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古代遺跡で発見された1500年前の鉛板。そこに刻まれていたのはライバルのダンサーへの呪いだった(イスラエル)

カラパイア

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image credit:Pixabay

 ユダヤ王国を統治したことで知られるヘロデ大王が、紀元前25年ごろからパレスチナ・ヤッファのすぐ北に建設したとされる古代都市、カイサリア・マリティマは現在のイスラエル・カエサリエにある。

 パレスチナにはいい港がなかったため重宝されてかつては大いに栄えたが、現在では廃墟となっている。

 そんなカイサリア・マリティマにある古代劇場遺跡で1500年前の鉛の板が発見された。そこに刻まれたギリシャ語が何を意味しているのか長く不明だったが、ついに解読されたようだ。

 なんと陰でライバルを陥れようとする呪いの言葉が刻まれており、たくさんの悪魔の名をあげつらい、「マンナ」という名のダンサーに危害を加えるためのものだった。

古代劇場廃墟で発見された鉛板に書かれていたことは?


 イタリア・ヴェロナ大学のローマ史教授、アッティリオ・マストローチンク氏は、2019年の『Studies in Honour of Roger S.O. Tomlin』に発表された記事の中で、翻訳を手掛けたこのギリシャ語の呪いについて詳しく説明している。

 それによると、

有名な劇場廃墟でこのような鉛板が見つかったということは、マンナは有名なダンサーで、褒美の類も相当なものだったに違いない。言うまでもなく、その名声や評判は踊りの競技会で優勝するかしないかにかかっていた

とのこと。

 そのためか、マンナを呪った人物はかなり本気だった。マストローチンク氏の翻訳によると、この呪いは古代エジプトの魔術と知恵の神トトなど、複数の神の助けを乞うている。

 さらに、「空、空気、大地、黄泉の国、海、川、泉などの」悪魔たちを呼び出して、あらゆる方向からマンナに危害を加えようとしているのだ。

マンナの両脚を開けないようにして踊れなくする。目をふさぎ、両手、両足を動けなくすれば、彼は劇場でいい踊りができなくなるはずだ。

マンナを混乱させ、闇に陥れ、がんじがらめにして、目をつぶせ。彼の動きは鈍くなり、バランスを失うはずだ。

そして、彼は常軌を逸し、勝者にふさわしくない見苦しい振る舞いを・・・

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カエサリア・マリティマの廃墟
image credit:Wikimedia commons

ライバルの争いが激しかったビザンティン帝国時代の遺物


 この呪いの鉛板は、1949年から1954年の間にイタリアの考古学チームによって発見された。

 当時、そこに刻まれている言葉の意味はわからなかったが、最近になってマストローチンク氏が反射率変換画像(RTI)という技術を使って解読した。

 RTIは、対象物をさまざまな照明角度から撮影し、そのおびただしい数の写真を使って高画質を作り出すコンピュータープログラムのこと。

 この呪いの鉛板は6世紀にさかのぼるもので、当時はビザンティン帝国がこの町を支配していた。

 時代背景を考えると、マンナと呪いを書き残した者は相いれない仲だったのだろう。

 ビザンティン帝国では、人々は踊りで競い合うだけでなく戦車レースなどそのほかの競技でも「青党」や「緑党」といった応援集団の闘争がライバル同士の争いの一端になることもあった。

 こうした争いは激化し、末は暴動になることもあったらしい。

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最近解読された1500年前の呪いの鉛板には、ギリシャ語でマンナというダンサーを標的にした呪いが書かれていた。
image credit:Attilio Mastrocinque

邪悪な魔術を阻止するどころかますます広まり複雑化した可能性


 動機はなんであれ、呪いの鉛板には110行もの文章が長々と書かれている。

 ビザンティン帝国はキリスト教を国教として採用したが、キリスト教はトトや鉛板によく名前が出てくるその他異教の神に敬意を示さなかった。

 一方、呪いの鉛板の使用を禁止することはなく、呪いの内容は廃れるどころかどんどん長く具体的になっていったとマストローチンク氏は指摘している。

この呪いの鉛板は、帝国の末期や中世初期に発行されたほかの多くの遺物とともに、ローマ帝国のキリスト教化が邪悪な魔術を阻止することはなかったことを裏づけている。

それどころか魔術はますます広まり、より複雑化することになった

 なお、この呪いの鉛板はイスラエル政府によって研究チームに進呈され、今はミラノにある考古学博物館に所蔵されている。

References:Live science / Ancient origins / Mirrorなど / written by konohazuku / edited by usagi

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