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西武2016年ドラフト3位、源田壮亮。社会人屈指の守備と足が魅力の即戦力遊撃手/野球太郎ストーリーズ

野球太郎

おっとりしていて、ナヨナヨとした近所のお兄ちゃん、という感じがする。愛知学院大4年時には主将を務めたが、「(主将)っぽくないですよね」と自らギャップを認めている。

 大学時代の源田を指導した梶原康之前監督(現・帝京大可児コーチ)も「彼について僕が心配していたことのうち、その8割は『ちゃんと大学を卒業できるのか』ということでした」と笑う。関西出身の梶原前監督ゆえ、冗談交じりの発言ではあるのだが、源田のキャラクターを思うとその心配もわかる気がする。

 しかしながら、根は頑張り屋だ。大学4年に進級するまでのオフシーズン中、それまでの貧打と縁を切るべく、2日おきに夜11時までマシンで打ち込んだ。トヨタ自動車に進んでからは、全体練習やオープン戦が終わった後、ほぼ毎日ノックを受けてから帰った。「先輩の河合完治らと自主的に練習する姿は、年下の選手にいい影響を与えていました」とトヨタ自動車・桑原大輔監督が話すほどだ。

 源田曰く「自分は結構、考えてやるタイプですよ。適当に見えて適当じゃないんですよ、意外と。振り返りも一応毎日やりますし。人からは(性格が)ゆるいって言われますけど…。このあいだも本を2冊読みました。松井稼頭央さん(楽天)の本と、川﨑宗則さん(カブス)の本。井端弘和さん(巨人コーチ)の本は読み終わったんで。結構、野球、好きかもしれないです。まぁ、(読書は)暇だったってのもあるんですけど…」

「暇だったから」と最後の一言で“脱力”させつつ、努力や思考は重ねている。

◎カッコよくて確実な守備

 グラウンドでのプレーはスピード感に溢れ、颯爽としている。野球センスに長け、“なんでもできる”自在性がある。

 最大の魅力は守備だ。足運びがスムーズで、二遊間、三遊間を自在に立ち回る。打球がくるところにグラブを出して柔らかく捕る。難しいバウンドにも難なく合わせられる。スナップを利かせたスローイングがいかにもカッコよく、見ていて惚れぼれする。

「(守備がうまくなったのは)高校ぐらいからだと思います。コーチが朝練につきあってくれて、日々ノックを受けました。そのコーチには『投球がバットに当たる前に動け』と言われていて、『そんなんできるわけないやろ』ってそこは流してたんですけど、大学3年生頃にふと思い出して。打撃練習で守備につく時も、打者と投手の力量で打球方向を予想して、一歩目に集中するようになりました。まぁ、(打球の予想は)あんまり当たらなかったですけど。トヨタでの1年目は結構エラーすることもあって、これじゃあダメだと思って、そこからまた継続して練習をやってきました」

◎バント安打はセンスの結晶

 筆者が今でも鮮明に覚えている、源田のトリッキーなプレーがある。大学4年の秋季リーグ・愛知大戦での5打席目だ。セーフティーバントの構えをした源田は、前進してきた三塁手の意表を突き、その頭上へプッシュバントを仕掛けた。三塁後方に落ち左翼線に転がる打球を遊撃手が追いかける間に、50メートル走5秒8の快足を飛ばして二塁を陥れた。それまでの4打席はすべて内野ゴロで凡退していただけに、“5タコ”を免れる工夫に唸らされた。

 本人はその場面について「練習ではほとんどやったことなくて、なんとなく思いつきで…。運もあるんじゃないですか」と、やはり“適当”感を漂わせるが、「相手守備陣のポジショニングを見たり、どの程度セーフティーバントが警戒されているかは考えます」とも。社会人に進んでからも「セーフティーバントは成功のほうが多いぐらいかもしれない」と話し、図抜けたセンスを示している。

 ただし、打撃はやや迫力に欠け、三振も少なくない。先日のインタビューでも、セーフティーバントの話が済んだ後に「じゃあスイング(打撃)の話を…」と振ると、本人も「へへへ、スイングの話、します?」とおどけた。ただ打撃が目立たないのは、バットが遠回りして内角のスライダーに空振りするなど、明確な原因があるからだ。外角の球には強いし、弱点をプロで修正できるだけの素質はある。

 現状、守備固めや代走要員として、開幕1軍も近そうだ。たとえ「打撃が弱い」と言われても、守備と走塁で魅了できる貴重な選手であるのは間違いない。

(※本稿は2016年11月発売『野球太郎No.021 2016ドラフト総決算&2017大展望号』に掲載された「28選手の野球人生ドキュメント 野球太郎ストーリーズ」から、ライター・尾関雄一朗氏が執筆した記事をリライト、転載したものです。)

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