佐々木朗希が感情を前面に出す瞬間が見たい

佐々木朗希が感情を前面に出す瞬間が見たい
カメラマンの「は~い! 笑顔で!」のリクエストに応え、最大限の笑顔を見せた大船渡高・佐々木朗希。10月

カメラマンの「は~い! 笑顔で!」のリクエストに応え、最大限の笑顔を見せた大船渡高・佐々木朗希。10月2日の「進路表明会見」は関係者によれば、極度の緊張だったという

 とにかく、表情を崩さない。大船渡高・佐々木朗希は公の場で、言葉数が多いほうではない。記者会見において、饒舌に語ることもなく、返答は一言のみ。自ら話をふくらませることもまず、ない。17歳の高校生。30社79人の報道陣を前にして、過度のリップサービスを期待するのも、酷な話だったかもしれない。佐々木をよく知る関係者によれば、この日の緊張ぶりは尋常ではなかったようだ。

 つまり、エピソードを引き出すのは至難の業であり、笑顔を披露することもほぼない。

 10月2日の進路表明会見。テレビ10分、ペン10分の共同インタビューが終わると、撮影タイムが始まった。

「は~い! 笑顔で!」

 カメラマンのたび重なる要望にもかかわらず、佐々木の顔はこわばったままだった。何とか笑みを浮かべよう努力はしていたが、無理に頑張ろうとすればするほど逆効果……。5分の撮影時間、何とも言えない空気が流れた。

 金足農高(秋田)で行われた、ちょうど1年前の進路表明会見。質疑応答後、吉田輝星(現日本ハム)は昨夏の甲子園で“名物シーン”にもなった「侍ポーズ」に気軽に応じていたのとは、あまりにも対照的であった。

 10月17日にはドラフト会議が控える。佐々木は「12球団OK」の姿勢を示しており、1位競合(日本ハムは6月2日に公表)は確実。交渉権確定の際、仮に佐々木が会見場の席に座っていれば、そのリアクションから目が離せない。だが、高い確率で表情は変えないだろう。記者会見も淡々と進みそうだ。

 その後に「10・17」のハイライトを迎える。ドラフト指名恒例の、場所を移しての写真撮影。進路表明会見は佐々木一人であったが、ドラフト当日は高校3年間、苦楽をともにした野球部員が待ち受けているだろう。

 7月25日。岩手大会決勝(対花巻東高)で佐々木は登板機会なく敗退(2対12)し、悲願の甲子園出場を逃した。三塁ベンチ前で、相手校の校歌を聞きながら、涙を必死にこらえるあの表情を忘れることはできない。

 佐々木は10月2日の記者会見で「子どもたちに、夢と希望を与える選手になりたい」と力強く語っていたが今後、甲子園出場を目指した仲間たちの思いも背負ってプレーするのは間違いない。カメラマンが要望しなくても、チームメートの顔を見れば、自然のうちに満面の笑みを見せてくれるはず。そして、歓喜の胴上げ。佐々木よ、もう、涙を我慢しなくていい。感情を前面に出してほしい。

文=岡本朋祐 写真=桜井ひとし
更新日:2019年10月10日
提供元:週刊ベースボールONLINE

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