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世界初の完全サイボーグ化手術を行う決断をした、末期の病に冒されたロボット科学者(イギリス)

カラパイア

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 今から2年前、運動ニューロン疾患と診断された高名なロボット学者ピーター・スコット=モーガン博士は人間を辞める決断をした。

 いや、人間とは何か? という命題に対して科学的な挑戦状を突きつけたといった方が正しいのかもしれない。

 体が動かなくなる病に冒されつつも、科学者としての探究心と勇気を失わなかったスコット=モーガン博士(61歳)は、自身の生体を少しずつ機械の体に置き換えることにしたのだ。その準備は着実に進められており、手術が成功すれば世界初の完全サイボーグとなる。

顔のアバターは既に完成


 すでに超リアルな博士の顔のアバターは開発済みだ。これを使えば、きちんと今まで通りに表情を浮かべることができる。

 またアイトラッキング技術を利用して、視線だけで複数のコンピューターを操作するインターフェースも開発された。これがあれば、自分の電子ベッドを見るだけで制御できる。


Dr. Peter Scott Morgan’s avatar animated from text and emotion markup and TTS voice.


ピーター1.0(人間)からピーター2.0(サイボーグ)へ


 そしてつい先日、博士は最後のプロセスに入った。それは人間の体を脱ぎ去り、完全なサイボーグに変身するための旅路で、10月9日に投稿されたツイートで次のように生身の人間として最後の言葉を綴っている。
ピーター1.0としては最後の投稿になります。完全なサイボーグとなるための医学的な準備が終わり、明日、私は自分の声と引き換えに数十年を生きる可能性を手に入れます。

今月は、私が統計的には死んでいるだろうと宣告された月です。ですが、私は死んでいない。変身しようとしているんだ! ああ、科学とはなんと素晴らしい!


ピーター2.0用にカスタマイズされた合成音声デバイス


 今頃、スコット・モーガン博士は咽頭切除術を受け、声を失っているだろう。唾液が肺に流れ込むことを防ぐための処置だ。

 必要なことだとはいえ、声を失うのは辛いだろう。だが、スコット=モーガン博士はこの運命に前もって備えていた。自分用にカスタマイズされた高機能合成音声デバイスを用意しておいたのだ。

咽頭切除手術の10日前に集まったスコット=モーガン基金の主要メンバーたち。ここに参加しているIntelは故スティーブン・ホーキング博士にも手を貸していたチームだ。

 2019年1月のツイートでは次のように説明している。

ちょっと変わり種の音声バンキング! レコーディングスタジオで30時間過ごしながら、自分の合成音声に表現力だけじゃなく、個性まで加える方法を模索。

本当に? 本当です。嘘でしょ? 嘘じゃない! つまりどういうことなんだ?!?


これはサバイブではない、スライブである


 サイボーグ化手術では、胃に栄養チューブが、腎臓にはカテーテルが直接挿入され、結腸にも人工肛門が作られる。これらも、博士によれば、世界初となる手術だ。

 博士自身認めているように、非常にリスクが高い手術だ。しかし、彼は「生き延びる(サバイブ)」ことにはそれほど関心がないそうだ――博士の望みは「繁栄(スライブ)」することなのだ。

 この先端技術はスコット=モーガン基金によって今後も開発が続けられ、ゆくゆくは体が不自由な他の人たちの役に立つ日が来ることをスコット=モーガン博士は願っている。

 博士の遺言は2020年放送予定のChannel 4のドキュメンタリー番組で伝えられるそうだ。

References:scott-morgan / twitter/DrScottMorgan/ written by hiroching / edited by parumo

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