろう。

 研究では、野生のコウモリ同士の交流やネットワークを詳細に把握する必要があった。

 そこで、電気エンジニアやコンピューターの専門家の協力をあおぎ、小型の新型センサーを開発。数秒毎にデータを記録できるが、コインよりも軽く、コウモリに取り付けても行動を邪魔しない優れものだ。

 飼育時の観察からわかったのは、メスのチスイコウモリの場合、お互いにグルーミングしたり、餌を分けあったりといった行動が友情のサインであるということだった。

 そこで、このふたつの行動を追跡することで、野生に放された後も友情が続いているのかどうか確認することにした。

0_e1
image by:Simon Ripperger

友情は本物だった。野生に放たれた後も関係性を維持


 チスイコウモリを自然に放した結果判明したのは、友情は本物だったということだ。どのコウモリも人間に飼育されている間に育んだ友情を、自然にかえった後も保ち続けたとのこと。

 しかし人間の場合と同じく、チスイコウモリ同士の協力関係は、社会的選好と外部環境の両方の結果として形成されるものであるらしい。

 この結果は、パートナーに対する忠実さとその交換がコウモリの関係において一定の役割を果たしているという説に一致する、と研究者は報告している。


人間同士の関係性を理解する手がかり


チスイコウモリが一部の霊長類に見られる友情にも似た社会的絆を形成するという証拠はどんどん増えていますが、私たちの発見もそうしたもののひとつです。

動物の関係を研究することで、安定した人間関係を理解するうえでの洞察を得ることができるでしょう

 と研究著者のひとりであるジェラルド・カーター氏は述べている。

 研究グループは今後、コウモリの個性が協力関係にどのように影響するのか、仲間を探すためにどのような行動をとっているのか、昼に巣で協力関係にあるパートナーと夜も狩に出かけるのか、といったことを調査する予定だそうだ。
 
 この研究は『Current Biology』(10月31日付)に掲載された。

References:After release into wild, vampire bats keep ‘friends’ made in captivity – Neuroscience News/ written by hiroching / edited by parumo

TOPICS

ランキング

ジャンル